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咲良は入学式を終えて、新学期が始まるまで一週間ほど余裕がある。朝、菫は咲良の部屋の扉をノックした。
「おはよう。しっかり起きてるわね。学校は来週からだけど、幼稚園のときより早く起きないとね」
「は~い、わかってるうっ」
咲良は笑顔で応える。菫も笑顔を見せながら、ヘッドボードに置かれた首輪に気が付いた。
「ねえ、咲良。これ、どうしたの?」
菫が白い首輪を指差して訊ねた。
「うん、昨日ね、お庭の桜の木の下で見つけたの」
咲良は靴下を履きながら横目で首輪を見て応えた
「へー、そうなの…」
菫は手に取って息が止まりそうになった。
「えっ?これって?まさか?」
それは何年も前に、菫自身が白く染めた本革に、刺繍を施して作ったジャスミンの首輪だった。咲良はこの首輪を見つけた様子を嬉しそうに菫に説明した。菫はその話を聞きながらも、そのひとつひとつの出来事に驚くほかなかった。
「そうなの…。この首輪はねえ…」
この首輪は菫自身が以前作ったものだと伝えようとしたが、咲良に気味悪がらせる可能性もあると考えて、結局話さないことにした。




