真紅の稲妻と紅蓮の焔
ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ! 開始しました! 永戸と神癒奈達の新たな冒険をお楽しみください!
武器を持った男達が攻撃しようと迫る中…真紅の稲妻が迸る。それが通り抜けた後は次々と男達は切られ、血を流しては倒れていった。
「なんなんだあいつは⁉︎ 死神か⁉︎ それとも悪魔か何かか⁉︎」
男達が銃を撃つが、稲妻には当たらず、男達は容赦なく斬られていく。
「なっあぁ……なんなんだ…なんなんだよあいつは⁉︎」
同じ言葉を繰り返す男、どうやらこの集団のリーダーらしく、目の前の状況を受け入れられずにいた。
「後方より火の手が上がってます!」
「いつの間に⁉︎」
男達は後方を見ると、焔が燃え上がっているのが見えた。
その焔の中心には紅蓮の焔を宿す狐がいて、男達は逃げ場を失った。
そしてそんな中、集団のリーダーの目の前に、一人の男が真紅の稲妻から現れた。
「特殊詐欺グループの実行犯はお前だな?」
「それがなんだっていうんだ⁉︎ 俺たちは真っ当に商売してきただけだぞ!」
そういう男の体は震えていて、今にも気絶しそうなほどだった。
「真っ当に? 真面目に生活をしていた人たちから搾取して、それで真っ当に暮らしてたと本当に言えるのか?」
「あぁ! こっちも商売だからな! こうでもしなきゃやってらんな…ひぃっ!」
男の顔の横を剣が掠める。後少し横だったならば耳が削ぎ落とされていただろう。
「てめぇらは刑務所送りだ。死なせないだけマシだと思え」
そういうと真紅の稲妻を纏っていた男は、特殊詐欺グループのリーダーに手錠をつけ、転移させて警察組織に送る。男はふぅっとため息をつくと、いつのまにがそばにやってきていた紅蓮の焔を纏っていた狐と話をする。
「任務完了だ。殺す価値のない相手だったな」
「これで詐欺に使われた金が戻ってこれればいいんですけどね」
「そこは都市の法で裁かれるだろう、さ、帰ろう、今日の晩御飯担当は誰だっけ」
「貴方ですよ、遅くならないうちに帰って、さっさと料理を作って下さいね」
はいはいと言っては男は剣をしまうと、二人で帰り道につく。
「こんなゲス野郎がいる中でも、世界は回ってるんだな」
「そういうのを処理して回るのが、私たちの役目でしょう? 私たちの存在がこの都市の平和を守ってるんですから、誇りましょうよ」
「誇れるもんかなぁ、やってる事は人殺しだぞ」
「それでも、平和を守ってるのは確かなのですから、どのような形であれ、誇っていいことだと思います」
そういうもんかと男は言うと、狐と一緒に自分たちの帰る場所へと帰っていった。
異世界というものが生まれてから、長い年月が経った。世界は相変わらず悪が蔓延っているが、だが、それらを処理する者がいた。どんな相手だろうと、彼らは怖けずに戦い、世界を救うためにどんな手段を用いてでも任務を遂行する。
そんな彼らの名前は……。
「みなさまご機嫌麗しゅう、待ち望んではいたんではないでしょうか、ヒトとキツネの異世界黙示録の続編を。英雄殺し、陽宮 永戸ことマスターと、全能の神、焔月 神癒奈さん、二人の新たな冒険が幕を開けます。私従者フィアネリスもずっと待ち望んでいました。ではでは、ヒトとキツネの異世界黙示録Ⅱ、始まりです」