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ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ  作者: 遊戯九尾
第二章 神降ろしの王国
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乱戦の中起きる災厄

 王国の兵士との戦闘が始まり、永戸達は思う存分、これまで出せなかった全力で戦う。民間人はすでに逃げた後で永戸達が暴れ回るには十分すぎる環境だった。


「ひとぉつ!」


 ガンブレード、リヴァンジェンスⅢをブーストをかけながら振り回しては永戸は兵士の首を刎ねる。続けて聖剣イクセリオスの光波を飛ばし、敵兵を両断した。


「久々に使うけど、劣ってないな!」


 聖剣を投げつけると、兵士の頭部に突き刺さり、永戸は零の紅黒い稲妻を発生させながら近づくと、死んだ兵士から聖剣を抜き取り、次の敵を切り裂く。


「ええ! こんなに自由に戦えるのなんて久々です!」


 神癒奈は妖刀夜廻桜を構えては、確実に相手を殺す殺人剣、焔月式抜刀術零式で兵士たちを次々とズタズタに切り裂く。


「死ねぇええええっ!」

「っ! 舞桜まいさくら!」


 後方から迫り寄ってきた兵士に向けて、前と後ろ両方に剣のついた両剣、舞桜を虚空から出すと剣の後ろの刃で後方に来た兵士の腹を貫く。きっちりと振り下ろされた剣も刀で防ぎ、神癒奈はそのまま戦闘を続ける。


「あはっ♪ 楽に倒せると思わないでくださいね♪」


 フィアネリスはナノマシンでできた機剣、ホワイトレクイエムを振り回しつつ、攻撃はシールドでガードし、ビットも使用しながらこの中で一番敵を殲滅していた。


「ゴミ掃除もこれだけ多いとやりがいがありますねぇ」


 剣から波動砲を撃ち、薙ぎ払うと兵士たちが消し飛ぶ。建物も崩れ、その下にいた兵士たちを押し潰した。


「すげー…あれが、本部の死神部隊の本物の実力」

「うおおおおお! このフロー! 隊長達の勇姿をこの目に収められて感極まりそうですぞ! クレス殿! メルト殿! 我々も負けていられませんぞ!」


 そう言ってはフローレアも戦闘に参加していく。それを見たクレスは呆気にとられた表情をした。


「あぁおい! ったく…血の気が多い連中ばっかだな、しゃーない、行くか!」

「は、はい! 全力でサポートします!」


 クレスが対物ライフルを持って飛び出しては敵兵を撃ち抜く。いくら鎧を着ていても対物ライフルの前では紙も同然だ。


「イストリア製の特注対物ライフルだ、当たると痛いだけではすまねぇぞ!」

「『ブースト!』『クロックアップ!』『ヘヴィグラビティ!』」


 対物ライフルでクレスが援護射撃をする中、メルトが永戸と神癒奈達に向けて魔術で援護を行う。その瞬間、永戸達の体は軽くなり、逆に、兵士達の動きが重くなった。


「魔術師による支援だと⁉︎ 先に奴から殺せ!」

「やられるわけには、いかない! 『イグドラシル!』」


 イグドラシルを唱えると、巨大な木が生え、魔術師達の攻撃を防ぐと同時に兵士達を枝で串刺しにする。そこからさらにエネルギーが流れ、永戸達の力が増した。


「流石は英雄と呼ばれた部隊、こちらも負けてられないな」


 第85支部のデュレーも負けてはいられないと永戸と同じく二刀流で切り裂いていく。


「神癒奈! コンビネーション行くぞ!」

「はい!」


 永戸と神癒奈が2人合わさり連続攻撃を行う。2人の斬撃を受けて耐えるものはおらず、2人は無双していく。


「ええい! 何者なのだ奴らは!」

「分かりません! ですが! 王国に敵対的なのは間違いありません!」


 国王が兵士に囲まれながら永戸達を見ては驚くが、ここで永戸は国王の姿を見つけると紅黒い稲妻を発しながら接近した。


「お前が国王だな、異世界の法に則り、お前を逮捕する」

「誰が逮捕など! ただ神を降臨させようという儀式なだけだぞ!」

「他国への侵略を企ててると情報が入ってるんだ、大人しく捕まった方が身のためだぞ」


 近衛の兵士の盾で攻撃が防がれるが、国王にそう告げると永戸は近衛の兵士を攻撃の複写で吹き飛ばした。これで国王を守る者がいなくなる。


「ひ、ひぃいいいっ! く、くるな!」


 国王が腰に下げていた剣を手に取り、振り回すが、永戸には当たらない。

 見てられないなと永戸は思うと、国王を剣で切り裂いた。


「ぐっ……!」


 国王はよろけ、広場の中心の生贄の台に倒れ込む。自分が倒れた場所を見た国王は、何を思ったかこう叫んだ。


「魔術師達よ!もう一度降臨の儀式をするのだ!」

「しかし国王! それをしてしまえば貴方が!」

「構わん! 最後にわが国が勝てば良いのだ! この身に宿しても構わん!」

「不味い!」


 永戸が慌てて零を使い、国王を突き刺すも、意地があるのか、国王は死にはせず、詠唱を受け始めた。


「させません!」


 フィアネリスが魔術師達に向けて波動砲を撃つも、生き残った兵士がそれを阻み、魔術師たちの詠唱を成功させてしまった。


「総員! 魔法陣から離れろ!」


 破損した魔法陣が起動し、神を降臨させようと周囲から魔力を吸い取ろうとする。

 永戸と神癒奈達はなんとか離脱できたが、王国の兵士は離脱に間に合わず、魔力を吸い取られるばかりか、生命力まで吸い取られ、ミイラと化す。

 そして、死体になりかけたはずの国王がゆっくりと体を持ち上げると、その力に歓喜した。


「おお! おおおおお! これが神の力か! なんと素晴らしい! 力が溢れ出てくる!」

「止まって!」


 神癒奈が刀を鞘に戻し、焔月式抜刀術壱式で一撃で倒そうとするが神同士の力の干渉か、互いに力がぶつかり合った。


「っ! ダメっ! ここでその力を使っては!」

「今更何をいう、正当防衛で力を使わせてもらう!」


 国王が手をかざすと、極太のビームが出た。神癒奈はギリギリで回避できたが、その先にある建物は全て跡形もなく消え去った。


「貴方……自分の国の…民を…! どうして!」

「お前達が悪い! お前達が仕掛けた戦いだろう! なら、犠牲者はお前達の手で出たようなものだ!」

「違う! 形はどうあれ、手を汚したのは、貴方です!」


 神癒奈は停止の力場を使って互いの力の干渉を打ち消し、国王を切り裂く。停止の力場の効果で再生能力があってもそれの効果は出ない、ダメージは通った。だが…。


「まだだ! 例え肉片になろうとも! お前達を抹殺してやるぞ!」


 国王は次のビームの照射の態勢に入る。撃たせてはならないと神癒奈は停止の力場を貼り、バリア状にして防ごうとした。


「死ねぇえええええっ!」


 ビームが飛び、神癒奈の停止の力場とぶつかり合う神癒奈は全力で防ぐことに集中し、国王はまるで魔王の如くビームで跡形もなく焼き払おうとした。


「ふはははは! この力があれば…世界を制すること…な……ど……ングッ⁉︎」


 その後も互いに攻撃の攻防が行われるが、ここで国王の様子がおかしくなる。内側から溢れる力が抑えきれないのか、国王の身体が変化を始めた。国王が自らの手を見ると、そこにあったのは人間ではない化け物の手だった。


「な、なんだこの手は⁉︎ 儂は…どうなると……がぁっ! ガァアアアア⁉︎」

「おいおいおい、一体どうしたんだ⁉︎ 国王の体がおかしくなってるぞ!」

「恐らく…あれは」

「魔神に身体を、乗っ取られてる」


 クレスが怯える中、冷静に永戸と神癒奈は分析する。国王の体はメキメキと変化していき、そして最終的には、人の形を半分残した魔神と化した。


「なんだこれは……半端な降臨術式のせいか、醜い体で降りてきてしまったではないか」

「アレが…魔神⁉︎」

「半分だけどな」


 フローレアもクレスと同様に恐怖を隠さずにいた。魔神は人間の半身に忌々しく爪を食い込ませると、目の前にいたフローレアに目を向ける。


「そっちのエルフの体の方が、馴染みそうだ、どうだ、エルフの少女よ、私と取引をしないか?」

「フローは……!」


 恐怖が限界に達したのか、フローレアは膝から崩れ落ち、武器を落としてはガタガタと震える。


「世界を滅ぼせるほどの力をくれてやろう。もっとも、体の主導権を握るのは私だがな、ククク…」

「ウチの新米に、嫌な取引を持ちかけるのはやめてもらおうか」

「隊長…殿ぉ…!」


 魔神は永戸の姿を見るが、奇妙な違和感に気付く。


「なんだお前は…そこにいて、そこにいない……変わった存在だ」

「冥府の底から来た死神とでも答えておこう」

「クッカカカッ! 死神だと⁉︎ ただの人風情が、死神を名乗るなど! ありえんに決まっておろうが!」

「立てるか? フロー?」

「すみません隊長殿…フローは…恐怖で立つ事すらできませぬ!」


 ガクガクと震えるフローレアを見て、永戸はフィアネリスに指示を出す。


「フィーネ、フローを守ってくれ、こいつの処理は、俺と神癒奈で行う」

「仰せのままに」

「人間と神が、たった2人で私に挑むだと⁉︎ 馬鹿げている、神はともかく、人間のお前に何ができる!」

「全力で足掻けば、お前を倒せる」


 一瞬で距離を詰め、永戸は斬撃を入れる。傷口は再生されるが、だが魔神に脅威だとしっかり認識された。


「なるほど……人の身でありながら人の身でない、確かにお前なら楽しめそうだ、足掻いて見せよ! 人間と神よ!」

「いくぞ神癒奈!」

「はい!」


 2人は魔神に突っ込み、攻撃を開始した。

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