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脱走聖女と幼なじみの騎士  作者: もりの
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再会

執事の差配により、ティールームは、ノアの鍛錬部屋へと一気に模様替えされた。かつて辺境伯家の自慢だった高級なソファやサイドテーブルなどの家具、花瓶、絵画などは、どこかへ移動された。

そして、がらんと広くなった部屋の床に、怪我をしないようにと絨毯が3枚重ねでひかれた。


かつて近隣の貴婦人たちの優雅な社交場となっていたティールームの変貌を見て、マージは自分の思い付きながら驚いた。

そして、歴代の辺境伯家の亡き女主人たちに、心の中で詫びた。


しかし、鍛錬部屋を初めて足を踏み入れたときの、明るく輝くノアの顔を見て、〝これでよかったのだ〟と、マージは自分に言い聞かせた。


「ロイ、昨日と一昨日のおさらいをしよう!」

「はい、ノア様!」

ノアはすっかりロイと仲良くなり、軽口をたたきあえるような関係になっていた。


ユーゴという少し怖い師匠がいないときは、ときに笑い声を立てながら、練習に励む少年二人を、執事もうれしそうに見つめていた。


〝よかった。やっぱり友達の存在って、大きいのよね…。〟

ルナは、すっかり年頃の少年らしさを取り戻したようなノアの様子にほっと一息ついた。



そして、ようやくルナが待ちかねていたダフネが城に到着した。


ダフネが到着したと聞き、はやる気持ちが抑えきれずに、ルナは玄関ホールまで駆け下りていった。


「ダフネ!」「ルナ!」

久しぶりの再会に、二人は抱き合った。

「よく来てくれたわ。無理を言ってごめんなさい。」と言うルナに、ダフネはいろいろな思いに胸が詰まり、「とんでもないわ。」とだけ、こぼれそうな涙を我慢して返した。


ルナの部屋で、落ちついたルナとダフネのところにユーゴも駆けつけてくれた。


「ダフネ、巻き込んでしまって、すまない…。」

ユーゴがダフネに頭を下げた。


「もう!ユーゴもルナも謝るのは、なしね。お互い様だし、私たちは友達でしょ?」


「そうだな。」「そうね。」

三人は微笑みあった。


「それで、私はユーゴのお兄さんを診ればいいのね…?」

「ああ、頼む。」



ルナは、最初にユーゴと共にジョセフの元を訪ねてから、辺境領の風土や植物、薬草について学ぶために、資料や本を紹介してもらい、それを読み、ジョセフに質問する…という名目で二、三日に一度はマージを伴い、ジョセフを訪ねていた。


そして、毎回何かしらの、癒しの力を込めた食べ物を持参した。


そのかいあってか、次第にジョセフの食欲や体力も戻ってきていて、最近では、部屋着姿ではあるが、寝室の手前の居室で、ソファに座り、ルナを出迎えてくれるようになっていた。

しかし、相変わらずルナとの会話の中では、ジョセフは自分の病や症状については、一切触れることはなかった。



「難しそうな病だけれど、最善をつくすわ…。」

ジョセフの経過と現状を聞き、ダフネは言った。


「ダフネ、それはそうと、ブイエ村の様子はどうなの?」

「おかげ様で、もう皆の中毒症状は収まったわ。辺境騎士団の2人も、とてもよく働いてくれて、ありがたかったわ。」


「あの、ダフネ、ガスパールはあの後中央神殿に帰ったの?」

ルナが少しためらいながら、ダフネに聞いた。


「ああ?ガスパール? 結論から言うと、今ブイエ村にいるわよ。」

「え!?」ルナは一瞬耳を疑った。


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