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猟機兵装 - 思いつきの記録 -  作者: イワトノアマネ
39/45

39. やつらは本物のハンターだ!


「全機に通達、これより前方のⅤ型を殲滅する」


 大隊を指揮するカキノキ中佐がそう告げながら、機体が手にする銃を構えた。


 基地の上空を低空で通過する多数のザンゲツ。

 同じ高度で接近するⅤ型。


「攻撃開始!」


 ザンゲツから一斉に放たれる砲弾。

 左右に分かれて回避するⅤ型。

 

 Ⅴ型に乗るキリシマよりも少し若いパイロットが、モニターを見つめて言った。

 

「いったい何機いるんだよ!」

「この数を相手にするのは、かなりきついな……キヌタのヤツ無茶させてくれる」


 Ⅴ型を操縦するキリシマが激しく機体を揺らしながら、砲弾を放っている。

 

「よし! 1機目。 次ぎ!」


 数の差は4倍近くあるが、Ⅴ型は敵の機体同士を射線に持ち込んで、敵に砲撃をためらわせながら戦っていた。


「2機目。 次ぎはそこだ!」


 キリシマは追われている僚機をさがしていた。

 見つけると、追っている敵の推進器へ砲弾を撃ち込む。


「3機目!」


 最初は分散したキリシマ達だが、すぐに左右から中央へ切り込んで敵を分散。

 動きの遅い者から確実に狙い、数を減らしていった。


「くそっ! こいつら戦争の生き残りか? 錬度が違い過ぎる」


 カキノキ中佐は少し離れた場所から、戦闘を眺めていた。

 

「中佐! あんな旧型機に我々がなぜ?」

「旧型だと、ザンゲツと中身は同じだぞ! やつらは本物の狩猟者ハンターだ!」


「ハンターですか?」

「ああ。獲物に噛みつかれるような素人じゃない。本物のハンターだ」


 次ぎ次ぎと落とされていたザンゲツだが、Ⅴ型も何機か被弾し、離脱する者がいた。

 数が多すぎて混乱していた空だが、互いに半数まで減ると、状況が変わった。

 

「推進剤がヤバイな……降下して戦うしかないか……」


 キリシマが降下し、敵を下から撃ち始める。

 すると、ほかの機体も同じように降下し始めた。


 そのとき降下中に爆裂開放で自動回避した機体。

 一瞬だった。

 Ⅴ型は腰から下が粉々に吹き飛んだ。

  

「何だ今のは!?」


 キリシマが予測した砲撃地点を見る。

 モニターの動体認識枠が表示され、拡大された。

 

 枠の中には着地したままのⅥ型が、巨大な砲を腰に構えていた。

 

 その機体にはサトコが乗っていた。

 

 構えていたのは、今回の式典に持ち込まれていたザンゲツ用の装備。

 メテオララ社の大口径砲。

 

 放たれたのは、新装備の多弾頭砲弾。

 1発の砲弾が分散して敵を襲う。

 

 浮遊しながら撃てる小口径の砲弾ではない。

 浮遊したまま使うことが出来ない、大口径の砲弾。

 

 直撃すれば、猟機兵装は粉々に吹き飛ぶ。


「先にアレを潰さなければ、厄介だ……」


 キリシマは知らなかった。

 操縦しているのがサトコだということを。

 

「次ぎはアレ……」


 サトコの目の前にはであるⅤ型が映し出され、照準の中に納まった。

 

「撃ちます!」


 サトコが操縦スティックのボタンを押す。

 同時にⅥ型の人指し指が大口径砲のトリガーを引いた。


 砲口から放たれる砲弾。

 爆炎と衝撃波に爆音。

 吐き出される巨大な薬莢カートリッジ

 

 Ⅴ型の自動回避では、分散してくる多弾頭砲弾をかわし切れなかった。

 

 左の手足が噴き飛び、胴体の側面にもかすり、機体が弾き飛ばされる。

 

「次ぎは……」


 サトコが次ぎの標的を探していると、警告音が鳴った。

 

「やっぱり、この状況じゃ無理なんです。こんなの」


 そう言ってサトコのⅥ型は砲を投げ捨て、地下格納庫のスロープへ後退。

 キリシマが全力で向かって、砲撃を始めたが届かなかった。


「よし、それでいい」


 キリシマはⅥ型が砲を捨てることはわかっていた。

 だから射程外からでも、砲弾を放ったのだ。

 

「まだ出てくるのか……」


 サトコが消えた方向からザンゲツが出てきて、まっすぐ向かってきた。

 

「……キヌタは何をやってるんだ」


 キリシマはザンゲツに向けて照準を合わせたまま待っていた。

 敵が撃つタイミングで打ち返す気で待った。

 

 自身の機体が放った光で、こちらの砲口の光を感知させない。

 その結果、自動回避をさせずに仕留められる。

 

 そのタイミングを待っていた。

 しかし、ザンゲツは青い光を放って上昇。

 同時に砲撃を始めた。


「なに!」


 キリシマはザンゲツを追って視線を動かした。

 照準も銃もザンゲツを追った。


 そして、キリシマの乗るⅤ型の銃から砲弾が放たれた。

 同時に機体が金属で殴られている音が聞こえた。

 

「何だ、ヤツの砲弾じゃない。もう1機いただと!」


 キリシマの機体に砲弾を浴びせていたのは、コハルだった。

 

「これ以上はもう、好きにさせない!」


 上昇したザンゲツにはキミズカ中尉が乗っていた。

 二人は試合の時に見せた技を、実戦で仕えるように進化させていた。

 

 先行するキミヅカ機の陰にコハル機。

 キミズカ機は上昇する際に最大推進で上昇。

 

 それによって青い炎の壁が生まれ、その影からコハルが砲弾を放つ。

 砲口の光は青い光に溶け込み、感知されない。

 

 それにより、キリシマは青い炎の中にⅥ型がいるとは気がつかなかった。

 

「ここまでか……全機撤退せよ!」


 キリシマはそう言って、青い信号弾を放った。

 

「キリシマ隊長が……全機撤退だ!」


 キリシマ隊の副隊長機が電波妨害ジャミング中とはいえ、無線で呼びかけた。

 そして、眼下に横たわるⅤ型を見つめながら、その場を離れた。


   ◇


 来賓席のある建物の地下。

 最初に潜入したキヌタの弟、ヒロキがいた倉庫の前。

 扉を5回ノックする清掃作業員。


 扉を開いて中に入ると、口を塞がれ、首に冷たい物を感じた。

 抵抗せずに両手を上げる清掃作業員。


 顔に明かりが向けられると、誰かが言った。


「大丈夫。そいつは仲間だ」


 倉庫にはキヌタの仲間がいた。

 状況を聞いてから、燃料配管のあるトンネルに戻った。


 トンネルには有線での通話機を急遽用意していた。

 そして、キヌタの兄、カズキと連絡をとり作戦を考え始めた。


終われるのかドキドキでしたが、なんとかなりそうです。

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