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異世界漂流記  作者: 春雪
第一章〜無人島サバイバル編〜
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第四十五話  『魔物溜まり・3』

第四十五話です。


感想、ご指摘、コメントなどお待ちしております。

 


『1日目』



 結論から言うと、私達は無事合流を果たした。あの後、氷の柱の元に辿り着いた私は三裡ちゃんと合流し今後の事について意見を交わしているとまず全身を血に染めた鏡花ちゃんが現れた。



 鏡花ちゃんの尋常ではない様子に2人して悲鳴のような声を上げて駆け寄ったがどうやら怪我の程度は私達と大差なく、全身の血は魔物の返り血らしかった。



 怪我も大したことがないことがわかったので詳しく話を聞こうとしたところで美香さん、郁美と続いて姿を表し、そんなに間を空けずに春樹を除く全員が揃ってしまった。流石に不自然だと思った私が全員に何故ここに来たのかと問いかけてみると満場一致で「なんとなく」との事だった。



 島の時と似てるけど、、緋月さんがいない今同じ事ができるとしたら春樹しかいない。でも、、どうして春樹がそんな事を?



 今までの訓練だって基本春樹は別メニューで一緒に訓練することなんてほとんどなかった。だから春樹がこの場にいないこと自体はそこまで不思議でもない。「私達を一カ所に集める」というのも実際、私も合流を最優先に動いていたのだし別に不思議には思わない。でも、集めるだけ集めて当の本人が姿を現さないのは謎だ。



 なら、、春樹じゃない誰かの仕業?、、、でも、目的がわからない。私達に危害を加えるつもりならわざわざ集めるより各個撃破した方がいいに決まってる。集めた方が楽だし問題なく全滅させられる自信が相手にあるのなら今こうしてる間にもさっさと襲ってしまえばいい話だし、、まさか本当にただの偶然?



 いくら何でも流石にそれは、、いや、やめよう。合流できたのは普通に大助かりだし襲ってくるものは対処するしかないのだから考えても意味のないことだ。



 そう考え頭を振って意識を切り替えた私がみんなに荷物の事を聞いてみたら郁美と先生が苦虫を100匹くらい噛み潰したような顔になった。



 、、、どうやら既に確認済みらしい2人は置いておいてその他のキョトンとした表情を浮かべているメンバーに事情を説明すると各々自分の荷物をひっくり返し始める。



「本当に、、あの人人の心とか持ってないのかな、、」



 全員の荷物を確認した私はそう呟きながら膝を抱えてしくしく泣いている美香さんと恵美に同情の視線を投げかけてから改めて足元に視線を向けた。視線の先に並んでいるのは各々の荷物から出てきた鍋、焼き肉用の網、火打ち石、包帯や消毒等が入った医療キット、植物図鑑だ。



 、、流石に牧瀬さんの人間性を疑わずにはいられない。せめて、、せめて最初の1日だけでも凌げる食料と水が欲しかったと言うのは私の甘えなのだろうか?詳しくはないけど軍の特殊部隊とかのサバイバル訓練でも携帯食糧くらいは持たせてるんじゃないだろうか。



 ちなみにだが、泣いている2名のリュックには砂袋しか入っていなかった。純粋なただの重りである。



 、、まぁ、ないものねだりをしていても仕方ない。そんな事よりも急いで食料や拠点を確保しないと、、、



『2日目』



 お腹すいた。



 昨日、さっそく食料や拠点を探そうとみんなに持ちかけようとしたところで魔物に襲撃された。襲撃自体は難なく撃退できたので問題なかったが撃退した魔物の血がまた別の魔物を呼び寄せ、そこからは連戦続きだった。血の匂いで寄ってきている事に気が付いてからは移動したのだが多少マシになった程度だった。



 私は最初の魔物を倒して以降は合流するまで空を飛んで移動していたので気が付かなかったのだがこの森、とにかく魔物が多くて遭遇率がハンパじゃないのだ。元々魔物の多い地域である事は知っていたけど予想を遥かに上回る多さで、どうやら返り血を浴びていた霧島さんだけでなく他のメンバーも魔法で戦ったから血を浴びてないだけで合流前にそこそこの数の魔物を倒してきた後だったらしい。



 そんなこんなでひたすら移動しながら魔物と戦い続け、日が落ち始めた事で焦り出した私達は先生の土魔法でドーム上に周囲を覆い、三裡ちゃんの氷魔法で外壁を補強して立て篭もりそのまま夜を明かした。



 そして翌朝、改めて私の風魔法で周囲の木々を切り倒し、先生の土魔法で塀と堀、あと中央に穴を掘ってもらいそこに私が切り倒した木を整形したものを敷き詰めて簡易竪穴式住居を作った。屋根が無いが、、構造的に塀や堀と違って込めた魔力を消費しきった瞬間、重力に耐え切れずに崩れてしまうので必要な時にだけ作って貰えばいい。



 とまぁそんな訳で拠点が完成したのだが、、非常にまずい。昨日ほとんど日中戦い続け、今日は朝起きてから家づくり。さっき飛び上がって確認したが太陽がほとんど真上にあったから今の時刻は正午過ぎと言ったところだろう。つまり、今の私達は飲まず食わずの状態で既に30時間以上過ごしている上に体力もかなり消費している状態だ。



 魔物と戦っている時、そこそこ普通の動物も目にしたから今の私達なら食料の方はすぐに調達できそうだが水の方が問題だ。



 その事をみんなで話し合った結果、班を分けて食料と水を探す事になった。美香さんと郁美ペア、先生と鏡花ちゃんペア、恵美と三裡ペアでそれぞれ食料の調達をメインに水場の捜索、唯一空を飛べる私はその逆で水場の捜索をメインに単独で行動だ。



 そうと決まりさっそく三裡ちゃんの氷魔法で拠点に目印の氷柱を建て、みんなを見送ってから空に浮かび上がったのだが、、、すぐに降りる事になった。



 と言うのも、普通に川、、と言うより湖があったのだ。しかも拠点からかなり近い位置に。どうやら魔物と戦いつつ移動しているうちに偶然湖の近くまで来ていたらしい。



 速攻で手持ち無沙汰になってしまったわたしは拠点でみんなの帰りを待ち、全員が揃ってからみんなで水を飲みに行った。



 その後、各々満足するまで水を飲んでから拠点に帰り、みんなで取ってきた動物の処理をした。ちなみに、美香さんと郁美ペアは鹿を一頭、先生と鏡花ちゃんペアは熊と鹿を一頭ずつ、恵美と三裡ペアは鳥を6羽獲ってきていた。とても素人とは思えない成果だが今の私達の走力に魔法も込みすればこの程度は造作もないだろう。



 むしろ、大変だったのはここからだった。当然、料理をしたことはあれど解体からやった事がある者などいるわけがなく、とりあえず頭を落とすところまではやったのだが、、、この先どうすればいいのかよくわからずあれやこれやとみんなで意見を出し合いながら悪戦苦闘しているうちに夜になってしまった。



 結局、血抜きの時間もあるし今日は食べるのは我慢しようという事になりその日は眠りにつくのだった。



『3日目』



 お な か い た い。



『4日目』



 最悪の気分だ。3日目、もれなく全員が猛烈な腹痛に襲われた。空腹と喉の渇きで冷静さを欠いていたが絶対湖の水を煮沸処理もせず飲んだせいだ。まさか自分のおしりを葉っぱで拭く日が来るとは思わなかった。



 この屈辱は忘れない。無事に帰ったらあの鬼畜女をたとえ差し違えてでも襲撃するとみんなで誓った。絶対にだ。あと春樹がいなくて本当に良かった。



 とりあえず今日は何もしたくない。処理した肉をみんなで食べて今日は寝てよう。



『5日目』



 朝から他のメンバーには狩りを任せてわたしと先生で湖から拠点まで水路を引いた。私が草木を取り除き、先生が溝を掘り壁面をコンクリのように変化させる。魔力が切れると元に戻ってしまうがこれなら水を引いた時に水が濁るのを多少は防げるはずだ。後は拠点まで水が届くのかが不安だったが事前に確認していた通り元々傾斜などの少ない地形だったのでしっかり拠点まで水が流れてくれた。



 これで食料は水は問題ない。魔物も今の所難なく対応できている。極力避けるようにしているがおそらくは単独で出歩いてもよほど油断しなければ問題ないと思う。



 、、、というか、よくよく考えるとちょこちょこ見かける『オーク』や『トレント』などは一から十まである魔物の危険度を表す等級の中で六等級に該当する危険な存在だ。具体的にはもし街中に出現したら軍が出張ってくるレベルだ。そんな魔物を前にしてナチュラルに「単独でも油断しなければ問題ない」とは、、我ながら中々ぶっ飛んだ思考になってきている。



 あと物凄く今更なんだけど正直、、普段している牧瀬さんの相手に比べれば魔物は手応えがなさすぎるし今の所成長した実感があるのがサバイバル知識だけなんだけど、、これ、、何の訓練?



『6日目』



「はぁ、、暇だなぁ。早くおわんないかなぁ」



 先生作のベットに横になりながらそんな事を呟いたわたしは、完全にだらけきっていた。いや、わたしだけじゃなく他のみんなもだ。



 というのも、ぶっちゃけやる事がない。



 先生の作った塀や堀を三裡ちゃんの氷魔法でスパイク付きの物に強化しているおかげで魔物は入ってこれないし仮に入ってこれたとしても問題なく対処できる。食料も三裡ちゃんに定期的に魔法をかけ直して貰えば保存がきくし今の消費スピードなら1週間に一度くらいみんなで狩りに行ってまとまった数を調達すれば余裕で賄えるし何なら美香さんの雷魔法を使えば湖で魚を乱獲し放題だ。



 現状負担の大きい、、つまり拠点の維持や食糧の保存の為に魔法をかけ直し続けている先生と三裡ちゃん以外のメンバーで狩りや獲物の解体などを受け持っているがそれでもこうして暇な時間が生まれる。



 お風呂だって先生に浴槽を作ってもらって恵美にお湯を生成してもらうことで入れているし、、食べ物が美味しくない事とスマホをいじれない事、着替えが無い事やトイレ問題以外は何にも問題ない。この先ずっとと言われたら絶対に嫌だが訓練の間だけと割り切れば全然耐えれなくはない物ばかりだ。



 本当に、、この訓練は何が目的なんだろう、、



 そう考えた次の瞬間、そんなわたしの甘い考えは拠点の外壁と共に粉々に打ち砕かれた。



 バガァァァンという轟音と共に寝っ転がっている私の真上を何かが通過していき再び轟音が響き渡る。



「なっ、、ななななななに!?」



 突然の出来事に飛び起きて周囲を確認すると各々過ごしていた他のメンバーも皆一様に硬直している。とりあえず怪我人はいなさそうな事にホッとしつつ更に視線を巡らせると壁の一部が完全に破壊されその間反対側の壁は半ば崩壊しておりまるで地面から引き抜いたような一本の木が突き刺さっていた。



 さっき私の真上を飛んで行ったのはあの木?何で急に木が飛んで、、、いや理由なんて何でもいい。そんな事よりこれは明らかに何者かの攻撃だ。



「、、、あ、、」



 一気に警戒度を高めた私が木が飛んできた方の壁の穴に目を向けると穴の向こう、木々の間に佇んでこちらを見ている人物と目があった。



 牧瀬さんだ。もはや見慣れてきたいつもの獰猛な笑みを浮かべてこちらを見ている。そして、わたしと目が合った牧瀬さんは何も言わないまま掻き消えるようにその場から姿を消してしまった。



 え?なに??こわい。壁だけ壊してどこかに行っちゃった?、、、え、なんで?すぐ直せるのに?ちょっと待って本当になに?わたし達は今なんの訓練をさせられているの!?



 そう混乱する私達はすぐに思い知る事になるのだった。自分たちの考えが甘すぎた事とこの訓練の目的を。





ここまでお読みいただきありがとうございます。


学園生活編と銘打っておきながら二章の半分以上が学校外でのお話、、、


いいのが思いついたらそのうちしれっと章のタイトル変えるかもしれません、、


面白い!と感じたらコメント、いいね、ブクマなどして頂けると励みになります。

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