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エピローグ
ダイニングルームで、家族三人で食卓を囲んでいた。
「ねえ、お父さま、お母さま」
「なあに?」
「ん?どうした?」
咲良が二人を交互に見た。
「犬はね。まだ、いいよ」
菫は一度箸を止め、咲良を見たが、すぐに頷いた。
「そう。じゃあ、またいつかね」
悠人も静かに微笑んだ。
「そうだな、そのときにまた一緒に考えようか」
庭に面した窓辺で、風が一度だけ揺れた。白い影はもう現れない。守られていた時間があり、手放された想いもあった。パーラールームの壁の肖像画は静かだ。その前を通り過ぎるたび、菫と咲良は心の中で同じ言葉を繰り返す。
《ジャスミンがいつも一緒》
それは縛る言葉ではなく、前へ進むための言葉だった。
「ジャスミンの首輪」はこれで完結です。短い期間でしたが、ご拝読いただきありがとうございました。




