漫才「小説家になろう」
ボケ&ツッコミ「はいどうもー、よろしくお願いしまーす」
ボケ「まぁね……ご覧の通りツッコミの奴はなぜか全裸ですけども」
ツッコミ「いやちゃんと服着てるわ! 俺の姿が見えてないからっていきなり無茶苦茶な嘘吐くのやめろよ! 大体、全裸なのはお前の方じゃねーか」
ボケ「ウケるかなぁと思って。安心して下さい、履いてませんよ!」
ツッコミ「安心出来るか! 何でそんなモンぶら下げた奴と漫才しなきゃいけないんだよ! そもそも姿見えないからウケるもクソもないだろ」
ボケ「まぁまぁクソとか汚い話はその辺で。でね、お前や皆さんは知らないと思うけど、【小説家になろう】ってサイトがありましてね、僕それに最近ハマってるんですよ」
ツッコミ「知ってんじゃねぇのかな、これ見てくれてる人は……あの、書いた小説投稿したり読んだり出来るサイトのことでしょ?」
ボケ「そんなもん皆知ってんだろ(苦笑)」
ツッコミ「おいやめろよ。お前が言うから乗ってやったんだろ? 俺が悪いみたいな雰囲気出すなよ」
ボケ「小悪党みたいな雰囲気はあながち間違ってないですけどね」
ツッコミ「やかましいわ。……なろう面白いよな。俺も投稿してんだけど、これがなかなか人気出ないんだよ」
ボケ「うっわお前マジで?」
ツッコミ「なにちょっと引いてんだよ。文句あんのかコラ」
ボケ「引いてないよ。良かったら、僕が読んで添削しようか。こう見えて僕、日刊ランキング載ったことありますから」
ツッコミ「え、お前そうなの⁉︎ すげー! じゃあお願いしようかな。これなんだけど……へへ、恥ずかしいな。いざ目の前で読まれると」
ボケ「僕も恥ずかしいよ。お前の小説なんてどんな顔して読めばいいんだよ」
ツッコミ「おいやめろよ。普通に傷付くだろ。もっと俺の気持ちを考えやがれ……で、タイトルは《ニートの俺はチートな魔導師に転生したので、とりあえず最強を目指します》なんだけど」
ボケ「フッ」
ツッコミ「笑ったな⁉︎ お前今、俺のタイトル聞いて鼻で笑っただろ⁉︎ 殴るぞこの野郎……え、ダメ? そんなにダメなのこのタイトル? なろうは長文タイトルであらすじを盛り込めって聞いたんだけどなぁ」
ボケ「まーなんと言うか、長いだけでインパクトが無いですね。ニートの俺がチートなうんたらだから……もう思い切って《ニート》でいいんじゃないですか?」
ツッコミ「いや投げやりだな! あらすじ全然盛り込めてねぇし!《ニート》って何だよ! それはただの俺の日常だよ!」
ボケ「日常系の方向性で……」
ツッコミ「行かねぇよ! 女の子の日常ならともかく、ニートの日常なんて読んでて何が面白いんだよ! 鬱になるわ! 俺は異世界バトルものが書きたいの! いいから早く本文読んでくれや」
ボケ「えーなになに……『俺こと童貞ニート安田たかしは、暴走するトラックに轢かれて死んでしまった』……完」
ツッコミ「勝手に完結させるなよ! 一行で『死にました。完』なんて小説あるか⁉︎ 俺真面目に相談してんだから、頼むからちゃんと読んでくれよ」
ボケ「はーつまんね。戦闘シーンまで飛ばそ」
ツッコミ「おいぃぃぃぃ! 言ったそばから流し読みをするな! 作者の目の前でよくそんな事出来るな! お前鬼畜だろ!」
ボケ「……うーん、総じてリアリティが無いな。ちょっと一回転生してくれば?」
ツッコミ「そんな軽いノリで転生出来るか! それともなに、お前遠回しに俺に死ねって言ってるの⁉︎ 辛辣すぎだろ。泣くぞ」
ボケ「後はなんだろ、この小説に対するお前の愛が感じられない。なんか、売れる為にやっつけで書いてる印象だな」
ツッコミ「うっ……た、確かに、お前の言う通りだ。俺は、本当は異世界ものじゃなくてピュアな恋愛小説を書きたいんだ。でも、テンプレ一強のなろうでそのまま投稿しても誰にも読んで貰えないのは明白……」
ボケ「うん……」
ツッコミ「だから、一回異世界ものに手を出して人気が出てから、本当に書きたいものを書いたら、みんなが読んでくれるんじゃないか、って……愛が無い、か。ありがとな、目が覚めたわ。今は人気が出なくても、俺はこれから恋愛もの一本でのし上がっていくぜ。最後に教えてくれ。その為には俺はどうしたら良い?」
ボケ「まぁね、人気になりたいならそれこそ悪役令嬢もので一発当てれば……」
ツッコミ「それが出来れば苦労しねーよ! もういいぜ!」