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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第四章 大妖怪たちの宴
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月の都防衛戦

 月の都門前に神癒奈と永戸達と、南雲達鬼族の軍勢が集まる。永戸達はいつもの戦闘服を着ると、眼前に広がる景色を見る。


「鬼族の軍勢! 大人数で近づいてきています!」


 味方の妖が武器を手に神癒奈にそう伝えると、神癒奈は永戸の方を見て、次に南雲の方を見て言った。


「敵は剛力の力を持つ鬼族! しかし! 私達は負けません! 全軍! 戦闘開始!」


 うおおおおおと掛け声を上げながら神癒奈達の軍勢が動き出す、反対に敵の鬼族の軍勢も動き出した。互いの軍勢がぶつかり合い、乱戦になる、そんな中、神癒奈は南雲と共に戦う。


「焔月式抜刀術! 弐式!」

「打ち倒す!」


 神癒奈の抜刀術に合わせ、南雲は大剣を振り回し、同族であった鬼を斬る。その時、神癒奈は見た。南雲の額に2本の光る角が現れていたことに。


「あれが、鬼族の頂点の力!」


 身の丈以上の大剣を振り回しては無双していく南雲の姿に、神癒奈は呆気にとられる。

 かつての同胞であったとしても無慈悲に斬る獰猛さ、少女の体なのに大剣を振り回せる程の膂力、彼女が酒呑童子の継承者であることがわかる戦いっぷりだった。


「狐の神だ! 人と妖の住まう世界を作ると言うまやかしを言う彼女を殺せ!」

「私の言う世界は、まやかしなんかじゃない!」


 神癒奈と負けじと迫る鬼族の刀や槍を弾くと焔で焼く。あっという間に鬼族が火だるまになり、倒れる。その死体を乗り越え、神癒奈は鬼が持っていた槍を手に取る。


「悪くない手触り」


 大太刀を握る腕とはもう片腕に槍を持ち、神癒奈はそれらを振るう。神癒奈の攻撃で鬼達は薙ぎ倒されていく。


「あはっ♪ 鬼というから力勝負を挑んでみましたが、存外弱々しいものですねぇ!」


 機剣ホワイトレクイエムを手に、フィアネリスがそう言うと、剣で切り払い、波動砲で鬼達を吹き飛ばす。


「光を放て! イクセリオス!」

「特訓の成果! 見せる時でありますな!」


 永戸が聖剣を振るい、光波を飛ばし、鬼を両断する。その背後でフローレアがスピアを連続で突き刺し、鬼を串刺しにする。


『貫け!』


 フローレアが仮想の能力を使うと、空中に魔力の槍が現れ、大量の槍が鬼達に降り注ぐと、グサグサと刺していった。


「敵に能力者がいるぞ!」

「構うな! こちらも能力を使うまでだ!」


 すると鬼の中から一際大きな個体が出てくると大剣を振り回し、風を巻き起こしてきた。その風はやがてかまいたちとなり、周囲に散らばっては自軍を傷つけていく。


「永戸さん!」

「任された!」


 能力者が相手ならと永戸が前に出て風の能力者と相対する。


「その赤い衣…かの大戦を戦い抜いた英雄殺しか」

「ご名答!」


 永戸は機剣リヴァンジェンスⅢをブーストさせると、鬼に接近する。対する鬼は風を発生させて永戸の接近を防ごうとするが、だが永戸は零の能力者、能力で風をすり抜けると、ガンブレードを切り上げる。

 鬼はそれを寸前で回避するも、気がつくと切り傷が作られていて、力が抑え込まれていた。


「いつのまに斬られた⁉︎」

「とっくに"斬り終わってる"んだよ、これでお前の能力も最低限しか発揮できないはずだ」


 大きな鬼はそれでも残った身体能力で永戸を大剣で斬る。だが永戸はそれをすり抜けることで避けると大剣を持った腕を斬り飛ばした。


「獲った!」


 なんと鬼は腕を斬られる覚悟で永戸を掴んだのだ。永戸はすり抜けようとするもその前に鬼は永戸を握り潰そうとする。


「させぬわ!」


 玉藻前が、鉄扇で永戸を掴むもう片腕を斬り落とす。鬼はそれでも諦めようともせず、口で永戸の首を食いちぎろうとするが、永戸は拘束から解放されると、聖剣を切り上げ、首を斬った。


「助かった!」

「礼にはおよばぬ!」


 互いに背中を向け合いながら、永戸と玉藻前はそれぞれの敵に向かう。


「ほれ! ただの小童程度、殺して見せよ!」


 子供の体でありながらも、玉藻前は鉄扇で鬼達を斬り殺していく。矢が飛べば面で防ぎ、剣戟が来れば鉄線で弾き返す、玉藻前もまた、歴戦の戦いを見せていた。


「くそっ! 敵の将兵が強すぎる!」

「構うな! 我が軍の力でそのほかを攻め落とせ!」


 鬼の軍勢が士気を高めると、一気に攻め入り、都の兵達を薙ぎ倒していく。


「陣形を立て直して!」

「ダメです! 敵の猛攻が激しすぎます!」


 敵軍の攻撃が苛烈になり、どんどん押されていく自軍。そんな中、永戸が前に立つと、聖剣を構える。


「神癒奈! バックアップ頼む!」

「はい! 『月光!』」


 月から光が落ち、神癒奈に注がれ、力が蓄えられる。そしてその力が永戸に託されると、聖剣の光が眩く輝いた。


「これで、消し炭になれ!」


 剣が振り下ろされた途端、イクセリオスの光が伸び、大軍を焼き尽くしていった。それの光で大軍の列にぽっかり穴が空き、攻め所が生まれる。


「今が好機だ! 俺に続け!」


 永戸がそう言うと、兵士達を連れて鬼の大軍の中に開いた穴に飛び込んでいく。

 同時に神癒奈も神権を発動させ、力を出した。


「『天崩!』これで決めます!」


 神癒奈が力を発動させると、空から光が降り注ぎ、鬼の大群を焼き殺した。

 すでに勝敗は決したようなもので、大量に殺された鬼の軍団は、隊列を崩していく。


「よし! これで後は殲滅戦のみ!」

「……っ! いいえ! まだです!」


 フィアネリスのその言葉を聞いて、神癒奈がその方に向くと、何と鬼達は復活していた。

 だが、完全にとはいかず、切り傷や銃創、焼け傷を残しながらも、復活を果たす。


「鬼なのにゾンビみたいな真似しやがって、くそっ! このままじゃジリ貧だ!」

「永戸さん! 軍を撤退させて! 停止の能力で彼らを封じ込みます!」


 永戸は言われたとおり撤退すると、神癒奈は能力を発動させ、鬼の軍団を停止の力場で作った壁の中に封じ込める。

 そしてもう一度月光のエネルギーを永戸に送り込むと、聖剣を光らせた。


「零の光で全てを薙ぎ払って!」

「了解だ! はぁあああああっ!」


 永戸が聖剣を振るうと、停止の力場が解かれ、解放された鬼達へ向けて零の力の宿った聖剣の光が薙ぎ払われた。

 それは鬼達の大半を焼き尽くすと、今度こそ鬼達は復活せずに、それを見た鬼達は撤退していった。


「やったぞー!」

「月の都を守り切った! 神癒奈様の力あっての勝利だ!」


 うおおおおおっと兵士達が雄叫びを上げる中、神癒奈はほっとしたように胸を撫で下ろすと、鬼の死体を見る。


「何故、鬼達は復活したのでしょう?」

「……分からない、でもただ事じゃないのは確かだ」


 永戸も聖剣を鞘となる機剣にしまい、背中に戻すと、その場にガクッと崩れ落ちかける。


「永戸さんっ?」

「悪い、聖剣の連続使用で魔力回路が焼き付いた。少し体にガタが来ただけだ、問題はない」


 永戸は体を立たせると、少々よろけながらも頑張って立つ。神癒奈は仕方ない人ですねと思うと、彼の肩を持った。


「今日は頑張ったのですから、明日はゆっくり休んでくださいね」

「ああ、そうするよ」

「お熱い二人ですね」

「そうでありますな、絶好のカップルであります!」


 そんなやりとりを見ながら、フィアネリスとフローレアは笑う。逆に南雲は、呆けに取られるように二人を見ていた。


「あれが、月の都を救ったとされる二人の力…凄い」


 南雲は、二人で笑い合う永戸と神癒奈を見てると、どこか、酒呑童子と自分を重ね合わせたのだった…。

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