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猟機兵装 - 思いつきの記録 -  作者: イワトノアマネ
43/45

43. 北極大陸


【統一経済圏本部ビル。地下シェルター内、会議室】


 大きなテーブルを囲んで向かい合っているスーツを着た者たち。


「情報部は何をしていたのかね!」

「今はそんなこと言ってる場合じゃないぞ――」

「我々がココにいることは知られているのだぞ――」


 誰が誰に向かって言っているのか、わからないほど混乱している者達。

 

「どこの基地とも連絡がとれんのだぞ」

「軍は何をしている。我々はいつまでココに隠れていなければならんのかね」


 何人かは立ち上がり身を乗り出して叫んでいた。

 

「落ち着きたまえ諸君」

「議長……」


 巨大なモニターを背にした男が両手をテーブルの上で組み口を開いた。

 

「奴らにココは落とせても、我々には手が届かないから安心したまえ」

「安心しろだと! ココ以外で安全な場所などどこにあると言うのだ」


 議長と呼ばれた男が脇に立っている男に視線を向けた。

 視線を向けられた男が、手にしていた端末を操作しはじめる。

 すると、巨大なモニターに世界地図が表示された。

 

「こういった状況に備えて用意していた場所があるのだよ」


 議長がそう言うと、世界地図に赤い点が表示され拡大された。

 そこは北極大陸だった。

 

「そんな場所に何があるというのか、聞かせてもらおうじゃないか」


 立っていた者達が席に座るのを確認してから議長が話を続けた。

 

「そこが、世界最大の起電石発掘場であったことを知っている者は極わずか――」

「それは何百年も前に掘りつくされ、廃棄されたはず……」

「そう、廃棄された――それは表向きの話。今は別な作業を行なっているのだよ」

「別な作業?」

「そんな話、聞いて無いぞ」


 議長は身を乗り出した男に視線を向け、手をかざし制止する。

 

「これは極秘で行なっていたのだよ、うっかり口を滑らせたりされると厄介だからね。どこにネズミがいるかわからないから君たちには何も話していない。知らなくて当然だ」


 議長の話に合わせてモニターの映像が切り変わる。

 そこには2つの長方形と円の描かれた三面図が映し出された。


「これは……」

「起電石は掘りつくされたのではないのだよ、コレを発見したための欺瞞ぎまんだ」

「いったい何なんだ、コレは?」


 モニターの映像が投射図に変わり細かな線の入ったポリゴン表示に変わった。

 そして、すぐに着色され、文字と数字が脇に表示される。


「コレは起電石と浮遊石をもたらした者達の残した宇宙船――遺産ではなく我々を導くために残したのだろうと推測されているが、まだはっきりとはしていない」

「それが動いたとして、我々はどこへ行くのかね。これを残したやつらの罠かもしれないんじゃないのかね?」


「どこへも行く必要はない。まっ、行けないと言うのが正しいのだが――。コレを移動させるほど調査は進んでないのだよ――」

「なんだと! それでは何の役にも立たぬではないか!」


「移動は出来ない。だが、機能の一部である強力なシールドなら稼動させられる。稼動させる範囲の調整も可能だ」

「そんなことが……」

「内臓された多数の起電石で発電、浮遊石を波動起動させ周囲の物質を弾き飛ばせる。砲弾やレーザーも通さない盾となってくれるのだよ。我々はこの中で時を過ごせばいい。内部では地上と同じ暮らしができるよう整っている。いや、従順に働いてくれる奴隷が少々足りないが、まあ、それも途中で補充する準備はできている」


 議長が笑みを浮かべると、モニターの映像が消えた。

 

「それで、そこへはどうやって行くのかね?」

「問題ない。囮に地上で踊ってもらう。そのあいだに我々は地下水路から潜水艦でココを発てばよい」

「なるほど、それなら安心だ」


   

   ◇



「よし、滑走路の修復を始めるぞ! バイオレット31以外の機体は全部出せ!」


 基地の制圧を完了し滑走路の復旧作業が始まった。

 その指示をキヌタ・カズキが出している。


「コウタ! Ⅵ型は使えるのか?」

「3機ともOKです」

「じゃあ、誰でもいいから出してくれ! 転がってる機体の撤去を頼む」

「わかった。俺が乗る」


 コウタがエリカの機体に向かって駆け出す。

 すると、エリカが先に機体へと乗りこもうとしているのが見えた。

 

「エリカ! キミは休んでろ。あとは俺達がやる」


 エリカが振り向いた。

 キヌタ専務から事態の説明を受け、よくわからないが喜んでいいんだと納得し、普段のエリカに戻っていた。

 

「コレはわたしの機体だから、わたしがやるぞ!」


 コウタは困った顔をしながら、振り向いてキヌタ・カズキを探した。

 しかし、見当たらないため、黒いバイオレット31の近くで、娘の頭を胸に押し当てているライタに視線を向けた。


「ライタさん。どうします?」

「まっ、そのくらいはいいだろう」

「了解」

「エリカ! まかせる」

「了解だぞ」


 ライタの胸に頭を押し当て泣いていたサトコが顔をあげた。 


「わたしもやります」

「いいのか?」

「わたしにも、できることだから」

「わかった。いいよ」

「はい」


 サトコが父に渡されたハンカチで涙を拭いてから駆け出し、機体へと向かった。

 その姿を見送るライタ。

 機体に乗り込んだのを見届け、コウタに声をかける。


「俺の機体は補給だけだ、3人の機体チェックを優先してくれ」

「了解です」




 エリカとサトコが格納庫から出て行くのを見ていたコハル。


「おまえも行きたいんだろ」

「はい、でも私の機体は外に置いたままだから――」


 外にある機体のことを考え、格納庫の出入り口に視線を向けるコハル。

 そこへ、コハルのⅥ型を抱えて緋色の機体が地下の格納庫に入って来た。

 

「よし。行ってこい」

「はい」

 

 サヤカがⅥ型を降ろすと、コハルが駆けよって乗り込んだ。

 

「うん。異常なし」


 素早くチェックを済ませハッチを閉じ、モニターに映る父を見た。


「行ってきます」




 整備員達はアイの機体チェックを済ませた班が、サヤカの機体へと向かった。

 セイジのバイオレット31は関節の冷却部品の交換を始めている。


 部品はⅥ型の予備を使った。

 Ⅵ型はバイオレット31からスカーレットモード用の浮遊石を外した機体。

 開いたスペースは推進剤のタンクに変えただけ。

 これと装甲以外は同じ機体。


 バイオレット31には、最終目標である統一経済圏本部ビルの制圧支援という仕事がまだ残っていた。


 キリシマ隊の残存機は別な基地に着いたが、損傷が激しかった。

 それでも、サヤカ達に変わって本部ビルへの出撃指示がだされていた。

 しかし、修理は翌朝まで掛かると言われていた。


   ◇


 白天の季節と呼ばれるにふさわしい、満天の星空。

 GGA03ザンゲツが数十機。

 背中の推進器が青白い光を放っている。

 

 ザンゲツのコックピット。

 男が見つめるモニターには巨大なビルが拡大された。

 

 数機の武闘Ⅱ型ステップアーマーが本部ビルを囲んでいた。


 先頭を飛行していたザンゲツが、右手の銃を上に向け、回転させた。

 

「獲物がいたぜ!」




 戦闘は一瞬で終わった。


 地表を逃げ惑うⅡ型。


「こちら、本部制圧部隊。敵の猟機兵装が多数。至急増援を――」


 上空から背中やカカトを狙って撃つだけで転がるⅡ型。

 浮遊石によるスケーティング推進の旧型兵器。


 装甲車両相手なら充分な戦力だった。

 しかし、新型の猟機兵装アーマー相手では、駆られるだけの獲物でしかなかった。


「もう、おしまいか?」

「隊長! これなら俺一人でも楽勝ですぜ」


 弱すぎる敵に戸惑うハラダ。

 降下して敵機にトドメをさす仲間達。


 それを眺めていたハラダのコックピット内に、警告音とは違った音が鳴る。

 モニターにテキスト通信が表示された。

 

『そのままココで日没まで敵を迎撃。指定ポイントへ移動せよ』


「すいぶん長いじゃないか……こりゃ囮になれってことか? ヤバくなったら降りると言いたいとこだが、俺が知ってる行き先は地獄だけだしな。しょうがねぇ付き合うさ」


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