現状、青ざめる
「はぁ……、はぁ……。」
酒場のおっさんから逃げ切った俺は、どうやら路地裏にいるらしい。
酒場のある所から走ったからな。
「へ……、どの世界でも酒屋の近くは路地裏ってか。」
ビル・カンパネラ、酒と幼女とおっさんの店か。
「覚えたぜ……。」
とはいえ、これからどうしようか。
現実世界で死んだ俺はこの世界に来たわけだが。
なんか、気分悪いな。
「うぷ……っ。」
思わず何かはいた。
これは……?
グミだ。
俺が死ぬ原因になったというグミだ。
「あのクソ神……っ!」
「するならちゃんと転生させろ!!!」
キリの国の、酒場の通りの一角が震えた。
さて、これからというもの、どうしたものか。
酒場のおっさんがいうにはここはキリの国だ。
「なんか、死んだって実感がわかねぇな……。」
本当に異世界に来ちまったんだな。
腹の虫が鳴く。
なるほど。
「どこにいても、何もしなくても、腹は減る、か。」
とりあえず、リソースの補給が必要だ。
「しかし、この国の文明はどのレベルだ?」
酒場があるくらいだから、貨幣はあるだろう。
問題は、俺が無一文だということだ。
動けるうちに職を探そう。
「つっても、職があるかどうかもわからん。」
「ハハ、最高。」
青ざめながら、俺は職業斡旋所を目指すのだった。
この世界で。