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猟機兵装 - 思いつきの記録 -  作者: イワトノアマネ
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07. 漆黒の悪魔(後編)


 統一経済圏本部ビル。推進連合幹部室。

 

「丁度いい状況が、いいタイミングで転がり込んでくれたな」

「ええ、助かります。いろいろ時間をかけなくて済みました」


 薄暗い部屋の中、やわらかいソファーに腰をうめて話すスーツを着たふたり。


「この件はレベル4としてすぐに処理したまえ」

「はい、すでに準備は出来てます」


   ◇


「ライタ少尉、起きてく下さい、作戦1時間前です。機体のチェック急いで始めてください」


 初任務で緊張し睡眠時間になってもすぐに眠れず、寝坊してしまった。

 本来は2時間前に起こされるのだが、気をつかってくれたのだろう。

 目を開くと格納庫内は寝る前の白い照明から赤い照明に変わっていた。

 黒いネクタイのある制服を着た女性の作戦管理士官に起こされた。

 

 ベルトを外して担架のようなベットから起き上がり、機体に乗り込んだ。

 あお向けになってシートに収まり、機体の自動チェックを立ち上げた。


「起電石停止中、浮遊石停止中、システム正常、機体正常、異常無し……」


 操縦席から出て機体を固定していたワイヤーの取り外し作業を確認する。

 全ての固定用ワイヤーが外されると残されているのはレールと繋がっている背中とカカトのロックだけだ。


「時間です、起動してください」

「「了解」」


 俺と僚機のパイロットは機体と輸送機の天井の間で待機していたが、操縦室から出てきた管理士官の指示でシートについてベルトを装着。

 起電石を起動する。

 ブーンとうなりを上げ、機体の各部へと電気が満たされる。

 最終システムチェックを済ませ、ハッチを閉じた。



 格納庫内にビービーとブザーが2度鳴った。

 輸送機の格納庫内の赤い照明が消える。

 機体を伝ってブーンという音と同時に輸送機のハッチが開いてゆくのを感じた。

 そして、時が来た。

 

「降下開始!」


 接触回線で管理士官の声が聞こえた。

 ガタンという僚機のロックが外れた音とガラガラという振動を背中に感じた。

 輸送機の後方に小さなパラシュートが伸び、僚機が引き出されてゆく。

 

 ガタンと先ほどより大きな音と振動を背中に感じると、すぐにシートに腰が押し付けられた。

 ガラガラという振動を感じたのは一瞬だった。

 大きく揺れる機体。

 自動で姿勢制御が始まり安定する。

 正面のモニターには赤外線画像で降下目標地点が表示されていた。

 降下は全て自動で行われる。

 

 Ⅲ型には、ふくらはぎから足首にかけて三角形のふくらみがあった。

 これがこの機体の最大の特徴である波動型浮遊石。

 降下速度を減速させ、安全に地表に降りられる装備。

 

 波動型浮遊石が起動し減速が始まる。

 地表に近くなると一気に減速しベルトが体に食い込んだ。

 

 そして着地……いや、僅かに浮いたままだった。

 

 モニターの地図で僚機の位置を確認する。

 全機、無事に降下を完了していた。

 

 2番機が電柱のそばに移動し電話線を切断。

 3、4番機は山の上で無線妨害。

 6番機に乗っている俺は5番機に続いて進んだ。

 7番機と8番機は回収用揚陸艇の上陸地点の警戒についている。

 近海には強襲揚陸艦が待機していた。

 

 道路脇にある電線を切らずにジャンプして越える。

 波動型浮遊石を装備した軽量な機体であるⅢ型にしか出来ない技だ。

 

 1番機と2番機がテロリストの集まっている拠点へ攻撃を始めた。

 5番機と俺は、道路の周囲にある建物を3芯のガトリング銃でなぎ払って進んだ。

 

 そして、最大の目標である科学兵器プラントへ左腕に装備しているグレネードを打ち込んだ。


 プラントは爆発し赤い炎と黒い煙に包まれた。

 

 これで終わりじゃない。

 この先にまだ標的がある。

 そう考えて、機体の向きを変えたときだった。

 

 ピピっと小さな警告音が鳴り、モニターに動体追跡枠が表示された。

 トレーラーだった。

 荷台には、ワーカーが2機。

 

 俺は対人用散弾の発射ボタンを押した。

 

 トレーラーは動きを止め爆発し、ワーカーも吹き飛んだ。

 俺はこのときになってやっと気がついた。

 何かがおかしいと。

 それは、反撃がないことだった。

 その事が気になって、作戦中なのに迷ってしまった。

 

 ピピっとふたたび音がして動体追跡枠を見た。

 そこにはワーカーが映っていた。

 枠内をズームすると、若い女性……少女が泣き叫んでいた。

 

 後ろでは5番機が次の建物へ銃弾を浴びせていた。

 建物は崩れ落ち火を吹いた。

 

 俺はコックピットで叫んでいた。

 

「早く、早く逃げろ!」



 俺は知らなかった。

 数年後、少女が荒野の牙と呼ばれる悪魔となって敵対する事を……。

 

 俺が悪魔を逃がした……いや、ちがう。

 俺が悪魔を生み出したのだ。

びっくりです! 

思いつきでバラバラの話でいっか。とはじめたけれど、なんとかつなごうと思ったらこんなことに……。

すごい繋がっちゃった。


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