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6  一日二回の災難は多すぎます③

ブックマークありがとうございます。


二回じゃ収まりませんでした。

もう一つの災難です。

 

 私の従者が煎れるお茶は絶品だ。


「お嬢様、お茶のおかわりはいかがですか?」

「ありがとう、いただくわ」


二杯目のお茶に手を伸ばし一口飲むと、薔薇の香りがほのかに広がる。


あ〜、落ちつくなぁ。やっと一息入れられた気がするよ。

ディナーも美味しかったし、もうお風呂入って寝ちゃおうかな。



寝て起きたら今日の出来事全部なかったことになってないかなあ。私に時間を戻す能力があれば昨日の夜に戻して仮病使って学園になんて行かないのに。・・・願えば戻ったりしないかな。本気で願えばいけるんじゃない?やっぱ無理か。


 現実逃避はさておき、殿下がきれいさっぱり忘れることを祈るしかない。



 あのあと、私は講義には行かずまっすぐ帰った。

勉強どころではない。もし他の人に見られていたら即刻処刑されてもおかしくないことをしたんだから。

殿下が護衛や侍従をつけない人でよかったよ。いや、護衛とかつけていればあんなところで倒れてなかったのでは・・・?


とにかく、王宮からの通達がないってことは殿下に私のことはバレていないってことだよね。よし、前向きに行こう。明日から今まで以上に気をつける !少しでも殿下の姿を見つけたら即逃げる!


あの“黒い女”のことも、もう気にしない。まあなんで急に出て来たのかは気になるところだけど。いつの間にか消えてたし、それにミサンガが弾けたのも気になる。あんなことは初めてだ・・・って、あのミサンガどうしたっけ?



 「お嬢様、旦那様がお呼びです」


ライアンの声に、ハッと意識を浮上させる。


「お兄様が?」


なんだろう、嫌な予感がする。




■■■■■■




「いきなりごめんね、ナディア」


呼ばれて書斎に行けば、相変わらずお兄様は書類とにらめっこをしていた。

カロン家当主として忙しいだろうにいったい何の用だ。


「なんですか?もう休もうと思っていたところですが」

「なに、ちょっと聞きたいことがあってね。最近の王太子殿下どう思う?」


はい?え?なんで殿下のことを聞いてくるの? 

もしかして今日のことなにか知ってる・・・?


「・・・え〜と、お兄様?なぜそんなことをお聞きになるの?」



お兄様は書類から私に目線を動かし、不思議そうな顔をしている。


「同じ学園に通っていれば何かしら会うことがあるだろう?殿下を間近で見る機会は私より多いと思ったから聞いたんだけど」


王太子殿下は目立つしね、と言いながらこちらを見るお兄様。


「殿下とは学年が違うので接点がないんです。なので殿下のことはよくわかりませんわ」


笑顔を貼付けながら答える。私と殿下は一切関係ないですから!

だからこっち見ないでください、お兄様。


「本当に?」

「ええ、本当です」


背中に冷や汗が・・・。

もう答えたから解放してほしい。これ以上お兄様相手にしてたらボロが出そう。


「お力になれず申し訳ありません。それでは・・・」


おやすみなさいお兄様、と続くはずだった言葉は紡がれることはなかった。



「それじゃあ、明日から殿下の様子を毎日見ようか」

「・・・はい?」


お兄様はデスクにある書類の束を一つ取ると、パラパラめくりながら話し始めた。


「国王陛下の指令で王太子殿下とミリア・ワーナー嬢について調査しているんだけど、ワーナー嬢については部下が調査して大体の情報は集まったが殿下については思うように進まなくてね。王宮には使用人として部下が潜り込んでいるが、学園は防犯上潜り込むのが難しいんだ。でもどうしても学園内での様子も調べたい」

「はあ・・・」

「どうしようか考えていたら、うちにはちょうど学園生がいるじゃないか」


いい笑顔ですね、お兄様。


「ということで、ナディアは明日から殿下の様子を調べて毎日私に報告するように」




 嫌な予感って、あたるんだよね。



災難は続きます。


読んでくださりありがとうございます。

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