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異世界漂流記  作者: 春雪
第一章〜無人島サバイバル編〜
18/56

第十七話  『ともだち』

第十七話です。


感想、ご指摘などお待ちしております。

 


「ふわっ!?、、、ハッ?!な、、なななんじゃこれは!?」



 盛島が水をかけた事で覚醒した竜、、緋月が自身の状態を確認して騒ぎ始める。



「オ゛イ」



「ぴっ!?」



「テメエ、さっきのはなんだ?明らかに封印とやらと関係なさげな何かが起きたよなァ?ありゃァなんの真似だァ? ア゛ァ゛?」



 ヤンキー座りで屈み睨みつけた俺の問いかけに緋月はガタガタと震え涙目になって「あ、、あわわわ」と言葉にならない声を発している。



「、、、今のは龍神様も仰られていた通り、盟約と呼ばれるものよ」



 そんな緋月を冷めた目で見下ろしていると予想外の方向から声がかかる。



 先生か、、そういやさっきも何か知ってる風な反応をしていたな。



「何か知ってるんですか?」



「ええ、言葉の通り、何かを誓うときに行う行為よ。普通の口約束と違って世界に誓いを立てるの。誓約、制約、契約、盟約と順番に約束を破った時の罰が重い物になるわ」



「、、、どうちがうんですか?」



「誓約は自分で自分にかける物で制約は他者からかけられる物よ。前者は何かを成し遂げたい時に願掛けでやったりする人もいるわ。そして、後者は犯罪者や、、まぁ、あまり良いことには使われない物ね」



「そして契約は両者合意の上で行う物で、、一番身近なところだと、、国家間で使われる事が多いわね。一般で1番使われているのは誓約だけれど、その他は大抵は口約束や、、大事な内容なら書面で済ませてしまえばいいのだからわざわざ使用される事は滅多にないものなの」



 そして、と先生は言葉を続ける。



「盟約は、、少し特殊で血によって縛られ他のものよりも契約者同士が遥かに強い繋がりができ、世界からの恩恵も与えられるの。そのぶん、反故にした場合のペナルティも最も重いものであなた達の場合は、、宣言した通り存在ごと消されてしまうでしょうね、、」



「、、、、、」



 め、、めちゃくちゃヤバい代物じゃねえか!?コイツ、なんて事をしてくれやがんだ。



「、、、?いや?この場合約定を破って罰を受けるのは妾だけじゃよ?春樹が何をしようがなにも起こらぬぞ?」



 竜が、何を当たり前の事を?と言いたげな様子で首を傾げながら言ってくる。いきなり名前呼びな事は今はスルーだ。それで、なんだって?俺には何も起こらない?そ、、そうなの?



「妾が勝手にお主と共に歩み共に在る事を宣言して、お主がそれを承諾した事で盟約は成った。、、、この内容でお主が何をしようと罰せられる道理はなかろうに?」



 た、、たしかに?、、いや、待て待てそうじゃない。俺、そもそも承諾なんてしてないんだが!?



 、、、ま、、まさか。



「、、、俺、承諾なんてしたか?」



「、、、?血、混ぜたじゃろ?」



 緋月がコテン、と首を傾げる。



「、、、、、、、」



 やっぱり()()かあああああ!?

 ひ、、ひどい。ぶん殴って無理やりハンコ押させたようなもんじゃねえか!!いや、こちらが何も認識してない分更にタチが悪い。



「、、、?何をそんなに憂いておるのじゃ?主からすればペナルティを受ける心配なく恩恵を得られるのじゃぞ?」



 俺が頭を抱えていると緋月が心底不思議そうな顔で尋ねてくる。



「お前と四六時中一緒にいなきゃいけない約束を勝手に取り付けられた事を憂いてるんだよ、、あと、恩恵ってなんだ?」



「、、、?別に四六時中共におる必要はないが?恩恵は妾との魂の繋がりが生まれた事でいつでも妾を呼び出せたりするようになったり、、他にもあるがまぁそれは追々じゃな」



 、、、あ、、あれ?そうなの?恩恵も、、魂の繋がりとやらは何やらそこはかとなく嫌な予感がするが、、まぁあって損はない、、のか?



「共に歩み、共に在るとは要するに、「妾はお主を裏切らず、常に味方である」と言う意味で、アレはそういう盟約じゃぞ?故に恩恵でお主は妾を呼び出せるようになる訳じゃしな。それにそもそも、別に()()共になどとは言うておらんかったじゃろ?」



「、、、、、」



 俺は先生に無言で助けを求める視線を送る。



「、、、これは盟約に限らず全体的に言える事だけれど契約の内容、その言葉の意味をどう解釈するかは発言した者、、つまり今回の場合龍神様がその言葉にどんな意志を込めたのかで決まるの」



「そうね、、さっきのを例に出すと、言葉の意味そのまま「渋谷君と共にいて、共に歩く」という意味を持たせる事も、「渋谷君の伴侶になる」という意味を持たせる事も可能なの」



「は、、、伴侶??」



「ええ、実際、「共に歩み共に在る」ってプロポーズの言葉として受け取れなくもないし、いつまで?どこまで?の範囲も曖昧でしょう?それが龍神様がどんな意味で言ったのかで決まるのよ」



「、、それって、、、取引として成り立つんですか?」



 俺の言葉に先生は苦笑いをして首を横にふる。



「いいえ。だから、契約より上の約定は滅多に使われないのよ。流石に、「殺さない」に「殺す」と言うような明らかに真逆の意味を持たせる事は不可能だけれど、どこまで別の意味を持たせるかの許容範囲も曖昧で、とても実際に他者との契約などで使えるような代物ではないわ」



「国家間で交わされる「契約」も友好関係を周囲に示すための()()()()()()()としての意味合いが強くて、交わされる契約の内容も大したものではないわ。もし、本気で契約や盟約を行う者がいるとしたら、よほどの事情があるか、強い絆で互いを信頼し合っているかのどちらかでしょうね」



「、、、、、、」



 流石先生。全く知識のない俺でも非常にわかりやすい説明だった。



 とりあえず、盟約とやらが何かは理解した。俺にとりあえずは危害がなさそうなのもわかった。わかったが、、、ねえ、なんで今やったん?それ。



 俺は無言で緋月に視線を向ける。

 緋月も無言で俺を見返してくる。



 、、、わ、、わからねえ。



「、、、なんでお前は俺と盟約を?」



「うん?ともだちなのじゃから別に問題なかろう?」



「、、、え?」



「、、、え?」



「「、、、、、、」」



 互いに疑問の声を上げ、再び無言で見つめ合う。俺は「コイツ何を言っているんだ?」とポカンとした表情になり、緋月は「え?違うの?」といった様子でこれまたポカンとした表情を浮かべている。



「、、、一応聞くけど、俺たちいつから、なんで友達に?」



「と、、ともだちと言うのは「遠慮をしなくていい」者や「後腐れなく殴り合いができる」者の事を指すのじゃろう? ゆ、、勇者がそう言っておったのじゃ!!」



 緋月以外の全員がどんどんと微妙な、、いや、、残念な子を見るような視線に変わって行き、緋月もそれを感じ取ったのか流石に焦った様子でダラダラと汗を流しながら更にまくし立てる。



「お、、おおお主はずっと妾に対し遠慮がなかったではないか!!身体の芯を撃ち抜くような遠慮のない一撃!!大精霊たる妾にこの情け容赦のかけらもない仕打ち!!コレはゆうじょう表現と言うやつなのじゃろう!?」



「断じて違う」



 勇者とやらが何を吹き込んだのかは知らないが、この子「友達」というものを色々と感違いしちゃってる。ていうか、仮に友達である事を受け入れたとして、友達だからと気軽に自らの存在をかけた盟約を行うとか、、普通に重いし怖えよ。俺に害のない内容でマジでよかった、、、



 俺が即座に否定してそんな事を考えていると初めはポカン、、としていた緋月が次第に泣きべそをかきはじめた。



「うっ、、っひぐっ、、、、は、、はじめてともだちができたと思ったのに、、、」



 そんな事を言いながら瞳からポロポロと大粒の涙を流し鼻水を垂らしながらガチ泣きしている。ちなみに、、現在首から下は地面に埋まっていて生首状態だ。ついでに全裸だ。



「、、、、、、、」



 再び、凄まじい罪悪感が俺に遅いかかる。チラリと振り返ると、皆一様に微妙な表情でこちらを見ていた。その視線は、、どことなく俺責めているような気がする。



 お、、俺が悪いってのか!?、、いやいや、ぶん殴ったら友達認定されて存在をかけた盟約を交わされるってお前らでも引くだろ!?少なくとも俺はドン引きだよ!その他の事だって、、、まぁちょっと、、いやだいぶやりすぎた気がしないでもないが、、、でもあの時点では敵か味方かもわからない得体の知れない存在だったわけで、、



「、、っ!!はぁ〜、、」



 しばらく考え込んだあと、ため息を吐きつつガリガリと頭を掻いた俺は緋月の前に座り込んで語りかける。



「、、わかったよ、、友達に、なろう。だから、、泣くな」



「、、、ほ、、ほんとう?」



 俺の言葉を聞いて緋月は目をぱちくりとさせながら聞き返してくる。



 、、、、俺たちより比べるのも馬鹿らしいほど長生きしてる竜だよな?なんか若干幼児退行起こしてないか?コイツ。



「ああ、友達だ」



 若干引きつつ俺が認めると緋月はパァっと顔を輝かせた。



「そうか、、、そうか!!う、、うむ!妾達はともだちじゃ!!」



 緋月はそう口にすると太陽のような笑顔を浮かべた。



 ちなみに、くどいようだがここまでずっと首から下は地面の中でついでに全裸だ。



 ーーーーーーーーーーーーーー



 さて。なんか竜の友達ができた訳だけれども、、、とりあえず、抜いてやるか。



「よっ、、、と」



「お?、、、おぉぉ〜」



 俺は両手でガシッと緋月の頭を掴むとそのまま引き抜こうと力を込めた。怪我をしている左手に痛みが走るが気合いで無視してさらに力を込めるとボゴォ、、と音を立てて地中からずるりと泥だらけの緋月の裸体が姿を表す。



 うわ、汚っ!!



「ふ、、普通に引き抜いた、、」



「そ、、そんな野菜の収穫みたいに、、」



 横からそんな呟きが聞こえてきたがスルーしていると緋月が声をかけてくる。



「ありがとうなのじゃ!!そろそろ痒くなって来てた所じゃったから助かったのじゃ!!」



「おう、、跡になるからあんま掻きすぎんなよ?」



「うむ!」



 俺たちがそんなやりとりをしていると再び横から呟きが聞こえてくる。



「、、、ねぇ、これ私がおかしいの?誰かツッコんでよ」



「どうして何事もなかったかのように話せるの?」



 、、等と聞こえてくるがコレもスルー。



 この島に来てから急速に鍛え上げられた俺のスルースキルをなめないでもらいたい。直接話しかけてこないなら無視だ、無視。



「ところで、緋月」



 周囲の反応をサクッとスルーした俺は緋月に話しかける。



「ここにいる連中を住んでた場所に帰してやりたい。お前が運ぶなり転移させるなりしてやる事は可能か?」



 横から息を呑む気配が伝わってくる。



「うむ!転移は、、元の座標がわからない故難しいのじゃ。故に背に乗せて送り届けるのじゃ。、、妾も久方ぶりに自由に空を飛びたいしのぅ」



「り、、竜神様の背中に乗って?!」



 緋月の言葉に先生が衝撃を受けた様な表情で声を上げる。他の面々も衝撃を受けたような、恐縮したような反応を見せつつその瞳は期待で輝いている。



 、、、なんかめちゃくちゃ敬意持たれてんな、コイツ。いや、実際凄い存在なのだろうが今まで数々の残念な姿を見てきたせいでイマイチピンと来ないんだよな。ほらよく見て?泥んこの裸ん坊だよ?



 俺がそんな事を考えていると緋月が口を開く。



「あ、、ただ出発する前に妾の住処に寄らせて貰いたいのじゃ。刀の鞘や他にも数点持ち出したいものがあるのでな」



 、、、?、、、、、、あぁ。一瞬何の事かと思ったが、刀の存在を完全に忘れていた。



 俺は、とりあえず木に立て掛けたっきり完全に忘れ去っていた刀の回収に向かうのだった。

ここまでお読み頂きありがとうございます。


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[一言] 友達の定義……面白かったです。 次も待ってます!
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