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脱走聖女と幼なじみの騎士  作者: もりの
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検討

 次の日に、ダフネはジョセフに今までジョセフの病について調べたこと、まとめたことを話してみた。


「ジョセフ様に似た症状の報告は、少数ではありますが、他の国でも報告があるようです。」


「ダフネ、『ジョセフ』でいいから。」

「はい、ジョセフ…?…」


「うん。けれども、すべて原因不明とされてきているだろう?」

ジョセフの言葉に、ダフネは〝やはり…。〟と思った。

ジョセフはとっくに自分の病について調べてきていたのだった。


「ええ、流行り病の類ではもちろんないですし、体内に生じることがあるできものとも関連はない、風土や食物にも関係はなさそう…。」


「ああ、この病については、まずそこで止まってしまうんだよね。」


「そうなんです…。」

ダフネは小さくため息を一つついた。


「待って。今、僕たちは〝症状〟と言っているのは、筋力の低下だけを指していないか?

確かに筋力の低下は非常に特徴的な症状ではある。だが、他に検討すべき症状はないのか?」

ジョセフが顎に手をあて、考えながら言った。


「確かにそうね…。他の症状と言えば、強い倦怠感、食欲不振…。」

「倦怠感は、自覚症状だから、記録としては残りにくいかもしれない。

それを言うなら、体重減少や、痩せ…。他には?」


「発熱は?」

「確かに、僕は以前から度々熱を出していたことはあったな…。」


「ありがとう、ジョセフ! 発熱や体重減少で、資料をさらい直してみるわ!」

ダフネは明るい笑顔で言った。

「うん、よろしく頼む。」

『ジョセフ』と親しげに呼ばれ、満足した男も微笑みながら言った。




 食堂でジョセフを交えて朝食を取るようになってからすぐに、ダフネも一緒に食卓を囲むようになっていた。

皆が食べ終わる頃、ダフネは皆に言った。

「ジョセフ様の病について、みんなで検討会をしたいの。お時間をいただけませんか?」

その場にいた、ノアは、〝みんなと言うのは自分も入るのだろうか?〟と目を輝かせた。


「ノア様、ごめんなさい。今回は大人だけで…。」

ダフネがノアに言った。

「はい、そうですよね。僕はお先に失礼します…。」

ノアはそう言い、席を立ちドアの方へ歩き出した。


ルナは、「ノア、待って。」と、少し寂しそうなノアの背中に声をかけた。

そして、ノアに近づいて、彼を振り向かせ、両手を握り言った。

「ノア…、今あなたは成長している真っ最中よ。私たちがあなたの力を必要とするときは必ずあるからね。」

ノアは、ニコリと笑い返した。

「はい、ルナ姉さま。」


ノアが退出した後、ダフネがユーゴに聞いた。

「ユーゴ、もしよければ、今からでも大丈夫?」

「ああ、今日は騎士団の訓練がない日だから大丈夫だ。」


「では、私の部屋で話をしようか?」

と、ジョセフが提案をした。

ルナとユーゴは、ジョセフの、前向きに自分の病について検討しようという、今までにない姿勢に驚いた。


 ジョセフの部屋で、人払いをして四人だけになると、ダフネが口火をきった。

「ジョセフ様にもヒントをいただいて、筋力低下だけではなく発熱や体重減少にも着目して、過去の症例を洗い出してみました。

そのような症状を呈した症例は、やはり一定数存在していました。ただ、他に随伴している症状が多彩で…。

関節症状、皮膚症状、粘膜症状、心臓や肺に問題が起きてくるもの、などがあって、かえってまとめづらくなった印象があります。」

「…逆に言えば、全身に問題が起きて、様々な症状を呈する、原因不明の病の一群がある、ということか…?」

ジョセフがつぶやいた。


「発熱というのは、体の中で火事が起きているというサインでもあるから、体中で火事が起きている…ということなんだろうな…。」

ユーゴもつぶやいた。


「なるほど、体中の火事を治める、ということを主眼に薬を考えてみるというのも、手ではるわね…。」

ダフネもつぶやいた。


「でも、そんな薬草は既存のものでは聞いたことがないわ…。」

ルナが言った。


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