一か月前
「治療の進み具合はどうかね?」
「何とか。後二日程度で、元通りになると医師は言ってました。」
あの後、俺は運ばれた屋敷にて、酷使した体を癒すことにした。
その間、一か月。
結局、俺は家事ギルドを抜けることにした。
グラーニンさんが専属で雇ってくれる、何でも屋になった。
これはすごくありがたいことだ。
何故なら、依頼の報酬を受け取っても、片足が折れているのだから。
今の俺には住むところを確保する、そんな能力はない。
「一か月もの間、何もできない自分を……、本当にありがとうございます。」
「気にすることはない。私の目に狂いはなかった。」
あの獣を倒したことで、どうやら俺の評価はかなりのものになったらしく、新しい部屋と、使用人たちと共に、体を癒している。
「二日後に歩けるのなら、少し外を見てきなさい。この街について知ることはたくさんある。」
「……はい。」
「ただ、最近妙な噂を聞いてね。」
どうしたのだろうか。
藪から棒に。
「なんでも、獣狩りの儀式の後、満月の夜が来たということで、教徒たちがユリウス・ホワイトなる人物にあいたい、と、この屋敷にもう何人も来ている。」
「……。」
「……。」
グラーニンさんも演説は聞いていたはずだ。
このうわさが今後どうなるのかは……、ハハッ。




