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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第三章 悪役令嬢と学園生活⁉︎
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ここからは四課のターン

 授業を終え、ステラを見送ることになる神癒奈達。


「後はコチラのボディーガードがあるから大丈夫ですわ、また明日、護衛をよろしく頼みますわね」

「はい、任せてください、それじゃあ、また」


 バイバイと手を振って別れると神癒奈達は学園から出て永戸達と合流し、いつもの服装に戻っては作戦を練る。


「それで、尋問して分かった事は?」

「ベリルという議員がマクラーレンの席を狙ってる事だな、後は…そうだなお前がいじめられかけたイーガスという生徒がその議員の息子だそうだ」

「なるほど……ベリルは、息子達を利用して、ステラさんを殺そうとしたわけですね」

「殺すだけならいいと思うけどな…」


 永戸はじっくり考える。もしステラを殺すだけでなく捕まえて人質にしようものなら迅速に動いて守らなければならない。ボディガードがいたとしてもそれでもステラの身は心配だ。


「とりあえず敵に警告はしといた、後は向こうの出方次第ではあるが…」


 永戸はチラリとフィアネリスに見やる。するとフィアネリスは観測中なのか、目を閉じては脳に流れる情報を整理していた。しばらく経つと、彼女は目を開け、答える。


「襲撃者の一人の電話を録音できました、流します」


 フィアネリスがそういうとEフォンにデータが送られ、流され始めた。流れてきたのは先程捕縛した襲撃者の少女の電話だった。


【すみません! ステラ・アードラの抹殺に失敗しました!】

【何をしているんだ! たかがガキ一人殺すのにどれだけ手間取っているんだ!】

【それが……"死神"とやらが彼女を守っているそうなのです!】

【死神…だと⁉︎】


 死神と聞いて四課を連想し、恐れをなしたのか、ベリルと思わしき男は狼狽えた様子で電話を続ける。


【あり得るものか! かつて議会を崩壊させた死神が、今度は議会の役員を守るために戦っているなどと!】


 かつて議会を崩壊させた…と聞いて、クレス達は疑問を浮かべる。すると永戸はこう答えた。


「前に議会全員から神癒奈の命が狙われたことがあったんだよ、殺したのは別の人だが、命が狙われるのを阻止するため、結果的に議会を一度壊滅させた」

「おいおい……議会全員を敵に回すってしれっととんでもないこといってるんじゃないよ」


 クレスが青ざめる中、電話は続く。


【伝言を預かってます! 『次ステラに手を出してみろ、死神がお前の首をとりにくるぞ』と」

【何⁉︎】


 その一言で恐怖をなしたのか、ベリルは電話越しに恐怖を隠せなくなる。それもそうだろう、相手は議会役員を全員殺しているとされた者達なのだから。


【私はこの依頼を降ります! 彼女達を守っている連中は、普通じゃない!】

【まて! 話はまだ終わってな…!】


 ブツっと電話はそこで切れている。有益な情報はこの電話の発信源程度か……と、永戸達が思う中、フィアネリスは次に電話の発信源を特定した。


「電話の場所は都市の市庁舎の中、今から襲いに行きますか?」

「相手に猶予を与えたのはこっちだ、襲いには行かない、だが、"話し"には行こうか」


 永戸がそう言うとフィアネリスは待ってましたと言わんばかりに転移用ゲートを用意する。


「これからどうする気でありますか⁉︎」

「直接話をしてこよう、ステラの身を案じるためにな、神癒奈、クレス、フローレア、メルトは四課の車両に乗ってステラの動向を追ってくれ、俺とフィーネは話をつけてくる、さぁ、今度はこっちのターンだ」


 神癒奈達に指示を出すと、永戸はフィアネリスを連れてゲートの中に入っていった。反対に神癒奈達は四課の装甲車に乗る。


「神癒奈ちゃん、それで、これからどうすればいい?」

「ステラさんを追ってください、家に帰るまでが学校ですからね」

「家に帰っても事件が起きそうな気配がしてならないよ!」


 神癒奈達を乗せた装甲車は走り出し、ステラを追いかけ始める。何か事件が起きた時の対策として…。


 ーーー


「くそっ! 死神が絡んでいるなんて聞いてないぞ! まさかマクラーレンの奴! イストリアに頼んだのか!」


 ここはベリルの役員室、彼が地団駄を踏みながら恐怖に怯えていると、転移用ゲートが開いて中から人が現れてきた。


「なっ⁉︎ し…ししし死神部隊⁉︎ 何故こんなところに!」


 怯えて部屋の隅まで下がるベリル、その姿は私腹を肥したいかにもな政治家だった。部屋に降り立った永戸とフィアネリスは互いにゆったりとソファーに座ると、ベリルに手のひらを向けて言った。


「あー待った待った、俺達は殺しに来たわけじゃない。話をつけに来ただけだ。そんなに怖がってちゃ話にもなりやしない」


 永戸が手を差し伸べる中、ベリルは対面のソファーにゆっくり近づき、座り込むと、話は始まる。


「率直に言う。アードラ家から身を引け、でなければ…」

「はい! 身を引きます! ですので命だけはお助けを…!」


 手のひらの返し方が半端なく早いなと永戸は心で苦笑すると、フィアネリスに近くに置いてあったティーポットに茶を入れさせ、互いに飲む。


「随分と身の変わりが早いじゃないか」

「はい! 貴方様の噂はしかと聞いておりますので! 反抗すると殺されると私は分かっておりますので!」

「話が早くて助かるよ、なら、もうステラを襲う依頼は出さないな?」

「はい! 全て取り消させていただきます! 依頼した傭兵にも全て引かせるよう連絡しますので!」


 必死に取り繕うベリルを見て、永戸はホッとする。これで性懲りも無くステラを襲うようなやつだったら隣に座っていたフィアネリスの波動砲がこの部屋で炸裂していただろう。

 これで事態は一件落着…と思われていたが…。


「私だ…ステラの件だが、依頼は全て取り消しだ! 何⁉︎ 違約金だと⁉︎ そんな物全て払ってやる! だから依頼は取り消しだ! ………待て、なんだと⁉︎ 息子が傭兵達を連れていなくなった⁉︎ まさか…あのバカ息子! 蜂の巣を突きにいったのか!」


 電話をする姿を見て、永戸達は嫌な予感を悟る。それに答えるように電話を切ると、ベリルは顔を真っ青にして永戸達を見た。


「申し訳ない! 私の息子が! 一部の傭兵を連れてステラ・アードラを襲いに行った! どうか許してくれ! これは私の指示ではない! この通りだ!」


 土下座でいきなり謝られるが、永戸ははぁっとため息を吐くと、ベリルの前に立ち、言った。


「この事態が起きたのはお前の監督不足の責任だ、言ったよな、次ステラに手を出したら首を取りに来ると」

「しかし! こうなった以上、私では止められません! どうかお許しを…!」

「……お前の息子、イーガスの居場所を教えろ、今から止めに向かう、教えてくれたら命だけは救ってやろう」

「は、はい!」


 するとベリルは都市のホロマップを机の上に開き、それを電話と同期させると、イーガスの位置情報をマップに送った、こちら側が把握してるステラの位置から、少し離れた位置にいる。もう少し近づけば、いつでも襲いに行けるポジションだ。


「神癒奈、敵と思わしき奴らのいる場所のデータをそっちに送る。後はそっちでなんとか対処してくれ」

【わかりました! そっちは片付いたらこちらに合流お願いしますね!】


 神癒奈と連絡を取ると、永戸はさてととベリルに振り向き、言った。


「契約は成立だ、死神に首を取られずに済んで良かったな、まぁ、お前の息子は痛い目を見るかもしれないが」

「あぁ! もうこのような真似はしない! 絶対だ!」

「その言葉、信じるからな」


 頭を下げるベリルを置いて、永戸達は再び転移用ゲートを開き、その場から去っていく。それを見届けたベリルは、胸を押さえ込むとその場にゆっくりとへたり込んだ。


「死ぬかと思った…彼らを相手にするなど…命がいくつあっても足りん」


 己の不幸と幸運を感じつつ、ベリルは彼らに逆らわないでおこうと誓ったのだった。


 ーーー


 一方、こちらは都市の道路、夕方の渋滞で動きが停まってる中、ステラを含め、神癒奈達は足止めされていた。


「くそっ! 渋滞で動けねぇ!」


 クレスはイライラしながら待つも、神癒奈は永戸から受け取った情報を手に、この先に敵が待っていることを知り、シートベルトを取った。


「何をする気だ⁉︎」

「ここからは歩きで行きますよ、車両は第二支部に転送しておいてください」

「何か動きが…あったんですか?」

「この先で敵が待ち構えてます」


 神癒奈が指を刺す方向を見る。するとそこには、昼間神癒奈達に散々ちょっかいをかけてきたイーガス達がそこにいた。


「しゃーねぇな! 時間外労働まっしぐらだけど、やってやるか!」

「フローも戦います! 悪しき生徒は罰せねば!」

「私は、ステラさんの護衛に入りますね…!」


 四課の兵士達が動き出し、同時に永戸達も話から戻ってくる。すると、ステラの乗る車に向けて、ミニガンが、バラバラと撃たれ始めた。


「防御します! メルトさんは続いてください!」

「はい!」


 メルトが土魔法で土の壁を作り攻撃を防ぎ、それでも通り抜けてきた弾丸はフィアネリスがシールドビットとフォースシールドで防ぐ。

 そんな中、クレスがライフルでミニガンを持った傭兵の肩を撃ち抜くと、フローレアがイーガスを守る傭兵にスピアを突き刺し、そして神癒奈がイーガスと対面する。


「お前は⁉︎ クラスに来た転校生⁉︎ その姿! 人間じゃなかったのか⁉︎」

「ええ! 事情があり隠してました!」


 本物の姿で神癒奈がイーガスと向き合うと、その隣に永戸も立つ。


「なんだテメェは! 無関係なやつはすっこんでろ!」

「悪いが関係者だ、お前の親父に頼まれたんでお前の悪事を止めにきた」

「俺の親父が⁉︎ ならお前は何者なんだ⁉︎」

「…死神、そういえば通じるか?」


 死神と言うとイーガスは震え上がる。だが、ありえないと思うようにイーガスは首を振ると、永戸達と相対する。


「死神? そんなのがこの世にいるもんか! この世の法は、俺たちが決めるんだ!」

「ガキの妄言だな、神癒奈、片付けるぞ」

「はい! 戦闘開始します!」


 聖剣と妖刀を抜くと、永戸と神癒奈はイーガスに向けて駆け出した。

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