料理するか
家に帰り、調理室へと向かう。
「すいません、これ、借りてもいいですか?」
今は使用人たちは晩御飯の仕込みをしている。
あわただしく、働いている。
「えぇ、それなら後ほど運ばせますので、自室でお待ちください。」
「はい。ああ、それと……。」
「?」
「よかったら。」
「これは、竜印の肉屋の……。」
目つきが変わった。
肉の良し悪しが分かるのは流石といったとことだろう。
「正直、お断りするつもりでしたが……、これほどの肉はかえって断れませんわね。」
「……そんなにいい肉なのか?」
「えぇ、……私たちも八方手を尽くしますが、これほどのものは……。」
「そいつは良かった。それじゃあ、部屋で待ってるぜ。」
「はい。ありがとうございます。」
部屋に戻るとよくわからない装置があった。
俺よりも先に部屋につくとは、あの使用人、何者だ?
手紙も添えてある。
こちら自動発火装置です。
肉を調理するとのことですので、上質な果実酒をつけておきます。
肉のお礼か、気が利く。
職業柄って奴だろう。
さてと、肉を焼くか。
包みを外すとそこには見たこともない肉があった。
ピンク色に輝く血、まとわりつく脂も白く光っている。
まあいい。
食えばわかるさ。
食に必要なもの……、それは、度胸。




