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4  一日二回の災難は多すぎます①

ブックマークありがとうございます。

長いので2回にわけました。

久々の微ホラー表現あります。苦手な方でも問題ないレベルの緩さですがそれでも無理だと言う方はご注意ください。


 これは、午後の講義をサボった罰でしょうか?


だとしたら明日からサボらないので許してほしい。

大嫌いなニンジンも残さないし、ライアンの言うこともちゃんと守るし、お兄様のお願い(という名の命令)も文句言わずに聞きますから。いや、やっぱ文句は言うかも。でも心の中に留めておくだけにするから。


だから、いいよね?

真っ青な顔で倒れている王太子殿下を放っておいても、いいよね?


 キョロキョロと周りを見る。よし、目撃者はいない。

ならここで私が殿下を発見したことも誰にもわからないはず。幸い今日は暑くも寒くもないちょうどいい天気だ。夕方は少し肌寒くなってくるけどそれまでに誰かしら探しに来て見つけるでしょ。特にあの子爵令嬢とか。


 そもそもいまは午後の講義中の時間だよ?何サボってるのさ、殿下は。

しかもよりによってここは私のお気に入りの場所ベスト3に入るお昼寝スポット!程よく配置された樹木で囲まれており、日差しは柔らかく差し込むまさに昼寝のための空間。

歩道から見えないからこんな空間があることもみんな気づかない穴場スポットなのに。


なんで殿下がいるのさ。


どうしよう、関わりたくない。

殿下の顔をちらっと覗くと顔色が悪いしなんかちょっと震えてる。このまま無視するのはさすがに良心が痛む。


このまま放っておいてもいずれ誰かが見つける・・・けど、この場所をこれ以上誰かに知られるのはいやだ。特にあの子爵令嬢なんかにバレたら逢い引きの場所に使われそうでいやだ。


「っう・・・」


どうしよか悩んでいると、殿下のか細い声が聞こえてきた。


「・・・・・・仕方ない」



 目を凝らして視ると、あの黒い女の姿はない。あれ?やっぱあの女はミリア嬢に憑いてたのかな?

相変わらず黒いモヤは漂ってるけどこのぐらいなら我慢できる。


私はギュッと左手首を握る。お守りのミサンガがあるのを確認して、深呼吸をする。


「よし」


 意を決して殿下のそばに行き、状態を確認してみようと思ったら、噂のキレイな顔に柄にもなくドキッとした。


サラサラと靡く瑠璃色の髪、高い鼻、形のいい唇。真っ青の肌は本来ならきめ細かい白さなんだろう。てか睫毛なっが。こんなに間近で殿下の顔を見たのは初めてだ。わずかばかりあった女としての自信が散ってしまう。


いけない、いけない。早く殿下を助けないと。

口元に手をかざしてみると浅いけど呼吸はちゃんとあるのがわかる。


「王太子殿下、聞こえますか?」


声をかけてみるけど大きな反応はなく、変わらず苦しそうに顔を歪めている。

相当苦しいのか、額には汗が滲んでいた。


「失礼致します」


ポケットからハンカチを取り出し額の汗を拭う。

すると、さっきまで苦しそうだった表情が少し和らいだように見える。

その様子にホッと息をついた、その瞬間。



ピチョン。


何かがハンカチに落ちてきた。

赤黒い、どこか鉄臭いそれは。


頭上から気配を感じる。


なんで?

さっきまで確かにいなかった。



頭上からとてつもないプレッシャーを感じる。


ああ、見てる。


殿下を?・・・それとも、私を?


ピチョン。


殿下の頬に落ちてきたそれを、無意識に拭った。



私じゃない。やっぱり殿下だ。


理由なんてない、直感だ。


私は関係ない。


関係ないんだ。



そう思ったら目の前の殿下に腹が立ってきた。

そうだ、お気に入りの昼寝スポットで青白い顔して倒れてる殿下が悪い!



そう思った私の行動は早かった。


バチンッ!


殿下のおでこを思いっきり叩いたのだ。

意外といい音がした。


その勢いのまま、今度は胸ぐらをつかんで思いっきり揺さぶる。


「起きろ、殿下!!死にたいのか!?将来有望、何やらせても完璧な王太子様なら自分に降り掛かかる災厄ごとき自分でなんとかしろ!無理なら王太子なんてやめちまえ!」


パンッ


「・・・え?」


叫んだと同時に、私のミサンガが弾けた。こんなことは初めてで戸惑っていると、地を這うような声が聞こえた。


「なん、だと・・・?」


瞼で隠れていたアイスブルーの瞳が見上げていた。

まだ顔色は悪いけどさっきより随分マシになっている。


「はは・・・」


起きろとは言ったけど、こんなタイミングで起きなくてもよくない?



次こそ名前出すぞ!


読んでくださりありがとうございました。

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