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猟機兵装 - 思いつきの記録 -  作者: イワトノアマネ
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17. 猟機兵装ブラッドアーマー


 住人が避難を終えた市街地。

 Ⅱ型が大口径砲でスモークチャフを撃ちこむ。

 Ⅳ型が低空で進入。

 建物の影に入って、進むはずだった。



「この距離で、戦車砲を交わせない!?」


 ビルの1階店舗のショーウインドに並ぶ商品。

 その奥に黒い円。

 戦車の砲口。

 

 爆音でガラスが吹き飛び、建物内の天井ボードが落ちた。

 

 発射されたときの光を感知し回避機能が働く。

 右側にビルがあるため、右方向に青い光が爆発したように広がる。

 パイロットスーツに取り付けられていた、頭や首を保護するためのエアバックが開いた。

 殴られたような横Gがパイロットを襲う。

 Ⅲ型改ならば、これで回避できる距離だった。

 

 彼のⅣ型は右腕を失った。

 同時に炎に包まれ、金属片が操縦席へと飛び込んだ。

 操縦席には爆音と供に、矢のように炎が流れ込み命を奪った。

 

 

「こんな雑魚の砲弾でヤラレル? 敵の弾は特殊な――」


 小口径の砲弾を速射してくる小型の装輪戦闘車。

 装甲に突き刺さることはあっても、貫通されない口径のはずだった。

 

 立ち止まったままのⅣ型。

 装甲が砕け散り、操縦席へと抜けた弾がモニターの光と、命を奪った。

 


「左脚部に異常? こんなときに! くそっ! 急に動きがあっ――」


 バイオレット11と戦闘中のⅣ型。

 足をガレキに何度かぶつけた。

 機体を損傷させるほどの接触ではないとパイロットは考えていた。


 機体の高さと同じ高さから、浮遊石が停止状態で落下しても絶えられる機体。

 教本にはそう書かれている。

 

 警告音と同時にモニターが切り替わり、機体の全体図が表示される。

 左脚部が赤く点滅していた。

 機体の動きが遅くなる。

 

 叩かれるような衝撃音が操縦室に響いた。

 装甲に黒い穴が幾つも現れ、砕け散る。

 機体が大きく傾き倒れた。

 パイロットは、その衝撃を感じることはなかった。


   ◇


【統一経済圏本部ビル。推進連合幹部室】


「Ⅳ型の件、順調だな」

「はい」


 大きな窓辺のデスクに影を映し問いかける男。

 ソファーに座って答える男。


「起電石、浮遊石、磁界変性燃料と推進装置……すべて、我が国のもの……」

「はい、GG社が技術ライセンスを購入。それによりあの企業は賠償問題を解決」

「社員の反応はどうだ」

「はい、開発企業のワーカー生産については手を出してませんし、社員や下請け企業の多くは我が国で受け入れております」


 圧倒的優位な状況となるはずだった武闘Ⅳ型。

 試作機では問題なかったが、量産機に問題が起こった。いや、起こすようにされていた。


 開発企業から生産企業へ送られたフレームや装甲材の加熱工程の数値が間違っていた。



 加熱不足による、強度不足。


 発覚したのは予定した数を生産し終えてからだった。

 すでに開戦し次々と破壊されるⅣ型。


 苦戦する状況を改善しようと、飛行距離を稼ぐために燃料タンクを巨大化。

 このためだけ・・として、用意されたフレーム補強。

 結果は重量増加による回避能力のさらなる低下。

 

 味方の血を吸う……ブラッドアーマー。


 デスクにいる男が情報端末を見ていた。

 そこにはライタの情報が表示されている。


 予定外で敵に渡った技術。

 敵のバイオレット11にも横方向推進器が装備された。


「ライタ中尉には感謝しなくてはな」

「はい、予想以上の被害でしたが彼のおかげで、こちらの工作が目立たなくて済みました」

「帰ってきてもらっては面倒だ、始末は出来たのか」

「いえ、いまだ居場所がつかめず……見つけ次第処分するように指示してます」

「逃亡罪で死刑が確定。おまけに機体を敵に渡したスパイ容疑……これでは表に出る事もないか……」


   ◇


 日の光を浴び、熱い風が頬をなでる乾いた大地。

 そこにある巨大な滑走路をもつ軍事基地。


 格納庫の前には丸い胴体と長い翼を持つ灰色の大型輸送機。

 その周囲では大声や車両のエンジン音が聞こえる。

 猟機兵装アーマーを前線基地へと輸送する定期便。



 少し離れた格納庫。

 扉の隙間から射し込む細長い光。

 薄暗い格納庫の中には巨大な黒い機体。

 

 Ⅳ型を空中から投下するために作られた新型ステルス輸送機。

 Ⅳ型の問題により2機で生産中止となった不用品。

 

 その操縦室に2人の影。


「こっちは異常無し、そっちは?」

「こっちも、これで終わりです」


 座席に座ったまま情報端末の画面を見つめる女性。

 四角い枠に触れ、チェックマークを表示させた。

 

「私達、出撃することないのかな」

「したいのか」

「そのために、軍に入ったんです」

「そっか、そうだったな……」


 彼女は敵国によるテロで両親を失っていた。

 親戚に養子として引き取られた。

 その親戚は資産家だった。

 実子である後継者もいる。

 

 養父母は軍へ入る事に反対した。

 しかし、義兄姉が背中を押してくれた。


 小型自家用機の操縦免許を持っていたため、連絡機の操縦から始まった。

 大型機操縦資格を得るため輸送部隊へ転属。


 戦場に向かうはずだった。

 本人の知らないところで金が動いていた。


 安全な場所をと願う者と、危険な場所に向かうように願う者と。


 だから彼女はココにいた。

 出撃することが無いだろうと言われるが、出撃すれば敵地の上空を飛ぶステルス輸送機の副操縦手として。


思いつきで書いた物語の穴埋め話でした。


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