卒業
「卒業おめでとうございます」
いつもの教室のいつもの時間、窓から校庭を眺める先輩に声をかける。
こちらを振り替える先輩は、未だ目を赤くし今の今まで泣いていたであろう事が分かる。先輩は少し息を整え「ありがとう」と返事をする
「この後卒業生で打ち上げとかあるんですか?」
「まだ受験控えてるの子もいるから、3月の終わりにする事になってる」
「そうですか…」
「君は他に挨拶しなきゃいけない先輩とかいないの?」
「3年生は先輩くらいしか知り合いいませんよ」
「そっか」
先輩が微笑みながら答える。
僕はずっと決心していた言葉を伝える為口を開く
「……それでですね」
「なに?」
「ちょっと聞いて欲しい事があるんですけど…」
「だから何?」
心臓の鼓動が止まらない、心臓が張り裂けて倒れそうだ。
「あの…」
必死に言葉を紡ぐ、ここまであからさまに緊張してるんだ、きっと先輩も何を言われるか分かっているかもしれない、けれど自分の言葉で伝えたい。
「…先輩3年間お疲れさまでした」
「…うん?ありがとう?」
緊張で何が言いたいか分からない、先輩もきょとんとしている
「…2年間お世話になりました」
「こちらこそありがとう…」
「2年間楽しかった…です」
「うん」
「先輩……好きです」
消えいりそうな声で思いを伝える。僕にはこれが精一杯だった。
その言葉に先輩が目を丸くする。
「今の告白?」
「…そうです」
その答えに先輩が吹き出す
「急に話が飛ぶから何事かと思った」
「え、いや…」返す言葉もない
「じゃあ、せっかく勇気を出して告白してくれたんだから返事しないとね」
「はい…お願いします」
心臓の音が、頭の奥まで響く。