表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脱走聖女と幼なじみの騎士  作者: もりの
78/92

戦場の河原(2)

味方側が矢を放つが、敵方の盾にはじかれ、敵の進行は止められない。

更には間隔をあけて、盾の隊列が2列目、3列目と川の水に入り始めた。

1列目はゆっくりと慎重に歩みを進めていた。盾の隙間から除く敵の足元を見ると、川の水は敵の脛の半分ほどの深さだった。


 そこへ、何としても渡河を阻止しようと、ユーゴが単騎で川岸の水際まで進み出てきた。

待ち構えていたのか、対岸から強弓の矢がユーゴを狙い飛んできた。

「ユーゴ!」離れているところから様子を見ていたルナの喉がヒュっと鳴った。

しかし、馬上のユーゴは、鮮やかな剣さばきで飛んできた矢をなぎ払ったり、避けたりした。


「ユーゴ様、すごい。」

トムがルナの横で思わずといった様子で呟いた。


そして、ユーゴの動きが止まると、急に右手の辺りが光輝き、次の瞬間ユーゴの右手には聖剣が出現していた。

そして、次に聖剣が光輝くと、敵方の隊列の1列目と2列目の兵士たちが

「うわっ!?」「ぎゃ!」などと叫びながら、次々と盾を川面に落としていった。


河原には取り落とされた盾が水面に落下する音、川底の石に当たる音などが大きく響いた。

敵兵たちは揃って、両手をだらりと下げ、恐怖にかられた顔をしている。そしてすぐさま、一目散にバシャバシャと水音を立てながら対岸へと戻っていった。


味方側の弓矢の射手は、ユーゴが聖剣の力を使うことをわかっていたのか、敵兵が盾を取り落としたところを狙い、対岸へと戻ろうとするところへ、矢を放っていった。


「よし!」またルナの隣にいるトムが呟き、握りこぶしを握った。


『武器を持つものは誰一人ここを通さない!!』

大陸共通語でユーゴが馬上から雄々しく敵方へ言い放った。


『それは、どうかな!?』

敵方の将なのか、同じく大陸共通語で返してきたものがいた。


すると、水際に木の板の長い連なりが出現した。隊形は盾の隊列と同じだったが、前方の長い板は、縄がくくりつけてあり、上方の板は人一人が隠れる分の大きさの板が動いていた。

その板の隊列が再びゆっくりと川を横切り始める。


ユーゴは再び、聖剣を構え光らせた。

しかし、今度は板は水面に落下しなかった。ゆっくりではあるが歩みも止まらず、バシャバシャと水音を立てながら川を渡ってくる。


どうやら、敵は今までの小競り合いでユーゴが聖剣を使用したときの経験を元に、手がしびれても盾となるものを取り落とさないよう対策を立てきたらしかった。


板に隠れて見えないが、縄で肩などに板を括り付けて3人か4人一組で向かってきているようだった。

その間にも強弓の矢は、数は多くはないが間断なくユーゴに降り注いできていた。


敵は、ユーゴさえ攻略できれば一気に川を渡る作戦なのか、対岸に騎馬が何十騎と、弓矢隊が立ち並んできていた。


トムは「くそっ、本隊はまだか!?」と林道方向を振り返ったが、その気配はなかった。

ついにユーゴが矢をよけきれず、左肩を矢がかすめ、ユーゴは落馬してしまう。


「ユーゴ!」

ルナは木立の中から走り出し、河原へ一気に駆け下っていった。

「ルナ様!」

トムは口の中だけで、短く叫び、すぐにルナの後を追った。

しかし、とたんに矢がトムとルナの方へ飛んできた。

見ると板の隊列の後ろに、また盾の隊列ができ、川の中心まで進んできていて、盾の隙間から矢が放たれていた。そして味方の隊にも矢が降り注ぎ始めていた。


その間にも、ルナはユーゴしか目に入らないのか、矢にひるむことなく、真っすぐユーゴに向かって駆けていった。


落馬したユーゴはなんとか立ち上がり、足を引きずりながらも矢を避けていた。

そして自分の方に駆けてくるルナに気がついた。

「ルナ!? 来るな!!」

ユーゴは必死に叫んだが、ルナの足は止まらなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ