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異世界漂流記  作者: 春雪
第一章〜無人島サバイバル編〜
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第一話  『目覚め』

第一話です。

お時間のある時にでも目を通していただけると喜びます。

 


「、、、きて、、、起きて!!」




 声が、聞こえる。声に反応して目を開くと視界いっぱいに青空が広がっていた。



「っ!!うわああああああああ!!!」



 しばらく寝起きでぼーっとしていた頭が徐々に覚醒してきた事で先程の出来事を思い出した俺は叫び声を上げながら飛び起きた。そしてそのまま慌てて自分の身体を確認するがどこにも異常はない。腹に大穴は開いてないし首筋も無傷だ。右足もちゃんとついてる。



 なんだ、、夢か、、、



「だ、、大丈夫?」



 凄くリアルだったが夢であったとわかりホッと安堵していると横から声をかけられ肩が小さく跳ねる。そう言えば誰かの声が聞こえて目が覚めたんだった、、と思い至り声のした方に視線を向けるとそこには5人の人物がこちらを見て立っていた



 、、全員、知ってる顔だ。



 まず、俺のすぐ近くに腰を下ろし心配そうに顔を覗き込んでいるのが教師の小笠原おがさわら 志穂しほ


 20代前半の新任教師だが美人で優しくて面倒見がよく生徒からの評判もいい。男子生徒からはモテているらしく何回か告白されただの、そのせいでごく一部の女子からは疎まれているだのという噂話を耳にした事がある。



 そして少し離れた位置に立ってる4人は同級生だ。



 1人はよく知ってる。

 名前は今村 仁千佳(いまむら にちか)


 いわゆる幼馴染で家が隣同士な事もあり、小学校までは家族ぐるみの付き合いで常に一緒にいるほど仲が良かったが中学に上がったあたりからなんとなく疎遠になった。高校ではクラスは同じだが会話はほとんどしていない。せいぜい、朝家を出る時間が被って顔を合わせた時に挨拶を交わす程度だ。



 そしてその仁千佳のそばに立ってる2人は広瀬 郁美(ひろせ いくみ)盛島 恵美(もりしま めぐみ)


 あまり話したことはないがこの2人も同じクラスで仁千佳と仲がいい。3人とも顔が良く、コミュ力もあるのでクラス内外問わず人気がある。いわゆるスクールカースト上位勢というやつだ。



 そして少し離れた位置に立つ最後の1人。

 名前はたしか熊谷 三裡(くまがや みつり)


 この子に関しては知ってはいるが別クラスで中学校も別々だったので情報がほぼない。

 顔立ちは整っているのだが無表情のせいかどこか冷たい印象をうける。



「、、、渋谷くん?」



「あ、、すみません大丈夫です」



 無視してしまっていた事に気が付き慌てて先生に視線を戻し返事を返す。すると熊谷以外の全員が鳩が豆鉄砲を食らったような表情になった。



 、、、うん?なんだ?この妙な反応は。俺、変なこと言ったか?



「そ、、そう?本当に? さっきも凄い声で叫んでたし、、、」



「大丈夫です、驚かせちゃってすみません。それより、、、ここ、どこなんですか?」



 先生は驚きつつもまだ心配そうにしてくれていたが正直、気になる事がありすぎてそれどころではないので強引に話を終わらせて質問を投げかけてみる。



「それが、、先生達にもわからないの。飛行機の中で眠くなって寝ちゃったところまでは覚えてるんだけど目が覚めたらここにいて、、、見ての通りどこかの島の海岸だと思うんだけど、、、」



 困ったように眉を八の字にさせてそう答える先生。



 どうやら、俺と似た様なものらしい。それになるほど確かに、周囲を見渡すと砂浜が広がっていて内陸の方には森も見えていた。



「そう、、ですか。俺たちの他に人は?」



「それが、、」



「渋谷くんで最後。他は見てない。それより早く安全な場所探さないと夜になっちゃう」



 先生に質問を投げかけると急に熊谷が被せるように会話に割り込んできた。



 、、、初めて声聞いたな。



「お、おぉ?、、そういえば、今何時なんだ?」



 急に会話に割り込まれたので若干戸惑いつつも俺が疑問を浮かべると熊谷が無言でポケットからスマホを取り出し画面を見せてくる。



 画面には15:32の文字が表示されていた。日付は出発した日と同じ。空港から出発したのが午前9:00時だから、、つまり6時間と少ししか経ってないのか。



 念の為、自分のスマホも確認してみるが同じ日付と時間が表示されていた。どうやら時間がズレているとかはなさそ、、、ん?



「、、、、、てかスマホあるじゃん!?」



 あまりに自然に取り出すものだから完全にスルーしてしまっていたがスマホがあるのなら一発で現在地がわかるし、そもそも助けが呼べるではないか。そう思い慌ててスマホを操作するがアンテナの所には圏外と表示されていて電話もネットも繋がっていなかった。



 人生、そう上手くはいかないらしい。



「無駄、私たちのもダメだった」



 ため息をはいてガックリと肩を落とした俺の様子を見て熊谷が首を横に振りながらそう答える。無駄だと分かりつつも淡い期待を込めて無言で先生達の方を見ると苦い顔をして頷いていた。どうやら全員同じらしい。冷静に考えれば、スマホが手元にあって外部への連絡を試していない訳がなかった。



「はぁ、、、たしかに、それなら急がないとまずいな。食料は最悪1日ぐらいなら我慢できるとして今日の夜、安全に眠れる場所と火の確保をしないと」



「ん、そういう事。あ、食料に関しては2日くらいはなんとかなると思う」



「うん?当てがあるの?」



「ん、荷物も一緒に流れ着いてた。それ、渋谷くんのじゃない?」



 そう言って熊谷が指差した方を見ると、、たしかに俺のカバンが砂浜に落っこちていた。



「、、、、、、、、、」



 思わず無言で他の面々を見ると確かに、皆自分の荷物らしきものを持っている。



「、、、、、、、、、」



 まぁ、、お土産に買ったお菓子とか入ってるし皆も似たようなもんだろう。食料は確かに2日くらいなら持ちそうだけど、、そんなことよりもこの状況はなんだ?ツッコミ待ちか?と疑問を口にしそうになり、ふとみんなの様子を見て思いとどまる。



 皆疲れた表情の上に不安が滲んでいる。、、少なくとも俺の目には演技には見えないが、、そうだとしたらはたして今、話してもいいのだろうか?



「フー、、、」



 一度、深呼吸をして落ち着いてから状況を整理する。



 どうやら現在、俺たちは絶賛遭難中。スマホは圏外で現在地も不明。荷物は修学旅行に持って行った着替えに現地で購入した土産物等々。



 時間は現在15時35分。地域によって差が生まれるが、、体感温度はそんなに変わった感じがしないので少なくとも地球の裏側にいるわけではないだろう。完全に周囲が暗くなるまで長めに見積もっても4時間弱といったところだろうか?



 暗くなるまでに拠点と火の確保はしておきたくてみんなも精神的に健全とは言えない状況。加えて俺の抱えてる疑問が少々、、どころか現在進行形で増えまくってるが、、、多分皆に話したところで答えは出ないしきっと不安を煽る類のものだ。



 チラリ、と改めてみんなの様子を見てみる。



 熊谷は無表情でよくわからないが仁千佳達はやはり疲れや不安が滲んだ表情をしているし先生は明らかに憔悴している。



 無理もないだろう。この中で唯一の()()()()だ。責任感やらなんやらで俺たちよりも心にかかる負担は大きいはずだ。



 この状況で更なる不安や混乱を招くような行動は避けるべきだ。うん、、どう考えても今話すべきではないな。



 そう考えをまとめた俺は一旦感じてる疑問や不安を押し殺して今すべき事を考え始めるのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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