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忘れ物  作者: あるて
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祖母とわたし

 神様っているのかな?

 いるんだったらなんで世の中はこんなに不公平がいっぱいなんだろう。

 食べるものに困らない日本のような国があるのに、毎日餓死者がたくさん出ている国もある。

 神様がいるならなんで?

 選ばれた民のみが最後の審判の時に救われるという教えもあるという。なんだそれ。どんな差別主義の独裁者なんだそいつは。

 神は人に試練を与えて這い上がるよう見守っているという教えも。究極のスパルタ放任主義だよそれ。いくら試練と言っても希望も何もなく死んでいく人のなんと多いことか。そんな神様が愛にあふれているなんて信じらるわけないでしょう。

 本やテレビを見る時間はたっぷりあったのでいろんな知識をつめこんだ。小学校に上がる前なのに新聞も読めるくらいにいろいろ読んだ。わからない漢字は想像で埋めながら。

 だから子供らしくないいろんな事を考えたりしたけど、自分が一番不幸だなんてことは思いたくなかった。

 幸福かと聞かれたら正直うんとは言えない状況だったけれど。

 父に育てられるようになってから幼稚園に通うようになったけれど、父では送り迎えができないので祖母の家に朝、預けられてそれから登園していたからすごく早起きなのはよかったんだけれども、肝心の保護者がわりである祖母に苦労させられた。

 世間一般でいうアル中。アルコール依存症。正常な思考もできないほどの重度だった。

 透明の液体をグラスに注いで一気飲み。すごく美味しそうに飲んでいるから聞いてみた。

「おばあちゃん何飲んでるの?」

「水」

「わたしも喉がかわいたから飲みたい」

「これは子どもの飲む水じゃないから洗面所で飲め」

 当時の都会の水道水はものすごく不味かった。でも麦茶を沸かしてくれるわけでもなく、完全放置状態だったので仕方なく水道水。

 わたしよりも当時飼っていた室内犬の方が大切だったようで、幼稚園バスを迎えにきてからそのまま犬の散歩を日課にしていたのはいいが、わたしがトイレに行きたいと言っても犬様優先で決して家に上がらせてもらえなかったので、ええ体験しましたとも、人生初の粗相というものを。すぐにはいれるはずの家を目の前にして。

 お犬様は楽しくお散歩しながら好きな場所でお花摘み。それをまっているたかが人間ごときのわたしはお腹が痛いのをひたすら我慢して人生最初で最後の屈辱を味わう。

 なんともシュールで微笑ましい光景だろう。


 お弁当も出来合いのお弁当を器用にスライド。一般家庭の手作り弁当にプラスチックの菊は入ってないよね?

 一度は遠足の時に、いつもどおりスライド弁当を予想して友達から離れたところで弁当箱を開けたらメロンパンが入っていた。さすがにショックで固まっていたら先生に発見された。先生たちに囲まれ、それぞれの先生のお弁当から少しづつおかずとごはんをわけてもらったのはかなりみじめで堪えた。いまだにメロンパンが好きになれない。

 そんな調子だったので、記憶はおぼろげだけどおそらく半年もしないうちに泣きながら父に訴えて勝ち取った称号が幼稚園中退。やってやったぜ。


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