女の子みたい
「由姫、俺とキャッチボールしようぜ」
「うん、いいよ」
「あ、私もこっちに入っていいかしら?」
キャッチボールの組み合わせは、僕と拓哉と垣外中さん、涼香と健二の組み合わせになった。
「おい、由紀。なんでコイツとやらないといけないんだよ。俺としようぜ」
「私だっていやだ!」
「あぁ、お前らうるさいぞ。ちゃんとキャッチボールをしろ。基礎は大事だぞ?」
「「コイツとはいやだ!・・・・由紀、一緒にやろう」」
きれいに声がそろった。ってか、どうして僕?
「てめぇ、涼香。俺が、由姫とキャッチボールをするんだよ」
「何を言う。お前のキャッチボール相手は壁で十分だ」
「なんだと・・・・。じゃあ、お前は、拓哉か梨咲のどちらにキャッチボールをしてもらえばいいじゃないか」
「いや、・・・・梨咲、はあんまりよく知らないし、拓哉はお前と同じであまりかかわりたくない」
「――――――ッ」
拓哉がものすごくショックを受けた。
「とにかく、俺は由姫とキャッチボールをするんだ。だろ、由姫?」
「なにぃ・・・。由姫、お前は誰とキャッチボールをするんだ?」
「・・・・え、えーと・・・・垣外中さんと拓哉」
「「・・・・・・」」
涼香と健二がそんな馬鹿な!って顔をした。え?そこまで、落ち込まれたらこっちが困るんだけど。
「・・・え、じゃ、じゃあさキャッチボールじゃなくて、五角形を作ってでボール回しをしようよ。それだと、みんなで一緒にできるし。拓哉もそれでいい?」
「ん、いいじゃないか」
「私も、それでいいと思うわ」
「いよっしゃぁあ!由姫、お前最高だ!」
「うーん、健二と拓哉と健二がいるのは嫌だけど、由姫が一緒ならいいや」
「なんで、俺は二回よばれてるんだよ」
垣外中さん、拓哉、健二、涼香、僕の順で五角形を作った。一人一人の距離は大体・・・・8メールぐらいかな。
「じゃあ、行くわよ」
垣外中さんが拓哉に、次に健二、涼香と来て涼香の投げたボールが僕に来た。
「垣外中さん、行くよ」
ヒョロヒョロヒョロ パスン
・・・・あれ?どうしたんだろう?垣外中さんは、ボールを取ったまま固まってるし、拓哉は『やっぱり、そうなるか』と、いっている。
「えーと・・・・どうしたの?」
「一つ確認させてね。・・・・由姫君。男の子よね?」
「え、どうしてそんな当たり前のことを聞くの?僕は、見てのおとり男だけど・・・・」
「本当かしら?」
なんで、そんなに疑われているんだろう・・・
「梨咲、由姫は一応だぞ」
「本当?だって見た目は・・・・・あれだし、運動能力というか、投げ方が・・・・あれだし」
「まぁ、確かにあれかもしれないが、男だ」
あれ?あれってなんだろう?僕のことを指しているみたいだけど・・・・
「ねぇ、あれって何?」
「ん?・・・・・よし、練習を始めようか。今日は、お前の個人レッスンだ」
「え?教えてくれないの?・・・・ってか、なんで僕の?」
「由姫君、まずはボールの投げ方を教えましょう」
「ボールの投げ方より、あれを教えてよ。気になって仕方ないよ」
「それよりまずボールの投げ方だ」
「どうしてさ、僕はちゃんと投げれてたじゃないか」
「「・・・・・・」」
「お前ら、ボールを投げないで何やってんだ」
健二と涼香が僕たちがいる場所に来た。いつまでたってもボールを回さないから、確かめに来たんだろう。
「なんか、僕にボールの投げ方の練習をさせるみたいなんだけど・・・・必要ないよね?」
「「・・・・・・・」」
「・・・・どうして黙るの?」
「ふぅ・・・・由姫、お前はさっき投げたときどんな感じだった?」
???拓哉はどうしてそんなことを聞くんだ?意味が分からない
「運動してないからいいとは言えないけど、人並みにはいいボールを投げれたと・・・・」
「「「「はぁ」」」」
「ちょ、どうしてみんなそこでため息をつくのさ!?」
「由姫、さっきのあれのことについて教えてやろう」
「う、うん・・・でも、どうして今?」
「すぐにわかる。・・・ただし、あれのことを教える代わりに、お前は投球練習だ」
「・・・・・うん、わかった」
拓哉は、一呼吸を置いて言った。
「お前は女の子みたいだ」