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脱走聖女と幼なじみの騎士  作者: もりの
39/92

休息

「ルナ、休もうか? いろいろあって疲れただろう?

おそらく、城まではまだまだ時間がかかるから。」

ユーゴはそう言って、ルナのすぐ隣に移動してきた。


「俺の肩に、寄りかかれ…。」

ユーゴはルナの頭に手を添え、自分の肩の方に寄せてきた。


ルナは、横にユーゴの体温を感じた途端、眠気におそわれた。

〝まだ聞きたいことがあったのに…。〟

そう思いながら、ルナは眠りに落ちていった。


「ルナ、ルナ…。」

ユーゴが呼びかける声で、ルナは目を覚ました。

深く眠っていたようで、一瞬どこにいるのかがわからなかった。


「もうすぐ城につくぞ。」

ルナが馬車の窓から外を見てみると、朝焼けの空を背に灰色の城壁が目に飛び込んできた。

見慣れていた白い大理石からできていた優美な神殿の構造とは違い、辺境伯の城は、敵兵と戦う拠点となるよう作られた堅固な様相を示していた。


「わぁ~!」とルナが歓声を上げている間に、馬車と前後を守る騎馬は城門の中に入っていった。


 そして、城の正面玄関の前で馬車が止まり、ユーゴとルナをエスコートし、馬車を降りると、城の使用人たちが、ずらっと並んでいた。


中央にいる壮年の男性が進み出て言った。

「お帰りなさいませ、ユーゴ様。

ようこそおいでくださいました、お嬢様。」


ユーゴにとっては、自分の家というべき場所だったが、神殿に入る前の5歳までの記憶など、数えるほどしかなかった。

「よろしく頼む。」

と、ユーゴはさらっと返した。

「私は、お嬢様の担当の侍女となります、マージと申します。

お嬢様、お疲れでございましょう。お部屋にご案内いたしますので、ご休憩と身支度をいたしましょう。」


ルナがユーゴの顔を見ると、ユーゴは軽く頷いたので、ルナはマージと名乗る中年の女性についていった。


 案内された部屋は、2階にある客室と思われる部屋だった。装飾は華美ではなく、落ち着いた雰囲気で、家具は上質なものが揃えられていた。


「お嬢様、まずは湯浴みをいたしましょう。その方が、お疲れが取れると思いますよ。」

寝室の横にある入浴室の浴槽には、既にお湯が満たされていた。


着替えや入浴を手伝おうとするマージに「一人でできますから。」と言って、ルナはお湯に浸かった。


「久しぶり~~、気持ちいい~~。」

入浴は、町の食堂を出て以来だった。


入浴を済ませると、パーテーション越しに、ルナは浴槽のそばに用意されてある寝間着を着るように言われた。

「ご領主様にご挨拶するのではなかったのかしら?」

ルナがマーゴに聞くと、

「ご領主様は、お会いするのは午後でよい、と。それまで、十分休むように、とおしゃっています。」


「まあ、そこまでのご配慮を…。」

ルナは、寝間着に着替えた後、マージに勧められてスープをいただき、寝台で休んだ。

ふかふかで広いベッドは、神殿を出て以来だった。


短時間で深く眠ることができたのか、ルナは昼頃に自然に目を覚ました。


ベッドの端に腰をかけ、ルナはぼんやりと村と友達のことを思っていた。

〝村の人たちは回復したかしら? ダフネは大丈夫かしら? ガスパールも大丈夫かしら?〟


ルナにとっては、自分の追手になろうと、ガスパールは変わらず大切な、幼馴染の友達だった。自分は逃げることをあきらめる気はないが、それでもガスパールは、今回ルナを取り逃がすことになってしまったので、ガスパールの減点にならなければいいけど…と、ルナは思っていた。


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