第15話 引き金
【残り人数 20名】
左目を抑え、改めて残り人数を確認する。
もうすぐこの数字が一人減る。もしかしたら、二人減るかもしれない。
そんなありえない未来にかぶりを振って、前者の道へと突き進む。
そろそろ、この荒ぶる海を鎮めようか。
「終わらせようか、『管理者』」
一呼吸置いた後、ドーム状に張られたバリアの上から力を抜いて飛び降りる。
そして前宙で体制を整え、海面すれすれに出現させた【締結】の地面へと着地する。
そろそろ魔力が心許ない。できるだけ魔法の多用は避けたいところだが、そう思い通りに行く相手ではないだろう。
早期決着を胸に、俺は刀を抜いた。
「さんざんお前の有利なフィールドで戦ったんだ。今度は俺の番だろ」
「……何が言いたい?」
「こういうことだ!!」
脚力を強化し、一直線に海原へと接近する。
当然海原は海中に潜って回避し、海上には【締結】で繋げた足場へと戻った俺一人だけが取り残される。
ここまではさっきと同じ。ジリ貧前提長期戦覚悟の糞シナリオだ。そんなもの、誰も満足するはずがない。しかしそれが奴の能力の強みであることも事実。
なら、こっちの能力の強みで相手をしようじゃないか。
この、最強の応用力で。
「【燃えよ――火炎】」
しょぼい魔力量に低い魔法適正も相まって、本来の威力とは似ても似つかないほど弱い炎が、人差し指の先に現れる。
海風に揺られて今にも消えてしまいそうなほど頼りない炎だが、海原にとっては、まさに地獄の業火と同義なものになるだろう。
【火炎】を海に浸し、音もなく消えた炎によって成されるべき状況。願った絵の中の餅を、俺の能力で現実へと引っ張り出す。
【海水の温度18℃→99℃】
異世界の海は元の世界と比べて冷たく、更には海原がしきりに海を動かすせいで、海水の温度は常に9℃を下回っていた。
それを、俺は少ない魔力を使った炎で強制的に引き上げたのだ。
一度温度を変えて、2桁の数字にしてしまえば、後はどうにでもなる。今やここ周辺の海は、100℃近い熱湯の張った風呂釜のようなものだ。
さて、もうお前を守ってくれる海はどこにもないぜ? 海原。
「ぐぁああぁああぁあああああああ!!!」
予想通り、雄叫びを上げながら海上へと飛び上がった海原が、苦しそうに自身の身体についた熱湯を払いのけている。
「何をした!! キョウト!!!」
「言ったろ、今度は俺の有利なフィールドで戦ってもらうぜ」
奴はこれまで通り、自身の身体を水で隠そうとするが、完全には覆い切れていない。
99℃の熱湯に包まれるのは、耐えがたい苦痛だろう。
さらには能力により生み出された熱湯なので、決して冷める事は無い。俺が能力を解除しない限り、いつでも保温バッチリな熱湯風呂が海原を包むのだ。
この熱湯の温度を下げるには、離れた場所から海水を持って来るしかないが、海原の操れる海は奴を中心にせいぜい半径50mと言ったところか。それくらいなら、問題なく俺の能力で包み込める。奴がどれだけ移動しようと、悉くを沸騰させてやる。
奴の命を、捉えるために。
「もらった!!」
「しまっ――ぐはっ!」
海水の隙間から覗いた海原の身体へと、殺意を込めて霧断ちを振るう。
その刃は確かに海原の脇腹を捉えたが、手応えからして、大したダメージにはなっていないだろう。
俺は一旦距離を置き、ぐつぐつの煮だった海の上で流れる汗を拭いながら、次の手を考える。
「どんな能力を使ったのかは知らないけど、こんなに危険な海は初めてだよ! なんせ沸騰してるんだからね!!」
「そりゃあ光栄だ。存分に楽しんでってくれ」
「……でも、今ので察したよ。辛いのは君も同じだ」
(……あぁ、やっぱ気付かれるよな)
現状変わったことは、海の温度が99℃になったということだけだ。
海原の能力は相変わらず海を自在に操るので、奴の能力は今、攻撃力を増した状態と言ってもいいだろう。
もしそれを恐れて海の熱湯状態を解除しようものなら、また奴は海へと逃げ込んでしまう。
俺の少ない魔力じゃ、初歩的な魔法である【火炎】の魔力消費も無視できない。
霧魔法以外で一番適性のある炎魔法でこれなのだから、魔法の適性の無さにおいちゃ俺の右に出る者はいないだろう。
そんなわけで、少ない魔力で状況を切り抜けるには、やはり己の身を信じるのみ。
あとは――機転と応用力だ。
「うまく近づけないだろう? 見たところ君に大した飛び道具はない。そんな君が俺を仕留めるのと、あの船を覆うバリアが消えるのは、果たしてどっちが早いかな?」
海原は防護魔法に時間制限があることを見抜いているようだ。今まで使わなかったものが危機的状況で現れたのだから、考察材料としては十分か。
しかしそれを差し引いても、こいつには魔法とはどういったものかという知識がある。
どこで学んだのか、できれば情報を吐かせたかったが、そんな余裕はなさそうだ。
「お前の言う通りだよ、海原。でもな、そんな弱点、俺が放っておくと思うか? 自分が作った状況で追い詰められるような真似はしねえよ」
「っ……まだ何かあるのか!」
もし海原に近づくと、文字通り火傷する。
遠くから攻撃しようにも、俺に魔法の才はない。
なら、やることは一つだ。
【霧断ちの全長110cm→199cm】
9mにする以外にも、霧断ちはこうやって間合いを伸ばすことはできる。
そして刃長や柄の長さを細かくいじることで、その形ごと姿を変えた。
刀の全長と部分ごとの距離は別のくくりのようで、今やその全長は、2mを優に超えている。
その見た目は、まごうことなく……
「霧断ち――薙刀形態。なんてな」
長い柄を両手で握り、穂先を海面に向けるようにして構える。
「そういうのも使えるのか君は! 前世で一体何してたんだよ!?」
「善良な高校生だよ」
善良な高校生だから、薙刀の使い方なんか知らない。
そもそも、使い方など知っていても今は役に立たないだろう。あれは全て地上での戦闘が前提のものだ。海の上で戦う以上、脚の運びや姿勢なんて意識できるはずもない。ただ振り被ってぶった切るだけの凶器なんだよ薙刀形態は。
それでも、大体の武器はレナに稽古をつけてもらったので、長物の扱いはそれなりにある。相手を威嚇するように薙刀を回しながら、俺は攻撃を始めた。
あれだけ近づきづらかった熱湯の壁も、今の霧断ちなら問題なく立ち回れる。
1m、その間合いの違いが、戦闘では天と地ほどの差になる。
「焦れよ海原、窮地だぜ?」
「っ……クッソ!!」
海原はもはやなりふり構わず、自身の周囲に海水を纏う。
そしてそれを弾丸のように俺へと飛ばし、間合いを詰められまいとしている。
「火傷上等の覚悟は買った。だが、相手を選ぶんだな!」
豪雨のように襲いかかる熱湯を掻い潜りながら、海原の真正面へと躍り出る。
「その程度じゃ、俺は止められねえよ」
そして勢いのまま回転し、霧断ちを海水に覆われた海原へと振り降ろす。
「あああああああああ!!!」
硬い何かを切断した感触と共に、海原の纏っていた海水が赤く染まる。
すかさず追撃を入れようとするが、その海水が弾けるように霧散し、熱湯のシャワーが眼前に迫る。
【熱湯との距離1m→9m】
すぐに能力で距離をとったが、完全な回避とまでは至らない。
「あっつ!!」
飛沫でさえ思わず声を上げるほどの高温なのだ。至近距離で、それも全身にこの熱湯を浴びた海原は今、どれほどのダメージを受けているのだろう。
そして確かに感じたあの手応え……
「ぐっ……あが……ぁあぁぁああ!」
改めて海原を見ると、奴は左腕を抑えてうずくまっている。
いや、抑えるべき左腕は、肘から先が途切れていた。
「やっ……てくれたなぁ! キョウト・ホワイトォォオオオ!!!」
海原が顔を上げ、俺を睨みつける。
そのやけどまみれの顔は苦痛に苛まれており、切り落とされた左腕から大量の血を垂れ流しながら、俺への敵意を叫ぶ。
「まだだ……まだ俺は負けない!! お前を……この窮地を乗り越えて! 俺は!! 元の世界へ帰る!! 俺の愛した、あの海に!!!」
喉にまで熱湯を浴びたのか、嗄れた声で、海原は自身を奮い立たせる。
その様子に、俺は内心恐怖していた。その勇気に、まだ足掻こうとする雄々しき意志に。
だが、もっと別の恐怖が、俺の心を塗り替えていく。
人間が見せる死に際の覚悟を、血にまみれた男の最期になるかもしれない光景を、俺は……殺す側の人間として見て、何も感じないことに恐怖している。
人殺しはもはや、俺の中では罪足りえないのだ。
そんな己への恐怖と共に、確かな安堵が混じっていた。
海原を殺す。それに異を唱える者が俺の中にいないことに、心底安堵していた。
「なら還してやるよ。お前の眠るべき場所に」
霧断ちから滴る血と海水を払いのけ、海原へと突きつける。
いらないものは捨てた。後は進むだけだ。
倫理という補助輪を外して、前に。ただ前に。
「俺に応えろ!! 『大海賊』ッ!!」
海が揺れ、波が形を変える。
蒸気を上らせながら吹き上がるいくつもの水柱の形は、空を翔る龍のようで、渦を巻きながら舞い上がる。
その竜巻は大きさを増し、見上げるほどの大質量が、船の方向へと接近する。
周囲の水位を削り取りながら進むそれは、まさに災害。人類には太刀打ちできない自然の驚異を感じさせる。
蒸気を巻き上げながら進む大竜巻から距離を取り、ドーム状のバリアへと再び着地する。
そして霧断ちを元に戻し、鞘にしまう。
「レインさん、あれ防げそうか?」
「ぜ、ぜぜぜぜぜぜ絶対無理です! あんなの、もうどうしようもありませんんんんん!!」
「だろうな、一応聞いてみただけだ」
「なんでそんな呑気なんですか!?」
さすがにもう海原に長期戦はできないだろう。そう思い至り、海水の熱湯状態は解除した。
しかしあの大竜巻が相手では、もはや純粋な戦闘で勝つのは無理か。
どう見ても半径50mの範囲を超えている。恐らくはなんらかの魔法との合わせ技なのだろう。
奴に魔法の心得があるのは知っている。ずっと海の中の海水を能力で掻き分け、【飛行】で飛んでいたのだから。
【飛行】の魔力消費は決して少なくないはずだ。それをぶっ続けで使っているとなると、奴の魔力量の高さが伺える。
そんな海原が全身全霊をかけた一撃が、あの大竜巻なのだ。
ならばこちらも、使える手札を全て切ろうじゃないか。
最も、使うのは俺じゃないんだけどな。
「そんじゃ、いけるか? レオ」
「誰に聞いてるんだい? さっきポーションを飲んだからね、今頃効いてきたよ」
魔力回復ポーションに即効性はない。30分ほど時間をかけて、じわじわと魔力の回復を早めていくような代物だ。
急な戦闘には弱いが、その分の時間が稼げるなら話は別だ。
「どれくらい貯まった?」
「半分、ってところかな」
「なら大丈夫だな。跳べ!」
「あぁ!」
俺の声を受け、レオがバリアへと跳躍する。
【レオと魔法との距離2m→9m】
「っとと、瞬間移動ってこんな感じなんだね……なんか不思議」
【レオの魔力量43%→99%】
「おぉ……ありがとう、キョウト。僕がバフを貰ったのは初めてだよ」
「これからぶっ倒れてもらうんだ。当然だろ?」
「はっ、全く……」
軽口を交わしながらも、俺たちは目の前の大竜巻から目線を反らさない。
今から俺たちがやろうとしていることは単純明快。されど大海撈針。
「辺り一帯の海、全部吹き飛ばしちまえ! レオ!!」
隣の魔法使いは、静かに笑った。
「【風よ、轟け……三千世界に至るまで。狂い咲け――風災禍】」
レオの手から離れたバレーボールほどの風の弾は、大竜巻に向かって真っすぐ飛んでいく。
そして接触するかといったところで、その小さな弾は、秘めた嵐を解き放つ。
「っ! 初めて見たけど、とんでもねぇなこれ……!」
風の球体が、渦巻くように大きさを増していく。
その暴風に吸収されていくように、海水を纏った竜巻が削り取られていく。
天災と天災のぶつかり合い。神話の如きその光景に、俺の口は開いたままだ。
これが、レオの切り札である大魔法、【風災禍】。
この魔法の威力は、発動時に消費した威力に比例し、ここまでの規模となると、レオは魔力切れ寸前まで魔力をつぎ込んだようだ。
応用に優れ、様々な種類のある風魔法の中でも、ここまの威力の高い魔法はそうそうないだろう。もしいつもの模擬戦で使おうものなら、学園ごと吹き飛ばしてしまいかねない。街なんかでも使用御法度な破壊力を持った魔法だ。
この魔法を要とした作戦こそ、海を吹き飛ばし、奴の能力そのものを使用不可にするという物だ。
海中に潜って逃げ回る海原への対策として考えたのが、俺とレオ共にこの魔法だった。まさかこんな大竜巻と競り合うことになるとは思わなかったが、流石はレオ最大の切り札といったところか。
渦巻く暴風の勢いは凄まじいものだ。それでも、まだ海原の意志は潰えなかった。
「俺は……ッ! 終われねぇんだよおおおおおおッ!!!!」
魂の底から引っ張り出したかのような枯れた声を響かせ、死地を突き抜けんとする海原。
確固たる信念が、自身の願いを貫こうとする戦士の姿が、そこにはあった。
その闘志に応えるかのように、海を巻き上げる竜巻は勢いを増す。
「そんな……! 馬鹿な!」
「うおおおああああああああああッ!!!」
【風災禍】と、大質量の大竜巻。
風と海の押し合いは、僅かに海原が上回った。
レオの放った大魔法は、生き永らえようとする闘志によって受けきられてしまったのだ。
「……すまない、キョウト。見くびったつもりは、無かったんだけどね」
「いや、十分だ」
天災対天災の攻防が周囲の環境に及ぼした影響は、決して小さいものではなかった。
竜巻の周囲には、もうあいつが潜れるほどの海水なんか残っちゃいない。レオの大魔法は、海原が操れるだけの海水を全て吹き飛ばしたのだ。
そして海水が再び満ちるまでの時間を、すぐさま能力で引き延ばす。
いくら引き延ばしたとはいえ、欠けた海が満ちるなんてのはわずかな時間。
しかし、海原の命に手をかけるには、十分すぎる時間だ。
【千変盤下】の残り時間的にも、この一撃であいつを終わらせる。
【レオのバフ 身体能力2.5倍→9.9倍】
【100m走→999m走】
「行くぜッ!!!」
マッハ2相当の脚力で、勢いの落ちた海水の竜巻の中心部へと跳躍する。
瞬きすら間に合わない速度ではるか上空の竜巻に突っ込んだ俺は、渦の中心で息を切らしながら左腕を抑える海原を視界に捉える。
「なっ!? いつの間に!?」
「久しぶりだな海原!」
驚愕に目を見開いた海原が回避しようとするが、間に合うはずもない。
今の俺からは、音でさえ逃げられないのだから。
「墜ちろォォオオオ!!!」
「――ッ!!!」
空中に出現させた足場を蹴って突き出した拳は、海原の身体に当たることなく空を切る。
しかし海原は、全身から血を吹き出しながら海底のむき出しになった海へと落ちていく。
物体が音速を超えた時に発生する、超爆音の衝撃波、ソニックブーム。
強固な戦闘機の機体すらもバラバラに分解してしまう音速の代償を、海原は直に受けた。
『管理者』に許された俺だけの生存権。それを持たない人間が音速の壁を突き破ったらどうなるかなんて、想像しなくても理解できる。
しかし、それはあくまで普通の人間の話。
海原は咄嗟に魔力を集中させて身を守ったのか、海底に衝突する寸前に【飛行】で身体を減速させた。
「……」
しかし、海原はそこから動かない。
左目を覆ってみても、まだ人数に変動はなかった。
(……何を、された?)
自身の能力と、周囲に巨大な水流を発生させる魔法、【渦巻】の合わせ技でも、足りなかった。
いや、違う。威力は負けていなかった。あの暴風は確かに静まった。
なら、俺は何故負けている?
(体が動かない……)
魔力切れ、いや、肉体的にもダメだ。
俺は、死ぬんだ。
「あれだけやって、まだ生きてるんだな」
「……っ」
気が付くと、目の前でキョウト・ホワイトが俺を見下ろしていた。
魔力の流れは感じなかった。【飛行】ではないとすれば、何故こいつは音もなく降りてこられるのだろう。
いや、わかっている。それがこいつの能力に起因するものだってことくらい。
俺はもう、考えることにすら疲れているんだ。何故という疑問すら、放っておくほどに。
「『まだ死ぬな』」
不思議とは立て続けに起こるもので、その声を聞いた瞬間、俺の身体から痛みが引いて行くのがわかる。
少しだけ、死が遠ざかるような感覚だ。
「『俺との会話以外、何もするな』」
「……ああ」
意志とは関係なく、言葉が出る。
能力も、魔法も、身体を動かすことさえ、できない。
俺は何故その言葉に従ってしまうのか、どのようにして俺は負けたのか、その一切がわからない。人とは未知を恐れる生き物だ。未知を未知のまま終わらせたくないと、人は恐怖故に思うのだ。
だから俺は、この男が心底恐ろしい。
「まずは場所を変えようか。【締結】」
俺の身体を片手で持ち上げたキョウトが、出現した霧の渦に飛び乗る。
その瞬間、海の水位が元通りになり、若干波の荒い普通の海になった。
俺の見ているこの光景は、果たして現実なのだろうかと疑いたくなってしまう。俺は一体、何に挑んでしまったのだろう。
「『俺の質問に答えろ、なぜ、俺から逃げなかった? お前の能力なら、あの竜巻の最中でも逃げられたはずだ』」
逃げなかった……か。
「……そういう、命令だから。『喰雲』は必ず殺せと、主に命じられたから」
「主……?」
俺だって逃げたかった。水の上を走って、ソニックブームを撒き散らす化け物なんて、誰も相手したくないに決まってる。さらに、船の中にはこいつの仲間が何人もいる。全員かなりの実力者だ。
それでも俺は逃げられなかった。この身に刻まれた命令が、そうさせてくれなかった。
「『そいつは誰だ、知っていることを全て話せ』」
「――いや、それはできない」
「……何?」
俺の口から、初めて拒絶の言葉が出た。
どうやら、キョウトの言葉よりも、アイツの命令の方が優先されるらしい。
「そうか、そうだな。大体理解した。……ちっ、厄介なことになったな」
キョウトは一つ舌打ちをし、切り替えるようにため息をつく。
「なら、質問を変えよう。『お前の仲間のことを教えろ』」
「言えない」
「……『お前の知っている喰雲についての情報を教えろ』」
「言えない」
「……そうか、面倒な」
「……なぁ、俺からも、聞いていいか」
俺を見下ろすキョウトの目は冷たく、恐ろしい。
それでも、どうしても気になることがある。
「お前の能力は、一体何なんだ? 身体能力も、瞬間移動も、味方のサポートまでやってのける。それに一瞬で海を地獄の釜に変えることのできる能力なんて、俺は知らない。何個も能力を持っているのか? そうじゃないと、説明がつかない」
冥途の土産とまでは言わないが、教えて欲しい。敗因がわからぬまま負けたんじゃ、向こうで俺を待っている笑流さんになんて言えばいいか。
「俺の能力は、数字を9にする能力だけだ」
「……数字を、9に?」
「身体能力を測定した数値も、攻撃との距離も、出現させた魔法の数も、全て9にする。それが俺の能力だ」
「はは……なんだよ……それ、意味わかんないよ…………」
あぁ、海の温度も、それで変えたのか。
「でたらめだな、お前の能力は」
「お前の海を操る能力だって、ここじゃ相当ずるいと思うぞ」
「……やっぱり、バレるよな。……わかりやすい能力だもんな」
こっちの世界に来て、数日経った頃。
歴史の教科書に載っているような、多くの千石船が停泊する異世界の海を初めて見た瞬間、この能力が発現した。
『大海賊』という言葉が頭に浮かび上がると同時に出現した俺のスマホには、海を操る能力の詳細が書かれており、この世界でも、海は俺を離してくれないらしいと思ったのを、よく覚えている。
そう説明したは良いものの、これは別に聞かれてなかったことか、と後から思った。
なんだ? 俺は、まだ話していたいのか? 声を出すのも辛いのに?
「しかしそれなら、今俺は何故お前の言葉に従っているんだ? 今すぐにでもお前を殺したいはずなのに、身体が動いちゃくれないんだ」
「お前を従わせているこの言葉は、俺の『契約者』の能力だ。言霊を操る能力なんだとよ。恐怖していない相手にしか聞かないけどな」
「『契約者』……あの船に乗っている、一番大きな魔力か?」
「一番大きなって……あの青髪の男は違うぞ?」
「違うさ、もっともっと大きな魔力が、船の中にいる。リヴァイアサンに化けている時に船の中に戻った、あの黒髪の子だ。俺は魔力の流れを感じるのが得意で、ずっと気になっていたんだ」
「……真奈が、一番大きい魔力?」
「あぁ、俺がこの世界に来てから、一番大きな魔力の流れを感じる」
あの弓矢使いの女の子もそれなりの魔力があったが、比べ物にならない。
桁外れの魔力は、『喰雲』に良く見られる特徴だ。
だから、俺は気になっている。
キョウト・ホワイト……こいつの魔力の流れは、何もかもがおかしい。その少なさもさることながら、やはり一番の謎は――
「――がはっ! げほっ! ごほっ!!」
その時、逃れられない死がすぐそこまで来ていることに気付く。
せり上がった赤黒い血が口から飛び散り、苦い鉄の味が口の中一杯に広がる。
「……そうか、もう……俺は、ここで終わるのか」
「聞きたいことはまだまだあるが……これ以上は無理そうだな」
「……」
あぁ、俺は、ここで死ぬのか。
あの時、飛び降りた時には無かった感情が、一度経験した死の感覚に混ざる。
この感情は…………
「…………ぁぁ、そ……っか」
俺は――悔しいんだ。
負けたから。あれほど俺を形作っていたあなたへの思いが、届かなかったから。
言葉通り死力を尽くしても、勝てなかったから。
「キョウト・ホワイト……最後に、聞かせてくれないか」
「……なんだ」
俺を倒したこの男にも、強い未練があるのだ。『契約者』がいるともなれば、なおさら負けられないだろう。
俺はどうも、心から悪にはなれないらしい。
自分を殺したこの戦士を、応援したくなってしまったのだから。
だから、せめてお前の旅に、少しだけ大事かもしれない問いをしよう。
「……あの弓使いの女の子とお前は、どういう関係なんだ?」
「……? エメラルドさんと、俺?」
「二人の、魔力の流れ方は、同じ……だ。まるで、血が繋がっているかの……ように」
「――は?」
リヴァイアサンに化けている時、同じ魔力の流れが二つあった。大きい魔力と小さい魔力に分かれていたから、てっきり分身でも使ったのかと思って、大きい方を狙ってみたら、どうも二つの魔力は別の人間だった。
こんな経験、この世界に来て一度もない。『喰雲』とこの世界の人間の魔力の流れが似るなんて、ありえないのだから。
「そんなはずない……だってエメラルドさんは、こっちの世界の人間なんだぞ?」
「……そぅ……なのか」
俺を見下ろすキョウトの顔がだんだんぼやけて、世界が回っていく。
……笑流さんも、こんな感じだったのかな。もしそうなら、俺は同じ光景を見れているのだろうか。なんだか……少しだけほっとした。
死ぬ瞬間って、怖くないものもあるんだな。
飛び降りるのは、どうもいい死に方じゃなかったみたいだ。
「おい! まだ話は終わってない! どう一緒なんだ! 俺とあの子の魔力の流れは、どう似ているんだ!! ――い、おい! 返事を――ろ――! ――!!」
だんだん、キョウトの声が聞こえなくなっていく。
その代わり、聞きなれた波の音だけが、俺の中に木霊する。
(……心地いい)
……えっと、俺、なにしてたんだっけ。
寝ようと、してたのかな。そうか、きっとそうだ。
どうせまた笑流さんに連れられて、疲れた身体を布団に預けてるんだ。
きっと明日も、あの人と一緒に遊ぶんだ。
だから、早く寝よう。早く寝て、早く明日になって、早く会いに行こう。
波に揺られた夜は、よく眠れるんだ。
「おや……す……み、笑流……さん」
眠りについた俺は、夢を見た。
どこまでも続く美しい砂浜を、二人並んで、手を取り合って歩く夢。
ずっとずっと忘れない。愛しい夢を――。
× × ×
「………………」
【残り人数 19名】
その数字が、海原の死を証明する。
正直、頭がパンクしそうだ。戦闘での疲れもあるが、その後に出て来た情報はどれも無視できない。
でも、まず分かったことが、俺の口から零れ落ちた。
「“えるさん”……それが、お前の未練か。海原」
骸は答えない。光の無い虚ろな目を落とし、ただそこに転がっている。
「……どうか、安らかに」
これで4人目。俺に死を悼む資格なんて無い。手にかけた人間に、何を贈るというのだ。
それでも、せめて祈らせてほしい。
恨むなら、恨んでくれ。呪ってくれたって良い。
それで、気が済むのなら。
「キョウト先輩!」
慌てた様子の声が耳に届く。
振り返ると、心配そうな顔をしたキリエちゃんが俺を見上げていた。
「敵は! さっきの人はどうなりました……か……」
俺から目線を外したキリエちゃんが、海原の亡骸に目を移す。
「死んだん……ですよね」
「そうだよ。ついさっきね」
「……私達を守ってくださって、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げ、キリエちゃんが言う。
この世界は、元居た世界よりもずっと死が身近にある。海原を殺したことを糾弾するような人間は、俺の周りにいない。
でも、早くここを離れたかった。
いつまでも海原の亡骸と一緒に居るわけにはいかないから。
「船に戻ろうか」
「はい、すぐに船までお運びしますね。……【影海豚】」
キリエちゃんが印を結び、出現したのは影でできたかのような真っ黒なイルカ。
きゅいきゅい! と鳴くイルカは結構可愛いけど……なんだかサイズがおかしい。
7~8mほどありそうな全長は、そりゃ乗るのには十分な広さだが……
「お前……シャチじゃね?」
「きゅ……きゅい!」
失礼な! と言わんばかりに口を開くイルカ。
まぁ、口の形はイルカなので、異世界のイルカはこんなサイズ感なのだろう。
って違う。シリアスを壊すんじゃないイルカモドキよ。
「助かったよキリエちゃん。正直どう戻ろうか困ってたんだ」
レオのバフはもう切れたので、海の上を走ることはちと厳しい。
泳いで戻ろうにも船に上がれないので、残り僅かな魔力を消費して帰るのかと気落ちしていた。
「それならよかったです! どうぞ乗ってください」
キリエちゃんに促されるまま、【影海豚】のすべすべとした背中に跨る。
そうして船へと向かって泳ぎ始めたのだが、少しだけ楽しい。
シャチのショーでこんな光景見たことあるぞ。あ、シャチって言っちゃった。
泳ぐ速度はかなりのもので、さっきまで豆粒のように見えていた船がすぐそこに迫る。
そのまま速度を落とすのかと思いきや、イルカは船に向かってさらに加速し、そして飛んだ。
「え! ちょっ!?」
そのまま船の甲板にビターンと打ちつけられる……なんてことはなく、【影海豚】は甲板を泳いでいた。
「【影海豚】と【影鯨】は似たような性質を持っているので、あらゆる場所を泳ぐことができるんです!」
しゅたっっと着地したキリエちゃんがそう説明し終えると、役目を終えた【影海豚】はきゅい! と言い残してその姿を散らした。
「なるほど……それはすごいけど……できれば早く言ってほしかったなぁ……いたた……」
俺は綺麗に着地したキリエちゃんと違い、ずっとイルカに乗っていたので甲板にビターンされてしまった。
「はわ! す、すみません!」
「いや、キリエちゃんが謝る必要はないよ。悪いのはあのイルカモドキだから」
あいつ俺が離れようとすると絶妙に体を捻って捕まらせようとしてきたんだよな……シャチって言ったこと怒ってんのか? 世のイルカはシャチと間違われることがそんなに心外なのか?
「あの子は少しいたずらっ子なところがあるので、本当にすみません……」
「やっぱ自我あるんだあいつ」
影魔法……なんとも不思議な魔法だ。
というか魔法自体が不思議そのものやん。いやはや、慣れというものは恐ろしい。
「お疲れ様、キョウト」
「レオ……お前こそ、大丈夫なのか? あんな大魔法ぶっ放して」
「もうすっからかんだよ。今すぐにでも眠りたいね」
「はは、俺も」
レオは俺に聞きたいことが山ほどあるだろう。
しかし、戦闘で疲弊しきった互いの脳みそにそんな重要な話をする余裕などない。海を散らすほどの魔法を使ったレオと、【締結】を多用した俺の魔力はすっからかんなのだ。
「てなわけで、ちょっと寝る。その後、ちゃんと話すよ」
「うん、約束だよ」
俺はずっと思っている。俺たちの戦いに、この世界の人間を巻き込んでいいものかと。
俺の使命を話せば、この戦いを許してくれるだろうか。世界を巻き込むゲームを、制止することなく見逃してくれるだろうか。
レナやレオに話したことには、一番大事な目的が含まれていない。同じく強い未練を持った者同士で殺し合い、生き残るという『喰雲』としてのたった一つの目的が。
嘘の禊は、ちゃんと受ける。
この旅行で、全てを話すよ。
× × ×
「京斗、そろそろ起きよ?」
「……んん」
目を開けることすら億劫なだるさの中、僅かに残った思考力を巡らせる。
寝てる俺。それを起こしに来た一人の女の子。
なんだ、京ちゃんか。
「もうちょっと寝かせてよ……京香……お兄ちゃん疲れてるんだ……」
「寝ぼけてるし……私は妹じゃない」
「んー、お兄ちゃんと結婚するために縁切ったとかー……?」
「はぁ…………お兄ちゃん、私、彼氏できたの」
「う、嘘だあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
その時、雷に打たれたかのような衝撃を受け、眠気が一気に霧散した俺は全力で飛び起きる。
「やっと起きた。おはよう、京斗」
「ま、真奈……? 京ちゃんは!? 彼氏は!! ぶっ殺してy」
「うそうそ、いないと思うよ。多分。ほんとにできたらちゃんと言うだろうし」
「……そ、そうだよな。あーよかったぁ」
「多分ね」
「あーよかったあああ!! 彼氏なんてお兄ちゃん認めないからねええええええ!!」
「……だめだこりゃ」
やっと状況を理解した。真奈のおかげですっかり目の覚めた俺の頭はすっきりさわやか……とは言い難く、急に眠気を弾き飛ばされたので、寝起き特有のだるさだけが残っている。しかしそれも時期に和らいでいき、白鷺京斗覚醒である。
「真奈、俺どれくらい寝てた?」
「窓の外見たらわかるんじゃない?」
「え……暗っ!?」
海原を殺した後、ベッドで眠りについたときにはまだ太陽が真上にあった。そして今、この部屋の中は温かな光で満たされており、夕方辺りだろうかと思っていたのだが、どうやらこれはランタンの光によるものらしい。
窓の外を見てみれば、黒のトーンを張り付けたかのように真っ暗で、空には無数の星空が広がっている。
「んで俺ベッドで寝たはずだよな? なんでハンモックで寝てるの?」
「戦いで船が所々壊れてバランスが悪くなっちゃったらしくて、ベッドだところころ転がっちゃうからここに移したの」
「なるほど……?」
海原からの攻撃はほとんど防いだはずだ。一度リヴァイアサンの姿を模した時に突撃されたが、見た感じ船に損傷は見られなかった。
俺が不思議に思っていると、真奈がどこか申し訳なさそうな顔で説明する。
「船の甲板とか帆に穴が開いちゃったらしくてさ、本来なら運航不可能なくらい深刻な損傷だって言ってた」
「……」
そういえば……海原からの攻撃を防ごうとして音速になった時、やけに船が穴ぼこだったような……
「……ユ、ユルセネーナアノヤロウ!」
「? なんか喋り方変だよ?」
「べ、別にそんな事無いヨ?」
全部リヴァイアサンが悪いんだ。俺は悪くない。
「まぁいいや。そんなことより、お腹減ってるでしょ。サンドイッチもらってきたから、一緒に食べよ」
「ありがとう。って、真奈も食べてないの?」
「うん。食べながら話そうと思って」
「話す……あぁ、そうだな。俺も話したいことがあるんだった」
「みんな今は寝てるか見張りしてると思うから、ここには私達だけ。好きな事話せるよ」
「そっか。んじゃ京ちゃんのことを……」
「その好きな事じゃないよこのシスコン!」
ピシっとツッコまれた。少しだけ頬を膨らませてむすーっとしてるのがすごく可愛い。
「まず最初に、一番大事なことを報告するぞ」
「大事なこと……? うん、聞きたい」
「あいつ……海原慶次は、何者かに操られていた」
「操られる……? もしかして、別の『喰雲』に?」
「あぁ。あいつの主や知っている限りの『喰雲』についての情報を言霊師で聞こうとしたけど、どうも口止めされてるようだった。それまでは普通に言霊を使えていたから、俺が海原に恐怖や警戒を抱いたわけじゃない」
「じゃあ、他の『喰雲』の能力による支配が、言霊の効力を上回ったんだ?」
「そういう事だろうな。もっとも、能力に優劣なんかなくて、単に早い者勝ちだった。って可能性もあるけどな」
『喰雲』の能力は千差万別で、使い方はその特色に左右されるので、能力という一括りにして優劣をつけるのは難しい。
もし支配に長けた能力だとしたら……言霊を弾いてもおかしくはないだろう。
「問題は……その主がどこにいるかだね」
「それなら、俺たちが今から行く国だ」
「そうなの?」
海原は多くの千石船がある海を見て能力が発現したと言っていた。
【影海豚】に乗っている時キリエちゃんに聞いてみたが、ペストリーゼの港にはそういう船が多く泊まっているらしい。
日本と共通点の多い国だとは思っていたが、ここまで文化が似ているとなると疑問を抱かずにはいられない。
――異世界と、元の世界とは本当に繋がっていないのか?
× × ×
幾星霜の星空の下。
国を見下ろすように聳え立つ天守の最上階には、三人の若い男が一人の男の前に跪いていた。
その様子を一瞥した男は、ぎらりと光を反射させた丸眼鏡を上げながら、堂々とした口調で言い放った。
「夜中の集合感謝する、諸君。面を上げよ」
三人が同時に顔を上げる。浮かべている表情は、皆不服そうなものだった。
「何が感謝だよ。おれらが逆らえないの知ってるくせに」
深くフードを被った小柄な少年が、中性的な声でそう吐く。
「ほんまやで。この前任務行ってきい言うた思たらなんでまた戻ってこなあかんねんな」
隣の男が同調し、細く鋭い目で睨みながら言う。
敬意のかけらもない態度だが、それが当然だと言わんばかり、ヘイトを向けられた男は受け流す。
黒のトレンチコートに白い手袋。そして片側だけ上げられた金髪という、天守とは真逆の服装をしているこの男だが、纏う雰囲気や立ち振る舞いが、この場の空気さえも支配し、空間へと調和する。
「不満のある者には悪いが、緊急事態だ」
「緊急? また町のもんがぎゃーぎゃー言うとんけ?」
「それで君らを呼びはしないさ。単刀直入に言おう。海原がやられた」
「……へぇ?」
「本当に一人減ってる……」
二人は左目に手を当て、告げられた事の真意を確かめる。
「死亡時刻は今日の昼頃。場所は、ペストリーゼの海の上だ」
「……それは、本当なのか」
今まで黙っていた長躯の青年が、静かな声色で問いかけた。
「本当だとも。自分の所有物の場所もわからない程、私は愚かじゃない。海を操る彼が、海で敗れた。その事実は揺るがない」
「それで、俺たちを呼び出した理由はなんだ? まさかこの連絡だけというわけではないだろう」
「話が早くて助かるよセータ。本題に入ろう」
そう言い終わると男は立ち上がり、明かりの灯る夜の城下町を見下ろす。
ある瓦屋根の長屋の隣には、赤い屋根の石造りの家が。
袴を着て髷を結った侍が、重厚な甲冑を着こんだ西洋騎士とすれ違う。
「海原を倒した者が、ここに向かっている」
適当にとったバイキングのプレートのように和と洋がごちゃ混ぜになった歪な街を見下ろし、男はその金髪を風に撫でさせながら、白い歯をむき出しにした笑みを浮かべ言い放った。
「剣を持て。銃を持て! 久しく見ぬ我らが同胞だ! 歓迎せよ諸君! 戦争だ!!!」
男の名は、シン・アクエリオ。
またの名を、一ノ宮心。
遥か遠くの異国より来たりし――この国を統べる王である。
出し切れなくて設定メモの肥やしになってた設定を、物語として一つの区切りとなるここら辺に吐露しときます。
おえー
冒険者狩り…… 伊吹 界人
異世界での名…… カイト・ペンドラゴン
能力…… 触れた場所から剣を出す能力
死因と未練…… 子供のころからなりたいと思っていたヒーローモノの物語のオーディションに主演俳優として合格した帰り、交通事故により死亡。
ずっとなりたかったヒーローの夢を諦められず、強い未練となった。
永久…… 百目 白草
異世界での名…… ノルン・ストック
能力…… 魔法をストックする能力
死因と未練…… 人懐っこい性格と整った容姿から、色々な男に言い寄られて何人もの異性と交際しては飽きて捨ててを繰り返していたが、ある日、一つ上の先輩と生まれて初めてと言えるほどに純粋な恋に落ちる。
しかし、過去に捨てられた男にその先輩共々刺され、死亡。自分の行いのせいで死んでしまった先輩を助けたい、復讐を阻止したいという思いが、強い未練となった。