女子高生の恋愛相談
(女子高生A=ボケ 女子高生B=ツッコミ)
二人の女子高生が放課後、学校の教室にいる。
A「私、好きな人がいるんだけど」
B「誰? 私の知ってる人? 他の人には話さないから教えてよ」
A「教えてもいいけど、絶対に秘密だよ。誰にも言っちゃダメだよ。男子はもちろん、他の女子にも」
B「大丈夫。私、口は堅い方だから。ダイヤモンドほどじゃないけど、ほぼ完璧」
A「言ったら絶交だよ」
B「わかってるって。吐いて楽になっちゃおう。さぁ、彼氏候補さんのお名前をどーぞ!」
A「このクラスの、ナオキ君」
B「まあ、わかるっちゃ、わかるような。野球部のエースだし」
A「あと、タカトシ君。サッカー部のキーパーの」
B「待て待て。好きな相手、一人じゃないの?」
A「うん。他にも、ユウキ君、タツル君、ソウイチロウ君、それとね」
B「おい! 全部で何人いるんだよ!」
A「十五人。で、全員、このクラス。すぐ近くに好きな人がいるって、いいよね」
B「はぁー。このクラスの男子、全部で二十人なんだけど。かわいそうだから、残り五人も加えてあげなよ」
A「いやぁ、私、好みは厳しい方だから。山本ツインズの片方とかは遠慮しておく。あっちを彼氏にしたいのなら、全力で応援するよ。たとえここが崖の上でも、背中を強く押してあげる」
B「そういう場面に遭遇しても、背中を押しちゃダメだからね。まあ、双子の山本兄弟は二人とも面白いし、好きって女子は普通にいそうだけどね」
A「あと彼女持ちは、お断り案件」
B「それで、十五人か」
A「うん。恋するっていいよね。毎日が楽しい。ごはんがおいしい」
B「それは何より。でも、どうするの。そんなにたくさん好きになっちゃって。十五人全員を集めて、一度に告白するつもり?」
A「お! そのアイデア、いただきます!」
B「それは絶対にやめておこうね。一人にしなさい、一人に。そもそも日本の法律では、二重結婚とかは禁止だったはず。一度に好きになるのは一人まで、ってことだよ」
A「でもさぁ、その法律、明日には変わっているかもしれないし」
B「だったら、二人目以降は法律が変わってからにしようね」
A「だったら、海外に飛び出すという手も。うちの学校、修学旅行は海外だし。全員で飛行機に乗っている、そんなタイミングで、覆面つけてハイジャックしちゃえば」
B「それ、良い子がマネしちゃいけないことだから、絶対にやめておこうね。ここは日本。ひとまず海外のことは考えない」
A「ぶーぶー」
B「はい、子ブタさんのマネもしない。だいたい、同じクラスの男子をどうして、十五人も好きになるんだか」
A「あ! ひょっとして、十五人の中に、狙っている男子がいたりする?」
B「は?」
A「大丈夫。私も口が堅いから。えーとね、ダイヤモンド以上。ねぇねぇ、教えてよぉ。私は正直に話したのに、ずるいよぉ。せめて、このクラスにいるのか、いないのかだけでも」
B「わかった。言うことにする。このクラスにいるよ」
A「なーんだ。そういうことは早く言ってよ。ではさっそく、その彼氏候補さんのお名前をどーぞ!」
B「えーと、サッカー部のタカトシ君と、ユウキ君、タツル君、ソウイチロウ君、それから誰だっけ」
A「待ってよ! 私とかぶりまくってる!」
B「そうだよ。だから、他の十四人は私に任せて、野球部のナオキ君に告白しよう。全力で応援する」
A「ずるいよ。自分だけ十四人もなんて、欲張りすぎ!」
B「十五人も好きになってる奴に言われたくない。鏡見てこい、鏡」
A「まったくもう、しょうがないなぁ。私たち親友だし、半分こで手を打つよ」
B「十五人だから、二で割りきれないんだけど」
A「端数調整は、山本ツインズで」
B「わかった。この説得作戦は失敗したと判断。次の作戦に移行する」
A「え? 今のって、何かの作戦だったの?」
B「細かいことは気にしないように。私が狙っている男子のことはいいから、今すぐ一緒に野球部へ行こう。そこでナオキ君に告白しちゃいなさい」
A「えー、いきなり言われても、心の準備が・・・。ふられちゃったら、ショックで立ち直れないかも」
B「大丈夫。まだ十四人いる」