表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

ユウタロウとオカルトマニアのヨリちゃん

 夏休み。それはツクツクボウシがなく頃、テレビで放送を丸一日頑張る番組の宣伝をちらほら見かけると。


 終わりが近いと気付く。




「ユウ!来年、中学生だろ?夏休みは俺んちに来いよ」 


 ガタンゴトン、ガタンゴトン


 盆休みも過ぎ日常に戻っている電車の中で、大学生の従兄弟と共に揺られているユウタロウ。


「うーん。部活って休みあるの?」


「あるよ。何?野球とか?」


「まだ決めてない!」


 ガタンゴトン、ガタンゴトン


「ふーん」


「ヨリちゃんはなに部?」


「んあ?こう見えても、中高野球部だぞ。そんなに強くなかったけど。遅くまで練習あるのが気に入ったんだ。自主トレで走り込みもあっけど、そのついでに心霊スポット巡り出来っから、夜出ても叱られない」


「へえ?なんで?」


「ユニフォーム来て走るんだよ。頑張ってね!とは言われるが、叱られはしない。普通にホロホロ出てたら駄目だろ?」


 ガタンゴトン、ガタンゴトン


 ろくでもない事を教えている従兄弟。

 ろくでもない事を決意するユウタロウ。


 ガタンゴトン、ガタンゴトン


「ヨリちゃんのおかげて宿題終わった、ありがとう」


「いいって、それで全部?」


「うん、工作はお母さんと『こども館』に行くんだ、あと、えーと。あ!自由研究」


 ユウタロウは指折り数えて思い出した。


 ……!忘れてたし!


「自由研究って、キッド買ってきてやるやつだろ?」


「ううん、僕は毎年自分で考えてやってる。お母さんや、先生からやり直し言われる事あるけど」  


「は?やり直し?なんで」


「研究発表会でそれはダメって言わるんだ、その時はキッドで済ませるけど、つまんないもん!」


 ガタンゴトン、ガタンゴトン


「どんな自由研究やってんだ?」


 興味を惹かれた彼は問いかけた。ユウタロウは去年は『どすこいオネエの捜索隊』、今年の『メリーさん観察日記』を話した。


「へぇぇ!面白いことやってる、そうだ!これやるよ」


 足元に置いたデイパックの中から、ゴソゴソ取り出したのは小振りなデジタルカメラ。


「ええ!いいの?ヨリちゃん」


「携帯あるからな、部屋には一眼レフもあるし、そうか、ククク。『メリーさん』ね」


「うん。でもこれから先、どうやってまとめようかなって」


「そうだな……、うーん。あ!そろそろつくぞ、忘れ物するなよ」


 ガタタン、ガタンゴトン、ガタタン、ガタンゴトン

 ガタタン、ガタタン、ゴトン、ゴゴキィィィ、シュゥゥゥ、ガタガタ


 タッ!ブ。シュゥゥゥ。


 開かれたドア。


「俺、こっから一度出て私鉄に乗り換えだけど、ユウはバスだろ、一人で大丈夫か?」


「うん、一人で大丈夫」


 ザワザワとした中を歩く二人。


「コンビニ、時間あるか?ユウ。喉乾いたし、腹減った」


「うん、大丈夫」


 ステーションに入っているコンビニ。適当にカゴに放り込む従兄弟について歩くユウタロウ。


 会計を済ませると、イートインスペースで、デイパックに品物を入れると、残りが入ったレジ袋をユウタロウに渡す従兄弟。


「帰って食べろよ、ジュースはここで飲んでもいいし」


「わあ。ありがとう!帰って食べる」


「だけど、シュークリームは食うなよ」


 ペットボトルのキャップをねじり開けながら、教えるオカルトマニアのヨリちゃん。


「なんで?」


「使い方を教えてやる」


 ゴクン。微炭酸のそれをひとくち飲み込むと、何かをヒソヒソ教えるオカルトマニアの従兄弟。


「うん、うん!へぇぇぇ!そうなの!それでそれで?ウンウン、デジカメ……、わかった!やってみる!」


 自由研究の追い込みが始まる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >夏休み。それはツクツクボウシがなく頃、テレビで放送を丸一日頑張る番組の宣伝をちらほら見かけると。 なんてタイムリーなwwww からのどすこいオネエ先輩キターーー!!!!(大歓喜)
[一言] ユニフォームの意外な使用法! そして脈々と受け継がれるオカルトマニアの血! この辺もう、面白さしかありませんね! (≧▽≦) それにしても、自由研究の 『それだめ』 は何なんでしょうね? …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ