01. Ⅱ型になるまで ~システム開発部編~
僕は軍が採用している人型兵器を開発した巨大企業へ就職。
研修後、社内でももっともホワイトな部署と呼ばれている人型兵器のシステム開発部に異動となった。
希望どおりの職場。
広くて綺麗なオフィス。終業時間になればすぐに誰もいなくなる。残業ゼロ。
喫茶、食堂、シャワー、ランドリー、個室型仮眠室まで完備。
住むところもオフィスの上にあるマンション。
通勤はエレベーターですぐ。
仕事は軍に納品している人型兵器、武闘Ⅰ型のシステム開発。
Ⅰ型はスタイリッシュな外観で内外に人気がある。
優秀な人型汎用機。
基本動作はゲームのように動かせるので高い評価を受けている。
人を手に乗せる動作も、音声入力かスクリーンに映し出されたコマンドと対象を視認すればいい。
整備も信頼度の高い自己診断機能付き。
運用コストでも優秀な機体。
僕は人型兵器の開発にかかわることが夢だった。
そう、夢だった。
生産されてから数年。
今だに多くの問題を抱えていることを知った。
通常は、細かな追加装備による重心変化への対応を自動で処理できる。
しかし、軍や政治的都合で参入している企業が存在し、そこから追加される装備への対応に問題が起こっていた。
基準値を越える重心変化をもたらす、重装備。
こういった装備は各企業がシステムも開発する契約こなっている。
しかし、それらの企業からシステム開発を依頼されれば、断れない契約にもなっていた。
◇
「部長! Ⅱ型じゃだめですか? Ⅰ型じゃ機体寿命が半分以下まで……」
「Ⅱ型……しょうがないね。新型機の標準武装ってことで先方になっとくしてもらうしかないね。さっそくだけど書類お願い。あっ、Ⅰ型でもうまく使えるようにもしておいてね」
「うまくって、どんな感じにでしょうか」
「課長さんに、まかせるよ」
「……」
◇
僕が入社して研修を終え数ヶ月。
毎日Ⅰ型のアップデートに追われる日々。
いつのまにか、仮眠室の扉に僕の名前が書かれたプレートが付いていた。
気がつけば同僚と住所が同じだった。
同じマンションの部屋に何十人も住んでいることになっているらしい。
仮眠室にはオフィスと同じ机と端末がある。
ここが僕の自室となっていた。
首から下げている認識タグで開閉する扉。
ここに入ると勤務時間外になった。
数日後……。
喫茶コーナーのカウンターで武闘Ⅰ型の印刷されたカップを手にして、ブラックコーヒーを飲みながら休憩していると、同僚から声をかけられた。
「おいおい、聞いたか? Ⅱ型の仕事が来るって」
「Ⅱ型……何ソレ?」
「Ⅰ型の発展型だから基本システムは同じらしい」
「もう無理。限界デス」
「これを乗り越えたら、新型の開発に参加させてくれるって課長が言ってたぞ」
新型の開発……。
僕はこの言葉を信じ、周囲からなんと言われようと『定時』で働き続けた。
このⅡ型が『新型の開発』であるとも知らずに。
◇
こうしてまた一人、漆黒の闇へと足を踏み入れ燃え尽き、真っ白な灰になるのであった。
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カラカラ様の活動報告へ書き込んだコメントから生まれた作品。
そのコメントをここに記す。
Ⅱ型になるまで ~システム開発部編~
入社して研修を終え数ヶ月。
シャワー完備のオフィス。
仮眠室が自室。
毎日Ⅰ型のアップデートに追われる日々。
Ⅱ型……何ソレ?




