夢の続き
バド「体調は戻られたようですね。」
その日の朝、政務室に入るとバドが先に部屋で書類をまとめていた。
僕「ああ、心配かけて悪かった。もう大丈夫だ。」
バドの目を見てそう応える。
僕の顔色がだいぶ良くなった事を見るとバドは安心しように、一言
はい
と、だけ答えて書類整理に戻った。
、、、、?
と、
僕は僕の席に書類が無い事に気がつく
僕「バド?今日の仕事は何?書類が用意されてないみたいだけど」
なんか出鼻を挫かれたようでズッコけてしまった
バド「はい。書類整理は私が」
ああ、そういうことか
バドが内政をするときは僕が外へ出向く用事がある時だ。
と、いう事は、今日は視察か会談か
バド「王には今日は少し遠くへ視察へ行って頂きます。」
僕「遠く、、、、?何か、あったの?」
遠くに行く事は滅多に無い。
あるとすれば何か不意の事件があった時だけだが
だがしかし、
不思議とバドから緊張感が見えなかった。
?????
バド「何かあると言えば、ある、、、と言えますが」
と、バドが僕の疑問に答えるように語り出す。
バド「緊急のものではありません。」
バド「ですが、重要な視察です。」
バド「王には見聞を深めて頂く必要が出てきました。」
見聞、、、、?
僕「、、、見聞?」
僕はオウムの様に聞き返す
と
バド「そうです」
と、バドは頷いて、そして続けて説明する
バド「今、世界情勢が大きく動こうとしております。」
僕「あ、ああ。そうだね。」
それは僕も感じていた事だ。
世界が和平へ向かって進んでいたのが、今はその動きが止まってしまっていたからだ。
それは何か不穏を感じさせた。
バドはさらに続ける。
バド「今はどの国も停戦協定、冷戦状態でありますが少し時が経てばそれが変わってくるでしょう。」
バド「どの国につくべきなのか、同盟するべきなのか、どの国が危険なのか、様々です。」
バド「我々も、もはや第3国としてはいられないでしょう。」
バド「五年前のあの時のように、王国軍に狙われてしまうかもしれません。」
バド「ですがここでの教育では我々の視点からの物事しか学べません。ここに居てはその他の国の本当の姿は見えないのです」
バド「ですので。」
バド「王の目で、広いものを見て、外からこの村の事を見つめて欲しいのです。」
バドは丁寧に説明してくれる。
ま、まあ、話は分からなくもない。でも、具体的に
僕「まあ、話は分かったけど、具体的にどうするんだい?」
そう、そこが分からない。
見聞を深める??って一体何をするってことなんだろうか。
僕「旅にでも出るのかい?」
バド「はい。当たりです。」
、、、、、、、、。
僕が当てずっぽうで言ったそれが、正解、、、、だったらしい。
、、、、、、、旅に出ろって?
、、、、、バドは少し間を置き
さらに説明をする
バド「、、とある団体に付いて行って貰おうと思います。」
僕「とある団体?」
バド「そうです。それは、、、、」
と、バドにしては珍しく、いかつい顔を優しくほぐして、ニッコリと笑った。
と、その時
×××「リオウ!!!!!!」
という聞き覚えのある声。
僕「え?」
僕がその声の方を振り向くと、その声は窓の外から、、、のようで
その、先には、、、
!!!!!
リオウ「ジョ、ジョウイ!!???」
そこには、ジョウイの
姿があった。
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なんで?なんで、ジョウイがここに?!?
意味が、分からなかった。
ジョウイは今遠くの西の国へ行っているはずだ
でも、そこにいるのは紛れもない、ジョウイの姿だった!
僕「なんで、ジョウイがここに!?」
ジョウイ「だから、俺たちだよ!俺たちと一緒に行くんだよ!」
ジョウイ「やったな!!!」
えっ?えっ?えっ?
ええええええええ!????
バド「その通りです、リオウ様」
バドがジョウイの言葉に同意する
と、その時
ナナミ「ジャーン!準備は出来てるよ!リオウ!!」
その時扉を開けて姉様が部屋に入ってきた。
その手には大きな荷物が二つ。
それは、、、、
ナナミ「結構大変だったんだからね!準備するの!感謝してよね!」
と、姉様はニコニコしている
僕「え、、、バド、、、、これは、、、、」
僕がまだちゃんと状況を飲み込めていないと分かるとバドは
バド「はい。ジョウイ殿達と同行して
見聞を深めて頂きます。」
と、改めて丁寧に説明してくれた。
バド「その代わり、一年だけです。」
バド「1年間は世界情勢も大丈夫でしょうし、1年以上は私達が持ちません。」
バド「一年経ったら戻ってきて下さいね」
バド「私達の王は貴方なのですから」
バドは僕の肩に手を置いてにっこりと微笑んだ。
ナナミ「じゃ、行くよ!リオウ!善は急げってね!
出発進行〜!!」
姉様の号令で僕は姉様に手を引っ張られながら、窓から外へでて、ジョウイと、合流する。
ナナミ「ほら!ジョウイ!荷物持って!!」
ジョウイ「あいよ!!」
ナナミは重い荷物をジョウイに投げて
そして、そのまま、三人で駆け出した!!!
、、、、、、!!!
それは、信じられない光景で
世界が輝いて見えた、、、、!!
ナナミ「バドが全部考えたんだよ!」
走りながら姉様が説明する
ナナミ「あんな顔して優しかったんだね!!」
ふと
屋敷の窓を見るとバドが優しく手を振っているのが見えた。
僕も、手を振り
僕「行ってくるよーーーー!!バドーーーー!!ありがとうーーーー!!」
バドはいつまでも手を振っている。
僕は前を向いて走り出す!
夢にまで見た、冒険へ、、、
旅へ、、、!!!
三人、
一緒に!!!!!!!
西の国へ行く道中
の、船の中
リオウ「へーーーー凄いなーーーー」
僕は見るもの全てが新鮮で辺りをキョロキョロしている
ジョウイ「おい、リオウ、あんまりキョロキョロすんなよ、恥ずかしいだろ?」
なんて、ジョウイにたしなめられる。
ナナミ「良いじゃない、初めて見るものばかりなんだから!仕方ないでしょ、ねーーー、リオウーーー」
ジョウイ「たくっ、弟にアメーなー。このブラコン女!」
、、、、バキィ!!!!!
ジョウイの軽口にゼロコンマ1秒で鉄拳制裁を加える姉様。
ジョウイの顔面に拳がめり込んでいる、、、。
ナナミ「、、、変な事言うと殴るわよ?」
ジョウイ「いってーーー、殴ってから言っても意味ねーーー」
リオウ「はは」
僕は苦笑いをしてしまう。
姉様の運動神経は卓越したもので、父様の才能は全て姉様の所に行ったのではないかと思うほど。
リオウ「えっと、次の街には何があるんだっけ?」
ジョウイ「へへ、聞いて驚け」
ナナミの鉄拳制裁からもう復活したジョウイが得意げに、答える。
ジョウイ「次行く街はな、水の街って言ってな、もう建物から何から何まで水で出来てるんだぜ!」
僕「へーーーーーー、なにそれ!すごい!見てみたい!!」
ジョウイ「へへー、そうだろ!それになー、そこにはなー、水の精霊っていうなー、すっげえ美人が、、、、、、」
ナナミ「ジョウイ、アンタしっかりドゥル様の血を引いてるわ。あそこは水で囲まれてるけど建物は水じゃないし、水の精霊も彫刻だけでしょうが」
、、、なんて姉様はジョウイが僕に話す風呂敷を広げた与太話を聞いて呆れている。
僕は、この状況を楽しんでいた
でも、
一年、、、あっという間に過ぎていくだろう。
でも
僕は
この幸せをしっかり噛み締めて行こうと思った。
終わり




