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異世界漂流記  作者: 春雪
第一章〜無人島サバイバル編〜
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第四十話  『束の間の休日?』

第四十話です。


感想、ご指摘、いいねなどお待ちしております。

 


「いつでも始めていいよー」



 やたらと元気よくそんな事を言ってきた霧島を始め、何やらワクワクしたような様子で地面に座り込みこちらを見ている面々を見た俺は、思わず頭を抱えた。



 なぜ、こんな状況になったのかだが、、話は昨日まで遡る。



 土曜日の訓練で牧瀬さんと激しい戦闘を繰り広げた影響で闘技場はボロボロになり、代わりの場所を用意しようにもなにぶん急なのでとりあえず日曜日は休みと言う話の流れになったのだが、、戦闘中、魔力と言うものの応用性の高さに気が付いた俺は色々試したいと思い、その旨を牧瀬さんに伝えた。



 するとどうやら、訓練で俺が見せた力が気になるらしく、全員揃いも揃って見学したい等と言い出したのだ。その時は別に特に困ることもないし大勢いれば自分じゃ気付かない点も指摘してくれるのかも、、、と了承したがやめておけばよかったと今更ながらに思う。



 特に邪魔されてるわけではないのだが、、、そうも見られると気が散って仕方がない、、



「はぁ、、、」



 俺はため息をついて無理やり周囲を無視して意識を切り替えるとおさらいがてらに頭の中でこれまでの事を改めて振り返った。



『魔力』、、想いに呼応して動く力。



 文字通り自らの想いに応じて動き、圧縮して固めることで攻撃に用いたり、何もないところに足場として設置することもできる上に、属性魔法として現象を発現させることもできるかなり自由度の高い力だ。



 欠点は、強い想い、、つまり明確なイメージがないと発現しない事と暴走の危険性がある事。



 後者に関しては常に冷静でいれる強い心を持つしか対応策がないが、前者に関しては緋月の教えてくれた対応策がある。



 それは、『技名』をつける事だ。



 最初は「、、え?技名とか恥ずくね??」なんて思ったがこれが意外とバカにできない。



 魔力を扱い始めた当初、例えば火の玉を撃ち出す魔法を使う場合俺は「収束」→「集めた魔力に着火」→「指定した方向に撃ち出す」という工程を一々イメージして行っていた。



 これが、その工程に『炎弾』と名付け、その技名を口に出して唱えるやり方に変えると「収束した魔力を燃やして撃ち出す魔法」と簡単にイメージができるのだ。



 要するに、技名をつける事で思考のマクロが組めるわけだ。



 他には動作をつける事も有効だった。重力を扱うのなら上から振り下ろすように手を動かしてみたり、前方に強い風を発生させたいのなら押し出すように手を突き出して見たり、、、要はその動作で起こす現象をイメージしやすい事が大事で、イメージできるのなら拍手でも指パッチンでもなんだっていい。



 、、とまぁ、これが昨日までの魔法に対する認識で、最初にも言った通りかなり自由度が高いものだと思っていたが、、、それでもまだ認識が足りていなかった。



 結果的に避けられはしたが、昨日の戦闘でおそらく唯一牧瀬さんの喉元に手が届き得た、弾力を付与した魔力を用いた高速移動。



 咄嗟の思い付きでぶっつけ本番でやった事だったが、これはめちゃくちゃ重要な事だ。弾力だけでも相当だが、、他にも何かできる事があるのなら応用の幅がそれこそ無限に近い程広くなる。今日の自主訓練はそれを確かめる為のものだ。



「さて、、、」



 そう呟いた俺はさっそく試しに昨日のものとは若干変えて足元に魔力を生成した。



 込めたのは昨日のように強く反発する物ではなく、低反発枕のように優しく包み込むようなイメージ。



「おぉ、、、できてる、、」



 足元をゲシゲシと蹴り付けてみると、グニュっとした感触と共に、わずかに押し返して来るような感触が伝わってきた。すると、そんな俺の様子を訝しんだ熊谷が声をかけてきた。



「、、、春樹くん、、昨日の戦闘中も似たようなことしてたけど、、、それ、何してるの??」



 そんな言葉に反応して振り返ると全員不思議そうな顔でこちらを見ていた。



「あぁ、、固めた魔力に弾力を持たせてみた」



「マリョクニ、、ダンリョク?」



 理解できないと言った表情を浮かべた熊谷はカタコトで俺の言葉を復唱した。



「ここ、、踏んでみ?」



 他の面々も困惑したような様子を見せていたので足元の地面を指差しそう言うと、進み出てきた熊谷が恐る恐ると言った感じで地面に足を伸ばした。



「、、、わっ!?な、、何これ、、やわらかい、、」



 地面の硬い感触がなく、途中でやわらかい何かに当たった事で驚いた熊谷が足元の魔力をグニグニと踏んで感触を確かめ出した事で他の面々も好奇心が抑えきれなくなったのか一斉に近づいて来ると突いたり叩いたりして騒ぎ始めた。



「ほ、、本当に何かある、、」



「な、、なにこれちょっと癒される、、」



「こんな魔法見たことも聞いたことも、、、というかそもそも魔力を固めるって、、なに?」



 等と思い思いの感想や疑問を口にする面々に緋月から教わった事を語ってみると、、、ニチカ以外が白目を剥いて気絶した。



 、、、やっぱりちょっと刺激が強かったらしい。



 その後「、、あれ?ていうかこれ、、コイツら今『魔力に触れてる』よな、、?」と気が付いた俺は意識を取り戻した面々にもう一度丁寧に説明し、「イメージが大事」という事を強くいい含めて念じさせてみたが、魔力を扱う事は誰一人としてできなかった。



 話を聞いてみると、頭では理解し、どれだけ強く念じようとしていてもやはり実感がなく、魔力そのものに関しても俺のように大気を漂う魔力を感知したわけではないので「渋谷春樹の生み出した不思議な現象」という認識がどうしても働いてしまうようだった。



 なるほど、、緋月がこの世界の人間に魔法は使えないと言っていたのはこういう事か。



 そう1人で納得した俺は意識を切り替えて魔力で他にできそうな事を考える事にした、、、のだが思い浮かばなかった。



 現状できることは魔力の『硬さ』を調整することと『属性』を付与する事。じゃあ他に何ができる?と考えた場合きっと色々ありはするのだろうが漠然とし過ぎていてパッと思い浮かんでこなかったのだ。



 結局、1人であれやこれやと魔力をいじくり回していたが一向に成果が出なかった俺は、見物人たちに意見を募る事にして口を開いた。



「なぁ、、魔力の扱い方に関してなんかいいアイデアないか?多分、、なんでもできるとは思うんだけど『硬さ』並に便利な応用方法がパッと思い浮かばなくてさ、、」



 そう問いかけた俺の言葉に、霧島が口を開いた。



「あたしらは魔力の事よくわかんないけどさ、、話通りの事ができるのなら、、他人の出した魔法とか操れたりするんじゃない?」



「、、っ!!!そ、、それだ!?」



 霧島がなんのけなしに放った言葉に雷に打たれた様な衝撃を受けた俺は思わず大声を上げた。



 確かに、他人の撃ち出した魔法も「大気中にある魔力」と言える。実際は体内で変質してどうのこうのと言っていたから微妙なところだけど、、試してみる価値は充分にある!



「熊谷!ちょっと適当に氷出してみてくれ!!」



「ハッ!!」



 さっそく試そうと熊谷にお願いをしたら疑問を挟むこともなく跪いて了承の声を上げると、視線を誰もいないところに向け、手を突き出した。



 すると、俺達から5mほど離れた位置に巨大な氷柱が出現した。面積は大したことがないが高さの方が凄い。目算だが高層ビル並みの高さがある。



「おぉ、、?でかいな、、?とりあえずでかした!」



「ゼェ、、ハァ、、あ、、ゴホッ、、ありがたき幸せ」



 どうやら体内の魔力を一度に大量に消費すると肉体的にも影響が出るらしく、息を切らして咳き込む熊谷と、直前の俺と熊谷のやりとりを見て非常に何か言いたげな顔をしている他の面々をサクッと放置した俺は熊谷の氷に意識を向けた。



「、、、『霧雪』」



 氷柱に向けて手をかざし、牧瀬さんとの戦闘でも使用した魔法を唱えてみるとパキィィンと甲高い音が鳴り響き、粉々に砕け散って細かい粒子となった氷柱は周囲に広がった。



「『消えろ』、、、、うん、他人のもいけるっぽいぞ?」



 広がった霧を消しつつ振り返ってそう言うと霧島、、と言うより全員がドン引きした様子でこちらを見てきているのが視界に入った。



「な、、なんだよ?」



 いきなりそんな目線を向けられると思っていなかった俺が若干動揺しつつ問いかけると頭痛を堪えるような仕草を見せた霧島が口を開いた。



「、、、自分でけしかけといてなんだけど、、春樹くんあなた自分が何したかわかってるの??他者の魔法に干渉できるなんて、、世間に公表したらは魔法を研究してる学者辺りが全員白目剥いて倒れるわよ?」



「そんなこと言われてもなぁ、、」



 ポリポリと頭を掻きつつそう言う俺に呆れた表情を向けた霧島は更に言葉を続けた。



「なんでとんでもない事しでかした当人がそんなにケロッとしてるのよ、、」



「いや、、ケロッとしていると言うか、、確かに便利だとは思うんだけど、、戦闘面じゃあまり役に立ちそうにないかなって思ってあんまテンション上がらなくて、、」



 そんな俺の言葉に訝しそうな表情を浮かべた霧島は口を開いた。



「、、、?めちゃくちゃ役立つと思うけど、、?実質相手に近接戦闘縛りを強制できるようなものじゃない、、」



「いや、、お前といい牧瀬さんといい強い人は最終的に肉体でゴリゴリ押してくるイメージがあるから魔法消せても正直微妙って言うか、、、違うのか?」



 俺がそう問いかけると少しだけ嬉しそうな表情を浮かべた霧島は首を横に振りながら口を開いた。



「私や牧瀬さんみたいなのは少数派よ。、、特に牧瀬さんは規格外、、例外中の例外と考えていいわ。普通は魔法と剣技を織り交ぜた戦闘スタイルがポピュラーだし、それであんな事された上にあなた自身の魔力は大気のを利用するから実質無尽蔵だなんてそんなの悪夢でしかないわよ、、」



 そんな霧島の言葉にその他の面々もうんうんと頷いた。



「そうなのか、、」



 確かに、、この世界に来てからの対人戦がこの2人のみだったからどうしても肉弾戦こそ正義だという印象が強かったが、、よくよく考えればこの2人ほど近接戦主体なのは他で見たことがない。、、クラスの連中も皆魔法と近接戦の併用で戦っていたしな、、



 とは言え、俺が近接戦が弱いのも事実だ。近接戦闘縛りで戦えば霧島にも負けかねないし、牧瀬さんに至っては魔法を使用した上で勝てなかったのだから言わずもがなだ。



 それに、流石に勝負に負けはしないが「武器を用いた戦闘技術」に関して言えば俺はこの中の誰よりも劣っている自覚がある。



 、、魔法だけじゃなく、、近接戦闘の方も鍛えないとな、、



 そうして新たな課題を見つけた俺はとりあえず今やってる訓練に集中する事にして、引き続きみんなから意見を聞いたりしつつ頭を悩ませるのだった。



 ちなみに余談だが、ニチカの発案で魔力に色がつけれることが判明した。



 試しに青色で固まる魔力をイメージしてみたところ、はっきりと目に見える状態で青色に着色された魔力の塊ができたのだ。



 それがなんの役に立つのかと言われたらそんなものは知らん。





ここまでお読み頂きありがとうございます。


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