49/72
佐恵の過去
兄は優しかった
いつも笑顔でニコニコしていた
強さだってあった
みんなから尊敬されていた
それがうらやましかった
正反対な妹はいじめられていた
兄はそれを知ってみんなに土下座までしてお願いしていた
なんで兄貴がそんなことするの
その日は涙が止まらなかった
「こんな…くだらないことで頭下げないでよ」
「ん?くだらなくないよ。妹のためなんだから」
兄はまっすぐみてきた
本気だと思った
それが耐えられなかった
兄がいないと何もできないなんて
そんなことない
頭の中が混乱して
「もういい。そんな兄貴いらない。どっかいけよ!!!!」
「佐恵…」
言ってしまった
兄貴なんかいなかったら比べられることがないのに
普通だったのに
もう耐えられずに出て行った
兄を見たのがそれが最後だった
それからは転々といろんなミッションをこなしていた
目にはもう光が消えていた




