倉本保志の シュール・ポエム 第2編
シュール・ポエムというのは、私 倉本保志の考えた造語です。
本来、ポエムはファンタジーという勝手な思い込みが倉本にはあります。
このシュールポエムはいわば、エッセイとポエムの中間に位置する
いいえ、中間の隙間(歪み・ひずみ)に生えた 毒キノコか、なにかです。
倉本保志の シュール・ポエム 第2編
その1
「これが真実です、 私はうそを言いません」
彼がもし
嘘しか言わない人間だったら
彼が言ったことは
彼の信念に則った
正義を貫く言動なのだ
たとえそれが
事実 真理と全く違った
虚偽の戯言、妄想であったとしても
彼には、ちゃんと 筋が通っているのだ
その2
ふんづけられて
腹から白いものがはみ出ているのに
ゴキブリがまだ、もぞもぞと動いている
もし痛みがあるのなら相当痛い筈なのに
彼はなんとか必死に逃げようとする
人間の私は 瀕死の状態である彼に
生きることの意味を、今更ながら教えられた
その3
根本が崩れたのなら
そこから覇生したすべてのものが
正当性を持ち得なくなる
もしそうだとしたら
国家なんていうものは
なんと説得力のない
希薄な バブルのような
存在なのだろう・・・
それをあたかも堅牢な実在として
未来永劫続くかの如くに洗脳され
誰かの描いたバーチャルに
浮かれ 熱狂し
あるいは故意に
個をひたすら埋没させて
忙しさに忘却させて
何一つ 分からないくせに
ぼんやりと 分かったような気分になって
のんべんだらりと
ふらへら、へらふら生きていく
そうする事でしか生きていけない
至極凡庸な私の人生
その4
凡人を否定してはならない
その裏返しの先にあるのは
酷く恐ろしい超人の思想
選ばれた者たち
すぐれた人間たちによる
万民の為の・・・?
専制政治
酷く偏った
自己中心的なスキゾの楽園
超人は存在しない
否
超人は存在してはならない
凡人の凡人による凡人のための
脱凡人的意識のもとでの
やせ我慢的努力こそが
祖国継続の確かな礎
その5
心の内の激烈なる攻防
その先にある確かな行為
そこへ行きつくまでの
度重なる狼狽 躊躇
あるいは幾度かの自棄や酩酊
さまざまな葛藤を経て
その行為は実行される
たとえそれが
自らの本意であるかどうかは別として
その行為が着手されるまでの幾段階においても
人はそのことを考え悩み自分に言い聞かせて
最後の決意なるものに辿り着く
己を捨てて守るべきものを守る
士の決意
テレビのニュースなどを見ていると、本当にリアルとバーチャルの境界が
分からなくなってしまいそうな事件ばかりが目につきます。
まあ、テレビに映像化(番組化)しているのですから、本当はすべてバーチャルなのですけれども・・・
「これが、現実だあああ、目を背けるなあああ・・・」的なニュースにはもう辟易を通り越して、目眩すら感じてしまいます。