勉強会という名の遊びその1
前回のあらすじ
初めまして大道梨恵です、さっき雄一郎に言われてこれをやることになったけど前に何があったか言えばいいのよね?
この前の話は月宮君がバイトをしていると分かってそこに行こうって雄一郎がうるさかったわね。
それで私たちは先生にバイト先を聞いてそこに向かったわ。
道中私がよく行く文具店に行って雄一郎がまさか自分の親と同じようにお婆ちゃんのイタズラに引っかかるなんて本当バカなんだから。
その後には本屋に寄ったり、そこでは楓が意外な本を買うって言ってたのが驚きだわ。
色々あってやっと月宮君のバイトしているランタンに着いてひと安心よ。
そこで夕食を食べたんだけどとても美味しかったからまたみんなで行きたいわ。
こんな感じでよかったのかしら?こんな事なら雄一郎に詳しく聞いておけば良かった、えーっと、そ、それでは本編へどうぞ。
バイトにも慣れ始めて勉強とバイトの両立がしっかり出来始めた頃には月日は6月に入って高校生活を送るには乗り越えなければならない壁が立ちはだかった。
それはテスト、誰もがその言葉を耳にするとテンションが下がり勉強に勤しみ低い点数を取らないようにする。
そんな中、今日は学校の都合で昼の後に帰れるというとても運いい時にアイツが俺の所に泣き寝入りをしてきた。
「お願いだぁー!!俺に勉強を教えてくれ!!」
「いきなりどうした、そもそも何でよりによって俺なんだよ!!他に頭のいい知り合いお前ならいくらでもいるんじゃないのか?」
「説明すると話が長くなるんだけどいい?」
この状況を理解出来ている梨恵が俺に話しかけてきた。
「あぁ宜しく頼む・・・おい!!教えてやるから俺から離れろ、抱き着くんじゃない!!」
「ほ、本当か!!ありがとう春斗、俺はお前と知り合って良かったと心の底から幸せだと思っているぞ!!」
「だから離れろって言ってるだろ!!今すぐに離れないと勉強教えないからな」
その一言を聞いた雄一郎は脱兎の如く離れ春斗を神か何かが現れたかのような風に崇めはじめた。
「説明するとね、雄一郎はこのテストが近くなってくるこの時期になるとこうやって誰かに教えてくれとすがり付く習性があるのよ、実際中学校では私がその被害にあっていたもの」
「成程、お前も大変だったんだな、それでだ、俺はどの教科を教えればいいんだ言ってくれ」
「現代文以外を頼む!!この通りだ」
この言葉を聞いて絶望しか無かった、何故なら数多くある教科で教えなくていい教科が現代文だけだからである。
「教えるからには徹底的に教えるからな」
「月宮君、私たちも一緒に勉強していい?」
梨恵は申し訳ないなさそうにもじもじ動きながら春斗に話してきた。
春斗が思うに申し訳ないという思い半分と自分が雄一郎のことを言えないと
「別にいいけど、どうしたんだ?」
「ちょっと分からない部分があって」
「ねーねー私も行っていい?」
梨恵とは全くの逆でストレートに楓が話してきた。
そもそも梨恵がさっき達って言ってたから楓もその中に入っているんじゃないのか?
「いいよ、だけどどれ位勉強するんだ?時間も遅くなれば夕食とかもどうするんだ?」
「そこら辺はもう大丈夫ですよ、ねぇみなさん」
雄一郎の一言に一斉に2人は俺の方向を向いて不敵な笑みを浮かべ始めた。
「楽しみにしているからね月宮君とっておきの一品をお願いね」
「だから俺はまだ作るっていってn・・・。」
「楽しみだなーどんな料理作ってくれるんだろー」
俺の意見は楓の言葉によって尽くかき消された。
これは俺に発言権を与えなくさせてイエスしか言わせないつもりだな、それなら俺にも作戦がある見てろよ。
「分かった、分かったよ作ればいいんだろ、その代わり俺から1つ条件を出す、それに賛成しなければ俺は夕食を作らないからな」
「何々教えてー」
「俺が夕食を作るわけなんだが、冷蔵庫にあまり食材が無くて買い物に行かなければならない、そこでスーパーで買う食材を割り勘にしてもらう」
「いいよ、だってタダで勉強も教えてもらってそのうえ飯まで作ってくれるのに俺達は何もしないってのは流石に図々しいにも程があるからな」
「そうよ、そこまで落ちぶれていないわ、雄一郎なんかじゃあるまいし」
「おい梨恵、さっきの俺の言葉を聞いてどうやったらそんな言葉が出てくるんだよ」
タイムマシンのような時間を遡ることの出来るアイテムがあればさっき言った俺の言葉を取消に行きたい、何でこう友達に対してあんなことを考えてしまったんだ。
「そ、それじゃあ夕飯何食べたい?それによって材料とか考えなきゃいけないから」
「俺、カツ丼食いてー」
「そんなのダメよ、手間だってかかるしお金だってかかるんだからここはオーソドックスにカレーなんかどう?」
「うーん、私はねー・・・決めた!!ホットケーキがいい」
この中だとどれがいいかと言われると確定なんだが・・・。
「カツ丼は却下な」
「えー!!そんなバカな!!」
「そもそも何でカツ丼なんか選んだ!!作れたとしてもレトルトみたいなやつでしか作れないぞ、お前はそれでもいいならいいけど」
「それは勘弁してほしいな、ここに来てまでレトルトはいやだな」
「次にホットケーキなんだがこれも却下しよう」
「どうして?ホットケーキ美味しいのに」
「確かにホットケーキは美味いがこれは食べるとしたらおやつにしたいな、じゃあこれは夕食じゃなくておやつにすることにするでどうだ?」
「ホットケーキ食べれる!!ありがとう月宮君」
「残ったのがカレーだな、こういう時の定番みたいなものだし夕飯はカレーでいいか?」
全員がカレーに反対することは無かった。
「これから買い物しなきゃいけないからちゃんと来てくれよ」
今なら大家族の親の気持ちが少しわかったかもしれない、何故なら3人と人数が少ないもののこんなバラバラの意見をまとめるなんて、今回は綺麗にまとまったが下手をすれば喧嘩になりかねないからだ。
「買い物行くんだったら早く行こうぜ」
「買い物がメインみたいになってるけど本当は何をするためにこんな事言ってるんだっけ?」
「ほんの数分前の出来事を何で忘れるのよ!!勉強よべ・ん・きょ・う!!これが目的でしょ」
「あらら、ホットケーキの話してたら忘れちゃった」
「早くしないと置いていくぞ、スーパーは戦場なんだからな」
「戦場?何寝ぼけたこと言ってるんだよ、たかがスーパーだろ、大袈裟なんだよ春斗は」
「この時間帯のスーパーに行ったことが無いからそんなことが言えるんだ、今日あそこの恐ろしさを身をもって体験してもらうからな」
「そうか、それなら楽しみにしておこうかな」
一応雄一郎に忠告しそのまま4人でスーパーへと向かった。
「着いたな、そして丁度いい時間になったからお願いがある雄一郎」
「どうした?」
「俺は食材を探さなきゃいけないから雄一郎には肉をお願いしていいか?」
「いいよ、すぐ持って来てやる」
そう言うと雄一郎は勢いよく肉が売られているコーナーへと向かった。
「ねぇ月宮君これ何か裏がある気がするのは私だけかな?」
「何も無いよ、俺はただ雄一郎に肉を持って来てほしいだけ、でも、少し苦労をしてもらおうかなって思っただけかな」
「それを裏があるって言うのよ」
「さっきあんなこと言ったからね、こっちも何かして罰を与えなきゃとか思うわけでね」
「春斗君、私お菓子の所見に行っていい?」
「そこにずっといるならいいよ、でも勝手にどこか行くなよ、だけど高校生なんだからこっちが辱めを受けるような事は絶対にしないでくれよ」
「辱め?うーん、うん!!分かったじゃあ行ってくるねー」
「あの状態だと分かっていないなきっと」
「あはは、何というか高校生だけど中身がまだ子どもよね」
「そうだな、そろそろ俺も見に行ってこようかな」
「私は楓の所に行って監視でもしてこようかな」
「あ、そうだ梨恵、みんなの嫌いな食べ物知ってるか?」
「私と雄一郎は特に無いよ、だけどね楓はニンジンが苦手だよ」
「それならニンジンは今回お休みしてもらうか、これは楓には言うなよ、こういうのはさり気なくやるのがお約束みたいなものだからな」
「分かったわ、このことは秘密にしておくから」
「ありがとう、よーし俺も行くとするか」
話を終えると春斗は野菜が売られているコーナーへと足を運んだ。
野菜はとにかくニンジン以外を入れればいいからオーソドックスにジャガイモとタマネギをかごに入れておくか。
そう頭の中で考えながら二つの食材を手に取りかごに入れた。
これと肉だけじゃなんか物足りないからどうしようかな、そういえばよく夏に流れるカレーのCMにはナスとカボチャが入ってたな。
春斗は軽い気持ちで思いついた食材を入れ始めた。
お、そろそろ雄一郎のいる場所は戦場に変わり始めるな。
「肉が売ってるコーナーに来たはいいけど春斗の言う戦場なんかどこにもないじゃないか、それにしてもやけに人が多いなここは」
雄一郎は春斗が言った言葉が大袈裟過ぎて少々呆れていた、しかし雄一郎は何も気づいていなかったが近くを通っている主婦は獲物を狩る時の野生の獣のような目をしているみたいだった。
「只今よりこちらの豚ばら肉30%引きになります」
店員のこの一言を聞いた主婦は我さきにその肉を鷲掴みにしていった。
「よこしなさいよ!!それは私が取った肉よ」
「ふざけた事言わないでちょうだい、これは私のよこのクソババア!!」
「クソババアですって・・・アナタいい加減にしなさいよ!!」
一瞬の出来事に雄一郎は何が起きたのか理解できてなかった、でも確かに分かった事はここは戦場だという事だけだった。
「やば、これだと安い肉が買えねーじゃんか、このままだと絶対梨恵にバカにされるな」
それだけは阻止しようとかかんにみくちゃにされながらも主婦をかき分けひたすら肉に近づこうと手を伸ばした。
「スーパーってこんなにも過酷だっけ?何度も行ったことあるのにまだ知らない事もあったんだな」
弱音に聞こえなくもないような発言をしながらも必死に主婦の勢いに抗いやっとの事で手を伸ばした。
「やっと届いた!!よっしゃー!!どうだ見たか」
コーナーからは肉が無くなり勝った者は他のコーナーへ負けた者は渋々別の肉を手に取り別のコーナーへと行った。
雄一郎はさっきの戦場では勝者の側に立ち上機嫌になり春斗や他の2人を探した。
その頃春斗は楓の監視をしている梨恵のもとへと向かった。
「そっちの方はどうだ?こっちはもう戦場から戻ってくる雄一郎の結果を待つだけになったぞ」
「こっちは大変よ、このお菓子が欲しいだのなんだの言って駄々こねるからなだめるのがどれだけ苦労したことか」
「だってお菓子の売ってる場所どこかわからなかったんだもん」
「子どもかっ!!」
楓は頬を少し膨らませ若干不機嫌になってしまったように見えた。
いや、だって、高校生だぞ、嫌でもさっきの言葉が出てしまうだろう。
「いーよ!!私にだって考えあるし」
「何か恥ずかしいのは俺だけだろうか?」
「気のせいだと思うよ」
「あ、いたいた!!おーい、これを見ろ!!」
雄一郎が満面の笑みを見せながら片手に手に入れた肉を2パック持ってこちらに向かって来た。
[20:45:06] ナル: 「どうだった?戦場は」
「想像以上に過酷だったぞ、でもこれを見てくれれば結果はどうだったかもう分かるよな?」
この肉が取れたことがとても嬉しかったのか何かとこの肉を見せつけている。
「後はカレールーだけだな、みんな中辛でいいか?」
3人は首を縦に振り直ぐに辛さが決まった。
「じゃあ俺買ってくる」
レジに向かおうとすると誰かがカゴの辺りで何かし始めた。
「どうしたんだ?買い忘れとかあったのか」
「そ、そうなんだよ、ちょっと確認をしていたんだよ、でも大丈夫だったよ」
「なら良かった、また買いに行かなきゃいけなくなるかもしれなかったからな」
再びレジに行こうとすると次はカゴが少しだが重くなり始めた。
これはもう完璧にアイツの仕業だな。
「楓、もう分かっているぞ、お前が何かしているのは」
「えっ!?私何もしてないけどなー」
「じゃあこのカゴにあるお菓子は何だ?それにさっき言った楓の考えってのはこっそりお菓子を入れれば気づかれないだろうとか思ったんだろ」
「だって食べたかったから」
「はぁ、今の女子高生はカロリーとか気にしなくなったのか?」
「「「え?」」」
俺のこの発言に三人は唖然とした顔でこっちを見てきた。
おいおい待てよ、俺さっき変なコト言ったか?
「え?女子高生じゃなくても女子だったらカロリーとか気を付けたりするって思ってたけど違うの?」
「確かに気にするっちゃするけど毎回お菓子の袋のカロリー表示を見たりとかはしないかなー」
「私は気にしないで食べてるよ。だっておやつの時まで計算したくないもん」
「楓、そこは嘘でも気にしてるって言えよ。少なくとも俺が女だったらそうしてるぞ」
「だって私そもそも食べても全然太らないんだもん」
雄一郎の的確なツッコミの後に楓の信じられない一言が飛び出た。
「こんな特殊能力じみた特性を持った人が身近にいたなんて・・・ショック」
「成程!!ということはあれがあれでこれがこれなのか」
雄一郎は楓の胸を軽く見た後に梨恵の胸を見たら視線が段々と下がっていき腹部を見始めた。
「雄一郎、月宮君の家に行ったら覚えてなさい」
「おっと怖い怖い俺には心優しい親友がいるから恐れる必要ないわ!!なぁ春斗、って春斗は?」
「春斗君はもうレジに行ってここにはいないよ」
「ははは、タイミング最悪だろ」
雄一郎のテンションは一気に下がり春斗の家に行くのが恐怖でしかなくなった。
「おーい買って来たからそろそろ行くぞ」
「そういや昼飯ってどうするんだ?」
「コンビニでいいんじゃない」
「そうだよ、だって月宮君の料理たくさん食べたいからお昼はそんなにいらないもん。それにホットケーキも食べなきゃだし」
「決まったなら直ぐ行くぞ」
四人はスーパーを後にしコンビニへ向かった。