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異世界漂流記  作者: 春雪
第一章〜無人島サバイバル編〜
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第十二話  『再会』

第十二話です。


感想、ご指摘などお待ちしております。

 


 突如、謎の声を聞いた俺達は現在、同じ様に声を聞き島の中心へと足を進めているであろう仁千佳達と合流する為、声の導くままに身を任せて森の中を走っていた。



 、、、やっぱり、凄いな。



 俺は自分の状態を確認してそう思った。



 と言うのも、もうかれこれかなりの距離を全力疾走しているのにも関わらず息一つ切らす様子がないのだ。しかも、熊谷を背負った状態で、、だ。先程人間離れした怪力を見せた俺だが、どうやら体力の方も人間やめちまっているらしい。



 、、、、この状況ではありがたい限りだけど、マジでなんなんだ、、?まさか後でどデカい反動とかこないだろうな?これ。



 俺が明らかに普通でない自分の状況に不安を感じていると正面にオオカミの様な動物に襲われている集団を確認した。



 いた!仁千佳達だ!よかった、まだ無事な様子だ、、が今まさに襲われている。安心している場合ではない。



 襲っているアレは、、、なんだ?



 一見するとオオカミの様に見えるが額が縦に割れそこから第三の瞳が覗いている。



 、、、ハッ、、とうとう化け物のご登場か。まぁいい上等だァ。謎は尽きないがそもそも、今の俺が既にに化け物の様なものなのだ。今更、目玉が一個多いだけの犬っころが数匹出たくらいでなんだって言うんだ?



 俺はそう考え腹を括ると声を張り上げる。



「熊谷ァ!!!」



「ッ!?はっ、、はいぃ!!!」



 熊谷が情けない声で返事をしてくるが構まっている場合ではないのでそのまま状況を伝える。



「見えてきた!!目標ッ!訳のわからねぇ不思議生物!!!このまま突っ込むぞォァ!!!」



 そう口にした俺は足に力を込め、一気に踏み込む。



「いっ、、いやあああああああああああああ!?」



 背中の熊谷の悲鳴を聞きながら弾丸の如く加速した俺はそのまま今まさに仁千佳に飛びかかっていたオオカミ(仮)に飛び蹴りを放つ。



「何さらしとんじゃワレコラァ!!!」



 ボキュッ!!!



 俺の蹴りが命中した瞬間、生々しい音が聞こえオオカミが悲鳴を上げる間もなく爆散する。



 、、えっ!?



 流石に蹴りで爆散するのは想定外で一瞬、動揺で頭が真っ白になるがすぐさま近くにいた2匹目のオオカミ(仮)が襲いかかってきた。呆気に取られたことで反応が遅れ、咄嗟に左腕で庇うがその腕に噛みつかれ、血が噴き出し激痛が走る。



「、、、ッツ!!痛っ、、てぇなァ!!このックソボケがァァ!!!」



 腕に走る激痛をを歯を食い縛り気合いで耐え、そのまま左腕を振り上げ腕ごとオオカミ(仮)地面に叩きつけた。



 轟音と共にオオカミ(仮)は地面のシミになり地表に蜘蛛の巣状のひび割れが入る。叩きつけた際に牙が更に食い込み再び血が噴き出し激痛に襲われるがこれも歯を食い縛り気合いで耐える。



 あのクソッタレ店長に同意するのは癪だが、気合があれば大抵のことは乗り越えられる。奴も事あるごとに気合い入れろと口にしていた。ようは何事も気合いだ、気合い。



 俺は自分でもよくわからない理論で痛みをゴリ押しで無視するとそのまま立ち上がり周囲を見渡す。



 仁千佳達は全員無事。、、見たところ怪我はない様だ。全員唖然とした様子で口をポカンと開けている。この状況でなんともマヌケな表情だがこの怪力をいきなり見せられたらまぁ仕方ないか。



 そしてオオカミ(仮)は残り5匹。確証はないが、、おそらく″四回目″で俺と熊谷を襲った奴らだ。あの時は視界がぼやけていて″オオカミのようなもの″としか判別できなかったが大きさやシルエットはそっくりだ。



 それを確認した俺は口元が自然と笑みを形取っていくのを感じつつ口を開いた。



「よォ、、テメェらよく見たらどっかで見たことあるツラしてやがんなァ?あの時世話ンなったお礼しなきゃなァ?」



 俺が口元に不敵な笑みを浮かべながらゆっくり歩き出すとオオカミ(仮)は仲間が2匹も瞬殺された事で動揺したのか怯えた様に後ずさり、一拍おいてから一目散に逃げ出した。



「テメェから喧嘩売っといて逃げてんじゃねェぞカスコラァ!!!」



 俺はそう叫びながら咄嗟に足元に転がっていた野球ボールくらいのサイズの石を拾い上げ全力でぶん投げた。



 銃弾顔負けの速度で真っ直ぐ飛んでいった石は逃げるオオカミ(仮)の内の1匹に命中しそのまま腹に風穴を開け貫通すると、そのまま止まらず木々をへし折りながら森の奥へと消えていった。



「、、チッ」



 4匹逃したことに腹を立て俺が舌打ちをしながら振り返ると仁千佳達は先程と全く同じ状態で口を開けたまま呆けている。



「、、、おい、大丈夫か?怪我は?」



 俺が問いかけると全員ハッとした表情で首を横に振る。盛島だけ顔を青褪めさせ大量に汗をかいていたが、、、まぁ見たところ怪我はなさそうだし問題ないだろう。



「あ、、、あのぅ、、」



 俺が全員の様子を確認しているとふいに背後から遠慮がちに声がかけられた。



「そ、、その〜、そろそろ下ろして頂いてもよろしいでしょうか?」



 、、、熊谷の存在を完全に忘れていた。てか、なぜ敬語?



 気にはなったが、たしかにもう背負っている必要もないので腰を落として熊谷を下ろしてやる。すると熊谷は「へ、、へへっ」と笑うとそそくさと降りていった。



 、、、なんか、キャラ変わってないか?コイツ。



 笑い方が物語の序盤でやられて仲間になる三下キャラみたいだ。



「お前、そんなキャラだったか?」



「、、、、それ、渋谷くんだけには言われたくない」



 俺の問いかけにスンッと無表情になった熊谷はジト目で俺を見ながらそう言ってきた。



「し、、渋谷くん!大変!!血が、、、」



 熊谷とそんな会話をしていると呆けていた先生がハッとしたように慌てて駆け寄って来る。



「ん?、、、ああ」



 そういえば、怪我してたな。アドレナリンがドバドバ出てるのかいつのまにやら痛みを感じなくなっていた。



 うわー、、エグい事になってるなぁ。



 どこか他人事でそんな事を考えていると先生が目の前でジタバタと暴れ出したので俺は一瞬怪訝な表情を浮かべたがすぐに得心がいった。どうやら自分の袖をちぎろうとしているがうまくいかないらしい。ドラマなんかでよく見かける行為だが、実際にはあんな簡単に洋服を千切れないもんな。



 俺はそう考えつつ苦笑いを浮かべ口を開く。



「大丈夫ですから。少し離れていてもらえますか?」



「でもすぐに手当しないと!!血が、、!!」



 先生が引き下がる様子を見せないので俺はニッコリと笑って言葉を続ける。



「はい、見ての通り手当が必要ですぐに始めたいので離れていてください。治療する時に信用できない人間がそばにいると邪魔なので」



「、、、ッ!!!」



 俺の言葉を聞いた先生は一瞬で顔を強張らせ、すぐに泣きそうな表情になると唇を噛んで俯いてしまう。チラリと他の面々に目を向けると仁千佳達も同様に皆俯いている。



 、、、今、先生が心から俺を心配して手当しようとしてくれた事は理解している。なので若干心が痛むが、、ここはしっかりと楔を打っておいた方がいいだろう。



 別に、追い出された事を怒っているわけでもない。盛島に便乗して自分から出ていったようなものだしな。、、だが怒っていないからと言って信用しているわけではない。正直、あの一件で俺の中でのコイツらに対する信用は完全に地に落ちた。



 流石に当時はイライラさせられたが、あの状況で俺に疑いが向くのは仕方がないと理解している。追い出されたことも、明確な殺意や害悪を持って行われた訳ではないだろう。



 ただその場の感情に任せて短絡的に行動しただけ。いわゆる後になって問題が発生してから″まさかこんな事になるとは思わなかった″なんてお決まりのセリフが飛び出してくるパターンだ。だからさほど気にしていないし謝ってくるのなら素直に受け入れよう。



 だが、許す事と信頼を寄せる事は全く別問題だ。状況的にコイツらとは再び行動を共にしなければならない今、ただでさえ訳の分からない事態が立て続けに起きているのにこれ以上無駄に突っかかって来られたり、短絡的な行動で問題を起こされてはたまったものではない。



 先程、怪我を負いはしたが俺はオオカミ(仮)共を圧倒できたと言っていいだろう。



 そんな俺がこうして″お前らの事は信用していない″と態度で示す事で″さっきは気まぐれで助けてくれたが機嫌を損ねると見捨てられるかもしれない″くらいに思って大人しくなってくれれば理想的だ。



 多少心は痛むし店長のように力で人を支配するようで自己嫌悪に陥りそうになる。だが、命がかかっている状況でいつ起爆するか爆弾を手元に置くならこのくらいの安全措置は用意すべきだろう。



 見捨ててしまえばいい。



 一瞬、その考えが頭をよぎるが即座に首を振って否定する。



 たしかに、見捨ててしまうのが最善なのだろう。そうすれば、考えるのは熊谷と自分の身の安全だけでいい。実際、記憶を残せたところでコイツらがいても正直、さほど状況は変わらないだろう。



 でもあの時、俺は動いた。



 別に善人ぶるつもり等ないが結局のところ、そういう事だ。あいつらに、もうどうでもいいと見切りをつけ、頭では見捨てる事を最善としながらも結局俺はアイツらを見捨てる事を良しとしない、できない。



 、、、まぁとりあえず、今は止血だ。



 そこまで考えた俺は思考を切り替え、自らの服を適当に引きちぎると熊谷に声をかける。



「ちょいと熊谷さんや、止血してくれんかね?」



 俺がそう口にしながらちぎった服を差し出すと熊谷は驚いた表情を浮かべる。



「、、、、私で、、いいの?」



「、、、なにが?」



 俺が浮かんだ疑問をそのまま投げかけると熊谷は先生達の方に視線を向け一瞬躊躇うような素振りを見せるが「、、、わかった」と答えると止血を始めてくれた。



 止血を受けている最中、これからどうしたものかと考えを巡らせていた俺は仁千佳がこちらに複雑そうな、痛みに耐える様な表情を向けている事に気がつかないのであった。



 ーーーーーーーーーーーーーー



「さて」



 止血を終えた俺はそう話を切り出した。ここに来るまでの流れ、熊谷の能力の事、その熊谷の能力で先生達にも記憶を残せる可能性がある為行動を共にする必要がある事を全て話した。



 当然、簡単に信じられ、、、



「、、、そう。にわかには信じられない話だけれど、たしかに有り得ない話ではないわね、、、」



 先生が険しい表情でそう呟く。



 あ、、あれ?はじめこそ驚いていたが、なんだか思ったよりあっさり受け入れられたな?ま、、まぁ謎の声とか変な生き物とか既にありえない様な事がたくさん起きているんだし、よくよく考えれば俺も″夢″の事があったとはいえ比較的あっさりと受け入れたんだった。



 、、、″慣れ″って恐ろしいなぁ。



 そんな事を考えていると突然辺り一体に影が差した。



 何事かと思い空を見上げて、絶句する。



「、、、、、、、、、」



 ーーーそこには、真紅の竜がいた。







ここまでお読み頂きありがとうございます。


感想、ご指摘などございましたらコメントしていただけると喜びます。


次回辺りから一気に物語が進展します。


〜補足〜


先生達が随分とあっさり主人公の話を飲み込みましたがこれは完全に信じたわけではありません。

「まさかそんな、、」と思いつつも得体の知れない事態に巻き込まれていることも事実であり、また主人公に対する後めたさから疑問を挟む事ができなかった形になります。

内心では困惑混じりの半信半疑、疑の方が少し勝ってる感じです。

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