そうだ罠屋、行こう
今日は罠屋で罠を受け取る日だ。
しかし、少し街を見てみよう。
「街に行きたいと?」
「ええ、ここのお屋敷も立派ですが、このあたりの人たちが、どうやって生活しているのかに興味があるのです。」
トーストを頬張りながら、コーヒー(?)の香りを楽しむ。
そんな朝。
どうやら俺は本当に害獣を倒すことだけが仕事らしく、お屋敷の使用人たちには客としてもてなされている。
「それに、今日、出来上がるそうです。例の罠。」
「ほほう。それはいい。おそらくだが、明日に獣たちは来る。」
「わかるんですか?」
グレーニンさんは、コーヒー(?)を飲み、少し休んでから
「ああ。」
とだけ言った。
「周期があるのでしょうか?」
「そうなんじゃよ。明日は月が赤くなる日。13日の月じゃ。」
月が赤に染まるとき、獣たちは狂暴になり、餌を求めて野をかけるという。
罠屋に行こう。
つまりこれは今夜がチャンスであり、また、ピンチでもある。
今夜までに罠を仕掛け、気配を消さなくてはならないということだ。
これは忙しくなるな。
「おう、坊主、今日も食ってくか?」
酒と幼女の店、ビル・カンパネラ。
「ああ、今夜は仕事でこれそうもない。そうだ、酒はあるか?」
「ふん、ここは酒場だぜ、あるにきまってらぁ。」
「そうだな……。」
そういうとおっさんは棚の上のほうから、700ミリリットルくらいの瓶を持ってきた。
「この果実酒なんかはいいんじゃないか?」
「なら、そいつと、パンと干し肉とか、そういうのはあるかい?」
「任せとけ。よければ今夜までに作っとくが。」
「頼む。今夜は眠れないかもしれないからな。」
「ははは、酔狂な仕事だなぁ。」
おっさんの笑い声に気づいてか、ビアも来る。
「寝ないと大きくなれないのですよ?」
「ああ、そうだな。」
その瞳は優しかった。
今日やるべきことは、罠屋に行き、屋敷に仕掛け、気配を消す。
これだけだ。
急ごう。




