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猟機兵装 - 思いつきの記録 -  作者: イワトノアマネ
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19. スカーレット22(後編)


 森の中を縫うように走る道路を進む4機のバイオレット11。

 一番外側のルートを進むサヤカのいる小隊。

 

「敵だ全機散開!」


 先頭にいた隊長が叫んだ。

 敵は道路脇の川の上を飛んで進んでくる。

 

「攻撃開始! クソッ! 別働隊か。ファング・フォー・リーダーより本部へ……」


 隊長が発砲しながら本部への報告。

 

「Ⅴ型が8機か……厳しいな」


 キヌタが銃のボタンを何度も押しながら、つぶやいた。

 敵は弾膜を割け森に隠れ、すぐに反撃しはじめる。

  

 サヤカはキヌタが引き付けてる間に敵の側面にまわりこんでいた。

 左手の銃を腰に収めて、背中から直刀を抜くバイオレット11。

 直刀を突き出したまま、膝を折って木々の間を縫うように進む。

 

「よし! もらった!」


 サヤカの前に敵の機体が見えた。

 敵の側面から直刀を突き刺す。

 腕を伸ばして銃を構えていた敵が、こちらに向きを変える前に直刀が貫いた。

 サヤカは直刀を抜かずに、次の敵へ銃を向け撃っていた。

 

 すぐ近くにいた敵が、こちらに向きを変えて銃を構えたまま動きが止まった。

 サヤカの機体の前には直刀で貫かれたⅤ型がある。

 サヤカのバイオレット11から放たれた砲弾が敵の頭を吹き飛ばす。


 センサーやカメラの集中した頭部を破壊されると、機体各部にある固定倍率の通常光学映像と、銃のカメラ映像だけになる。


 動きを止めたままの敵に、サヤカのバイオレット11が突き刺した直刀を残したまま、Ⅴ型の影から出て前進する。

 右手の銃を左に持ちかえ、背中から直剣を抜いて突き出した。

 

「2機目いただき」


 サヤカは直剣を抜いて、背中に戻しその場を離れた。

 

 3機目は川岸でキヌタに銃弾を浴びせられ、動きが鈍っていた。

 サヤカが装甲の薄い脇を狙って1発で仕留める。

 

「ファング・フォー・フォー。我より2時方向に敵」

「了解」


 キヌタはサヤカのバイオレット11が敵を倒したと気がつき、次の敵の位置を連絡して来た。

 サヤカはキヌタの砲弾の方向から位置を推測し、次の敵へと向かった。

 

 サヤカが近くにいた4機目を見つけると、敵は銃を向けて撃ってきた。

 推進器を使って左へ回避。

 右腕の装甲が砕けたが腕に損傷は無かった。

 

 敵はサヤカに意識を集中していたせいで、キヌタへの警戒が甘かった。

 キヌタのバイオレット11が放った多数の砲弾が、4機目を左側面から襲った。

 

「ファング・フォー・スリーより、フォー・フォー合流してくれ」

「フォー・フォー了解」


 キヌタの機体を見つけた。

 キヌタのバイオレット11は銃を右手にしか握ってなかった。

 戦闘中に敵の弾が当たって損傷し捨てていた。

 

 サヤカは左腰の銃と、予備の弾倉マガジンをキヌタに渡した。

 いつものことだった。キヌタが銃で牽制し、サヤカが側面から攻撃。

 キヌタのほうが弾の消費が大きいため、こうして途中で補給していた。


「次、行くぞ!」

「了解」

 

 2機は離れて、引き返した。

 小隊長達が放っている銃の音がする方へ。




 小隊長機も僚機も被弾し損傷しながらも、高速で後退しながら反撃。

 4機のⅤ型が跳ねるように森から機体を上空に見せながら、攻撃していた。


「くそっ! しぶとい。キリシマ、ハラダ、お前達は先行しろ!」

「了解」


 2機のⅤ型がバイオレット11を追うのをやめ、離れた。

 森の上を加速しながら低空で飛行するⅤ型は駐屯地の方角に進路を合わせ飛びさってゆく。


 駐屯基地では奇襲部隊の接近を知り、防衛用のバイオレット11を周囲の森に展開していた。


 森の上を低空で飛行するⅤ型が2機。


「キリシマ、基地に突っ込んじまえば撃たれにくいとか無茶だぜ!」

「一撃離脱、建物にグレネードを撃ち込んだら退避。俺達ならヤレル!」

「しょうがねえな」

「そろそろ見えるぞ」


 2機のⅤ型へ向けて砲弾が向かってゆく。

 しかし、砲弾が届く前にⅤ型は森の中に消えた。

 スモークやチャフをばら撒きながら森から出てくる2機。

 

 照準を合わせるバイオレット11のパイロット。

 しかし、トリガーを引くのをためらった。

 照準の先には格納庫があったのだ。

 

 Ⅴ型はグレネードを建物に向けて放ちながら、バイオレット11にも照準を合わせ、砲弾を浴びせた。


 次々と破壊されるバイオレット11。

 そのほとんどがフレッシュセットと呼ばれる新兵の操る機体。

 

 そこへ直刀を手にした機体が現れた。

 

「なんだコイツ! 剣なんかでヤラレルわけないだろ!」


 ハラダのⅤ型が飛んで交わす。

 バイオレット11は銃を上空に向け撃つが交わされる。

 

 キヌタは途中で小隊長達を援護しているため、ここに来たのはサヤカだけだった。

 2機のⅤ型は交互に飛び上がりサヤカのバイオレット11へ砲撃を浴びせた。


「バイオレッ――11へ、格――に残し――た機体を破壊して――」


 サヤカの機体に途切れがちな携帯無線から連絡が入った。


「今は無理!」


 サヤカのバイオレット11はジャンプや横推進で砲撃を交わし反撃している。

 最後の弾倉マガジンの弾を撃ち尽くすサヤカ。

 それが、ハラダの足へと集中した。

 

「まずい! 浮遊石がやられた!」

「わかった! 一気に決める。ハラダ! 左右から行くぞ!」

「了解」


 上空から攻撃を続ける2機にサヤカは何も出来なかった。

 手にしている銃は残弾ゼロ。

 予備のマガジンも無い。

 

 サヤカが予想した最悪の敵だった。

 いつか立体的な攻撃が出来るパイロットを相手にするとわかっていた。

 それが、今だった。


「終わりだ!」


 2機のⅤ型が放った砲弾は、全速で格納庫へ向かうバイオレット11を捕らえた。

 頭部や腕が飛び散り、足や動体の装甲を撒き散らしながら格納庫へと滑りこむサヤカのバイオレット11。


「やったなキリシマ!」

「ああ俺達の勝利だ……」


 キリシマはコックピット内で敬礼していた。

 敵ながら、単機でこれだけ抵抗した敵に敬意を表して。


 森の中に展開していたバイオレット11が戻ってキリシマ達を攻撃。

 しかし、次々と破壊されてゆく。




「助かった……」


 格納庫の奥まで滑りこんだバイオレット11。


 サヤカがハッチを開いて転がり出ると、中古の装甲が散乱していた。

 左に目を向けると朱色の猟機兵装アーマーがあった。


「破壊ってこれのこと……」


 サヤカは迷わず乗り込んだ。

 

「スカーレット22、これの名前ね」


 シートの上に貼られたシール。

 バイオレット11も同じだった。

 

 シートについてベルトを装着。


「……待機モード……すぐに動かせるじゃない……」


 コックピットのレイアウトはバイオレット11と同じだった。

 

「起電石起動、浮遊石起動、システム正常、機体正常、推進器正常……」


 ブーンとうなりを上げ、機体の各部へと電気が満たされる。


「最終システムチェック完了。ハッチ閉鎖、移動開始、使える武器はコレだけね」


 格納庫から飛び出るスカーレット22。

 サヤカは操縦スティックのボタンを押しながら、ペダルを踏み込んでいた。

 両手に握られた刀を翼のように広げ、背中の推進器が青白い光を放って上昇。

 

 キリシマの機体へと向かっていた。

 

「お返しよ!」

「なに!」


 不意を突かれたキリシマ。

 サヤカは刀を振り上げ、キリシマの右腕を切り落とした。

 

 ハラダは初めて見る機体へ銃を向け、撃ち続けた。


「キリシマ! 撤退しよう」

「ああっ」


 2機は残っていた弾を撒き散らしながら、全速で飛び去った。

 サヤカはキヌタの無事を確認し、最前線へ向かって敵を押し返した。

 しかし、この戦闘中、敵の戦闘機部隊が強行突入。

 多くの犠牲を出しながら長距離誘導爆弾でレーダー基地を破壊していた。


 サヤカたちは生存者の救助と機体の回収作業を行うと、駐屯地から撤退。

 空港まで後退していた。


今回はロボ物ではお約束、戦闘中に新型機へ乗り換えでした。

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