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16 いい加減どなたか私を褒めてくれませんか

ブックマークと評価、ありがとうございます。

本当に励みになります。



 「や、っと・・・終わった」



 フラフラとベッドに倒れ込む。窓の外はうっすら明るくて小鳥のさえずりが聞こえている。

がんばった・・・がんばったよ、私!偉かったね!!


 お兄様とお茶をした翌日から、私は部屋に籠って王太子殿下へのミサンガを作っていた。

飲まず喰わずで一心不乱に作って、気がついたら朝・・・。


(お腹空いた・・・喉乾いた・・・眠い・・・)


 さて、今回は何日経っているんだろう?

眠いけどその前にシャワーも浴びたいな・・・。ああでもやっぱり眠い。・・・眠る前に作業が終わった事を伝えないと。

 かろうじて枕元のベルを鳴らした私は、そのまま眠気に逆らわず意識を失った。




■■■■■■




 次に目が覚めたとき、部屋は薄暗くぼんやりとランプが灯っていた。カーテン越しに見える外は、夕暮れより少し暗い。

 自分を見下ろすとナイトドレスを着ている。ベッドの中いるってことは侍女たちが世話をしてくれたんだろう。ということはミサンガが出来た事もお兄様に伝わっているはずだ。


 (喉乾いた・・・)


 ずっと声を出さず水分もほとんどとっていなかったからか、喉が張り付いて声が出ない。無理すると痛めてしまうと思い、ベルを鳴らそうと手を伸ばしたところで部屋のドアがノックされた。



「失礼致します・・・あら、起きられましたか」



侍女のクラリスだ。いいところに来てくれた!



「まずはこちらをお飲みください」



 さすが私付きの侍女、わかってる!

 クラリスが差し出す甘酸っぱいレモン水が、心地よく身体を満たしていった。


 

「いまって何時?」


「午後5時でございます。いつも通りスープを用意しておりますが、先に湯浴みになさいますか?」


「そうしよっかな。お兄様はもう帰ってる?」


「先ほどお戻りになられました」



 話をしながら作業していたテーブルを見ると、青いミサンガがあった。色の濃淡で何かの模様に見えるが作った自分でも何の模様かはわからない。作っている時のことは記憶にないからだ。一種のトランス状態とでもいうのか、集中しているからなのかわからないがミサンガを作るときはいつもこうだ。

 寝食を忘れ出来上がるまで手を休めることはない。体力的にも精神的にもかなり疲れる作業だからあんまやりたくないけど、このミサンガは私を守るまさに『お守り』だから仕方ない。

 今回はお兄様の命令で自分のじゃないけど。



「私が作業始めてから今日で何日目?」


「作業を始めてから今日で5日目になります」


「い、5日!?」


「はい。今朝早くに作業終了の合図を出されてから、この時間まで眠っておりました」



 まさかそんなに経っているとは思わなかった。いつも自分の分を作るときは長くても3日くらいだ。

自分のを作るときは『遠ざける念』を込めているけど、今回は『殿下を守る念』だ。『遠ざける』のと『守る』では意味が変わってくるし、しかも自分以外のために作ったのは初めてで。

 ・・・こんなことはもう二度としたくないものだ。


 ゆっくりとお湯につかりながら「でもまあ、これで王太子殿下と関わらなくてすむならいっか」と考えていた。




 いろいろ終わってやっと食事の時間だ。メニューは具なしのスープ。5日も断食していたような物だからしばらくこんなメニューが続くのだろう。一口ずつゆっくりと口に運ぶスープは具がなくてもおいしい。素材の味がしっかりと出ていて野菜の甘みを感じる。うちのシェフが作る物にハズレなし。嬉々として食べ続けたいが私の心の中はどんより曇り空だ。



「・・・はあ」



 (もう殿下とは関わらないと思ったのに!お兄様のバカ!!)


 私の仕事はミサンガを作るまで。そう思っていたのに──。

 こんなに暗い気持ちなのは、お兄様に出来上がったミサンガを届けに行った時に言われた事が原因だ。




——




「ご苦労様。それじゃあ、そのミサンガはナディアが責任もって殿下に渡すようにね」

「・・・私が?」

「そうだよ?」

「なんで?」

「どうせ学園で会うんだからいいじゃないか」

「でも、私はもう殿下と関わらなくていいんじゃ──」

「『殿下の護衛まがいの事はしなくていい』とは言ったね」

「そんな・・・」

「自分で作ったものを自分で渡すのはおかしな事じゃないよ?それに作成者がちゃんと説明もしないと、ね?」


 お兄様は駄々っ子をなだめるように言った。



——



「はあ〜・・・」



 そりゃため息だってでるでしょ。むしろため息ぐらいで済んでるんだから許してほしい。



 食事を終えて部屋に戻るとすでに就寝の準備がされていた。

 お兄様から、明日は休んであさってから学園に行けばいいと言われているが面倒ごとはさっさと済ますに限る。明日行ってさっさと殿下に渡して、微妙にできたこの縁を断ち切ろう。王家と関わるのは当主だけでいいはずだ。私が出る幕はない。


 そう決めると私は学園に通っていなかった間の講義がどれだけ進んだのかが気になり出した。少しだけ復習をして眠ろう。

殿下のことはもう頭になかった。






 いい加減、私は学ぶべきだったのだ。


 『どんなに自分が避けようとしても不幸は向こうからやってくる』と──。



 

 

 


実はサブタイトルで主人公目線かそれ以外目線(主に第三者目線)か、わかるようになっているけど気づいてる人いるといいな(泣)



読んでくださりありがとうございます。

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