グラーニンの公認?
終わった。
雇用主の畑に無断で侵入者を招き、変な演説をし、おまけに獣はまだ息をしていると来た。
「俺の初仕事もここまでか……。」
男泣きで泣きに泣いた。
屋根から飛び降りたせいで、足も何やら変な方向に曲がっている。
肉体と精神が悲鳴を上げ、もはやここまでかという時だった。
「いったい何の騒ぎかね?」
騒ぎを聞きつけて、グラーニンさんが出てきたのだ。
「グラーニンさん、アイツはまだ生きてます、早く非難してください!」
「そうはいうがねぇ、君、その足はどうしたんだい!」
途中で語気が強くなった。
「……グラーニンさん、今は俺の言うことを聞いてください。ここは危険です、早く非難するべきだ。」
「君はどうする。その足で別邸まで行くつもりかね?」
「いえ、俺はまだするべきことがあります。」
「き、君っ……!」
片足を引きづりながら、俺は向かった。
教徒たちのほうへと。
「お前たちは、いったい何の権限があって、ここに来た!」
その瞳はまさしく手負いの獣であった。
白衣を着た一人が言った。
おびえながら、されどはっきりと。
「教えの通りに。」
なるほど。
ここを収めるにはこれしかないようだ。
「その獣のとどめを刺す、後はお前たちの勝手にしていい。だから、ここから出ていけ。いいな?」
白い頭巾をかぶった饅頭どもは、ひどく落ち込み、獣にとどめを刺し、帰った。
「グラーニンさん、これでいいですね?」
「ああ。依頼は駆除だけだからね。しかしこれは……。」
「すいません。俺のミスです。彼らの侵入を許したのも、先ほどの無礼も……。」
「なに、かまわん。むしろ君の仕事に対する姿勢は目を見張るものがある。」
そして、優しく笑った。
「別の仕事もしてみないかね?」
「実は彼らに販売しているお酒があってねぇ……、さっきの口上で売ってみてくれないか?」
見られてたのか、さっきの。
「……はい。」
こうして、狩りの時間は終わった。
痛みと、涙、少し土の香りを残し、月光に照らされた道を俺は帰った。
……メイドさんたちに運ばれながら。




