プロローグ
春、桜が咲き新しい制服に身を包み新入生が学校の門をくぐっていく。そして俺もこの県立山乃池高校へ入学が決まりほかの生徒同様門をくぐった。
しかしほかの生徒とは違うところがあった。それは両親がいないことだ。
高校への入学が決まり俺と両親はお祝いを兼ねて食事に出かけた。食事が終わり家に帰ろうとしたときに飲酒運転をし信号無視をしてきた車とぶつかり俺は無傷で済んだが両親はもうその時には
死んでいた。それは入学式の二週間前の出来事だった。
その事故から1週間がたち、駅の近くのアパートを借り生活している。
さらに一週間が過ぎて入学式を行いクラス発表もあり俺は1-1だった。教室に入ってみると朝からテンションが高いやつもいれば落ち着いたようすのやつもいた。
黒板には大きな紙に座席表が貼ってあった。
俺の席は右から三番目の一番後ろか、なかなかいいところだな。
「おーし、それじゃあ席につけ」
教室に入ってきたのは入学式で新入生を体育館まで誘導してくれた人だった。
「今日からこの1-1の担任になった藤林彰だ、お前らは今日から高校生だがだらけて気をぬくなよ中学校と違って留年というものがあるからな。怠けているとすぐに留年だからな!!」
この時この教室にいた生徒は思っただろう、ありきたりなセリフだ・・・と。
「まぁ最初はこんなものでいいか、次は自己紹介でもしてもらおうかな」
当然のごとく一番から自己紹介していった。自己紹介を聞いているかぎり、普通・・・その一言しかなかった。
名前を言って趣味とかを言ってくシステムがテンプレ化していた。
「それじゃあ次は月宮」
「月宮 春斗です。趣味はゲームをすることです、よろしくお願いします」
こんな感じでいいだろう。
あとは他の人の自己紹介でも適当に聞いておくか。俺が自己紹介してから10分もたたずに最後の人までいった。
「自己紹介も終わったからあとは自習でいいか」
再びこの教室にいた生徒は思ったはず、この先生適当すぎると。
「あ、忘れてた。明日から授業普通にあるからな。初日から忘れ物するなよ!!」
先生話を終えたと同時にチャイムが鳴った。
「じゃあ、今日はここで終わりな、じゃあ帰っていいぞ」
帰ってまだクリアしていないゲームをするか。
駅へ行ったはいいがホームには同じ制服を着ている高校生しかいなかった。
電車に乗り一気に高校生がバーゲンセールにいく主婦のようになだれこんでいった。
俺はこの椅子取り戦争に負けて吊り革につかまり電車に揺られ降りる駅まで待った。
「次はー・・・」
やっと降りれる、こんな状態が毎日か先が思いやられる。
電車から降り辺りを見たら俺しか降りてなかった。
「一人か・・・まいっかこんな状況結構嫌いじゃないし」
ポケットに入れてあるスマホにイヤホンを付け音楽を聞き流しながら帰った。
「ただいまー」
誰もいないがこの言葉をはっしてしまう。
「疲れた」
半日しか学校へいってないにも関わらずなぜかどっと疲れがでた。
こんなに疲れたのは何年ぶりだろう。
「はぁー、夕食でも作るか」
俺は夕日が沈みかけ空がだんだん暗くなっていく様子を見ながら無意識にその言葉が口からでた。
入学式から4日が過ぎ、他のクラスメイトは新しい友人ができて新たな学校生活を送っている。
が・・・俺はクラスになじめていなく友人もいない、ボッチ状態だ。
友達がいてもいなくても変わらないか。よし、いつものように休み時間は寝よう。
「月宮春斗くんだよね?」
「そうだけど、俺に何かようか?」
「ありあり!!大ありだよ!!とにかくきてくれ」
寝ようとした瞬間目の前に茶髪でくせ毛の目がパッチリと開いている男子生徒がいた。
誰だこいつは?いきなり話かけて、俺の睡眠時間が
「おまたせー」
「なにやってたの、というかこの人だれ?知ってる楓?」
「うーん確か、春宮月斗君だっけ?」
俺はその男に連れられ廊下側の席に連れていかれた。
そこにはショートカットで子供っぽい目をした女子生徒とポニーテールでおっとりとした目の隣の生徒より少し胸がおおきい女子生徒がいた。
そして今の会話、俺の存在っていったい、そして名前が地味に間違っているぞ。
「楓違うよ彼は同じクラスの月宮春斗君だよ」
「え!?ごめんなさい、月宮さん」
「気にしなくていいよ」
「まったく楓は相変わらずね」
「えーそんなことないよー、じゃあ梨恵はどうなの?」
「わ、私は知っていたし」
嘘を言うな嘘をさっきこの人誰?と言っていただろ。
「あ、ごめん俺たちまだ自己紹介してなかったな。俺は川谷雄一郎、そしてこちらの二人は大道梨恵と城戸楓」
「よろしく!!」
「よろしくねー」
「俺はさっき紹介されたからいいか」
本音を言うと面倒だからとはいえないな。
「そういえばなんで俺はここに連れてこられたのか?」
「それはね、君がいつもボッチだったからそこにいる能天気が声をかけたのよ」
「おい待て!!誰が能天気だよ」
「あんたのことよ」
「ちょっと二人とも話がそれちゃうよ」
「ごめんごめん、さっき言ってもらったように君が一人でずっと寝てたから声をかけてみたくなったんだ」
「そうなのか」
なんという好奇心なんだ。
「とういことでいきなりなんだが今日の放課後この4人でゲーセンにいこうと思う!!」
いきなりすぎて言葉がでない。
「は?いきなりすぎるわよ!?そんなのいつ決めたの!!」
「いま思いついたに決まっているじゃないか」
「そんな唐突すぎよ、それに予定とかあったりすれば、楓もなにか言ってやりなよ」
「うーん、私は特にないかなー。それより梨恵はゲーセンいかないの?」
「私は別に構わないけど」
「決まりだな!!よーしそれじゃあゲームセンターへレッツゴー!!」
俺の意見を聞かれることの無いまま俺たちはゲーセンへ向かった。