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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二章 神降ろしの王国
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二人の英雄Ⅱ

 半端に降臨した魔神と、永戸と神癒奈は戦う。

 先手は魔神から放たれた。魔神がビームを照射するが、神癒奈が停止の力場でそれを防ぎ、永戸が切りかかる。


「速い……人の身でありながら、神に刃向かえるとは」


 永戸の斬撃は神に届くが、即座に再生される。だが、人間の部分はダメージが再生されないのか、傷ついたままだった。


「人の部分を狙え!」

「ちぃっ…半端な降臨のせいで力がうまく出せない…!」


 魔神は自身に回復魔法をかけ、傷を修復しようとするが、隙は逃さないと神癒奈が飛ぶ。


「焔月式抜刀術零式!」


 不可避の斬撃を行い、魔神の片腕を切り飛ばす。魔神の部位だった為即座に回復されるが、人の部分を攻撃する隙ができた。


「ぶち抜け! 光を放て! イクセリオス!」


 永戸が人間の脇腹の部分に聖剣イクセリオスを突き刺すと、光を放ち、胴体部を穿った。多量の血が溢れ出て、魔神は怯む。


「人間風情が! 神に抗うな!」


 魔神がビームを繰り出すと、永戸は存在をズラす事で回避する。だが、次の瞬間、魔神に捕まれ、首を絞められた。


「んぐっ!」

「死ねぇえええっ!」

「やらせない!」


 永戸の首の骨が折れる前に神癒奈は魔神の腕を再び切り飛ばし、永戸を助ける。

 永戸はゲホゲホと咳をしたが、すぐに体勢を立て直すとガンブレードであるリヴァンジェンスⅢを点火し、連続で斬撃を行った。


「ぐぅっ! ただの人間の、どこにそんな力が!」

「俺には与えられた! お前みたいな力を持つ奴らを、殺す力を!」


 魔神は切られるたびに、その力が削がれ、姿も人のものへ戻ろうとしていく。

 だが、伊達に魔神はやってないのか、神としての体に戻ろうと零の能力に反発していた。


「このぉっ!」

「っ!」


 魔神の手が永戸の体を貫き、彼の心臓を握りつぶす。永戸は吐血するが、だが笑った。


「頭をぶち抜けば死んだのに、残念だったな!」

「何⁉︎」


 永戸が意地で体を魔神の手から引き抜くと、時間の巻き戻しで貫かれた部位を回復させる。

 そう言っているうちに、神癒奈は魔神の背後を取っていた。


「切り捨て! 御免!」


 神癒奈は魔神を切り裂こうとするが、魔神は一瞬で転移すると、二人を見やった。


「強い……恐るべき強さだ! その力! 我が物にしたい! お前たちを取り込むことによって!」


 魔神は不完全ながらも姿を変え、より凶悪な姿へと変貌する。四本の腕を持ち、二対の翼を生やし、頭には角がより長く伸び、恐るべき姿になった。そして、それぞれの手に剣と槍を持つと、魔神は雄叫びを上げる


「テンポ上げて行くぞ!」

「はい!」


 永戸と神癒奈が二人で強くなった斬りかかる。その光景を、ミズガルズ第二支部の新生した四課と異世界第85支部のデュレーたちは見守るだけだった


「凄い…凄いですぞ、隊長殿達は、たった二人で神に挑んでいる!」

「おいおい……あんな動き、俺たちじゃとても出来ねぇよ。化け物じみてやがる」

「隊長達……すごく強い、あれが、死神」

「英雄部隊の真価、ここにあり、だな」


 繰り出された槍を軽々と避け、剣戟を交わし、それだけではなくその両方の武器を弾き返しては攻撃に転じる二人を見て、その場のイストリアの兵士達は見惚れた。


「マスターと神癒奈さんは、第一支部四課の中でも特別な存在でした。隊を率いるに値する強さを持っていた。そして彼ら二人が揃っているときは、どんな敵でも負けることはない。恐るるに足りません」


 そうフィアネリスが呟くと、クレス達三人は息を呑んだ。今までの隊長達でも十分強かったが、今の二人は無双する剣士の二人だと。

 そして今あの中に入るのは危険だと悟った。


「この姿でもついてくるか! 怪物が!」

「怪物ご本人に言われたきゃないね!」


 魔神が剣と槍を振るい続けるも、永戸と神癒奈はそれを捌く。そして決定的な隙が見えた途端、かの者が持っていた槍一本を永戸が叩き折った。


「なんと……!」

「私だって負けてません!」


 魔神が驚いている隙に、神癒奈も焔月式抜刀術壱式で一気に距離を詰めて魔神を切った。一撃必殺の刀が魔神の人間の部位に届き、ざぱっと切り裂く。大量の出血が溢れ出し、魔神はよろめいた。


「おのれぇえええっ!」


 魔神は怒り狂い、神癒奈に全ての攻撃を集中させるその攻撃を全て神癒奈は陽炎でかわすと魔神の持つ剣の一振りを刀で両断した。


「バラバラに引き裂いてくれる!」


 両手の爪で今度は魔神は神癒奈を切り裂こうとした。だがそれを永戸が前に出て防ぐと、魔神に対して至近距離でガンブレードを突き刺し、撃ち込んだ。

 胴体に風穴が開くが、やはり即座に回復される。だが消耗はしているはずだ。魔神の回復速度が少しずつ落ち始めている。零の効果だって出ている。

 魔神の戦闘能力は落ちてきていた。


「力が…入らない!」

「ようやく効いてきたようだな! 一気に仕留めてやる!」


 永戸が空中でくるりと回転し、リヴァンジェンスⅢを変形させ、白銀の鉄芯を撃ち出す形態、ベクターキャノンモードにすると、白銀鉄芯を装填し、チャージを開始し、代わって神癒奈が魔神の攻撃を捌き始めた。


「同じ神ならば! その身体があれば私は本気を出せる! その身体を寄越せぇ!」

「私の身体は私の物です! 貴方なんかには渡さない!」


 槍が神癒奈に突き出され、彼女の腹部に突き刺さるが、彼女は焼けるような痛みに耐えながら停止の力場を槍にかけ、槍を破砕した。

 相手の武器は残すは剣一本のみだ。神癒奈は身体を回復させながら刀を振るうと、魔神の剣と爪を弾き返し続ける。


「何故だ! 何故こうも力に差が出る! ただの神相手に、何故押されている!」

「全能の神を、甘く見ないで!」


 神癒奈が剣を弾き返し、背中を取ると、人間の部分を背中から突き刺した。そのまま身体を蹴って刀を引き抜くと、神癒奈は叫ぶ。


「永戸さん!」

「撃つぞ! 離れろ!」


 神癒奈が離れた途端、ベクターキャノンが放たれ、魔神に直撃すると、そのまま壁に縫い付けた。


「ぐぁああああっ! なんだこの杭は、力が抜けて行く!」

「白銀の力はどんなやつの力も抑え込む、零の力も合わさればダブルパンチだろうさ、神癒奈! トドメを刺すぞ!」

「はい!」


 すると、空の月と星が輝き、月に光が集中すると、神癒奈に青白い光が降りてくる。瞬間、神癒奈の体内のエネルギー量は臨界を突破し、尻尾から焔がゆらめいた。


「『月光』……永戸さん、決めてください!」

「あぁ!」


 神癒奈からエネルギーが譲渡され、イクセリオスに眩い光が宿り、永戸は聖剣の光を収束させると、魔神に近寄った。


「来るなぁああああ!」


 魔神が最後の抵抗でビームを放つが、永戸はそのビームを聖剣で真っ二つに裂きながら進むと、零距離を取った。


「これで終わりだぁああああっ!」


 下から聖剣を切り上げ、魔神を人間となる部分諸共真っ二つに両断した。


「ばかな……私が…人間に負けるなど……!」


 その瞬間、魔神は聖剣の光によって焼かれ、そのまま霧散する。直後、王国の広場だった場所には、静寂が訪れた。


「やった…のか?」


 クレスがぽつりとそう呟く。


「ええ、やりました。魔神は…倒せましたよ」


 神癒奈がそう言った途端、異世界第85支部の四課からはワッと歓声が上がった。遅れてミズガルズ第二支部のメンバーも喜ぶ。


「素晴らしい! これがかの死神部隊の! 二人の英雄の実力! 私フローは感極まりました!」

「魔神を倒すだなんて……ったく、本物の英雄には勝てやしないや」

「凄いです……あの魔神を、二人で倒すだなんて」


 四課のメンバー達はホッとしながらも、永戸達の実力に驚かされた。これがかの第一支部の死神部隊の二人の真の実力、その力を見て、三人は永戸と神癒奈をあれが英雄だと心の底から思った。

 永戸が剣をしまうと神癒奈のところへ戻る。すると、二人で拳を合わせた。


「やったな」

「はい、今日もバッチリ世界を救いましたね」


 二人が笑い合うところを見て、フィアネリスは近づく。


「お二方、お怪我などは?」

『土手っ腹をぶち抜かれたけど自力で治した』

「そ、そうですか、それなら、安心と言うべきでしょうか」


 少々ぎこちないながらもニコッとフィアネリスが二人に笑いかけると、二人もバツが悪そうに笑う。そんな彼らを見て、デュレーは思った。


(二人の英雄…か、凄いものと巡り合ってしまったな)


 ミズガルズ第二支部四課全員で集まり、健闘を讃えあう姿に、デュレーは微笑むと、彼らに賞賛をかけようと、近寄ったのだった。

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