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最初の教え
皆は一同に屋根を見た。
両手を天に差し伸べ、月を掴むかのような者がいた。
「やめろお前たち!」
その声が貫いたのは、教徒ばかりではない。
「誰だ!」
「ふ……、いいだろう。我が名は、ユリウス・ホワイト!」
誰だよ。
「今日、私が姿を見せたのはほかでもない、信託を授けに来たのだ!」
「教徒よ、皆よ、聞け!」
「月が血に染まるとき、宴が始まる!」
「そして……。」
やべぇ、早く次の言葉を……、あ、そうだ。
「邪の獣の血で地を洗うがいい、さすれば、月は清きものとして蘇らん!」
「さらばだ!」
トーチを持って、ユリウスホワイトは消えた。
屋根から飛び降りて。




