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28.戦いの結末

 「ぐぶっ」


 右胸を穿たれたイネスは、ゴポリと血を吐いて膝から崩れ落ちた。

 文字通り、死力を尽くしたアルクもまた、力なくその場に倒れてしまう。


 「…………イネ……ス」


 アルクは震える手を必死に伸ばすも、目の前の少女には届かない。

 そうするうちに視界が狭まり、意識が遠のいていった。



 ◇






 「――」




 「――ク」




 「――きて」



 「――ルク――て」



 「アルク、起きて」


 すぐそばから聞こえる声にアルクが薄く目を開けると、心配そうに覗き込むイネスの顔があった。


 「よかった! 目を覚ましたのね」

 「ここは? ……いや、どうなった?」


 大きく息を吐いて安堵の表情を浮かべるイネスにアルクが尋ねた直後、ガラガラと大きな音を立てて崩れる天井が、無数の瓦礫となって頭上に降り注いできた。


 「イネス! 危ない!!」

 「あ、大丈夫よ。結界を張っておいたから」


 巨大な瓦礫がすぐそこまで近づいた瞬間、二人の周囲を囲うように光の膜が現れ、次々に瓦礫の雨を弾いていく。


 「えーと。それでね、さっきの質問の答えだけど、あなたの作戦は見事に成功したわ。おかげでわたしの身体から迷宮の核がなくなって、晴れて自由の身になれた」


 そう言うと、イネスは満面に笑みを浮かべた。


 「本当にありがとう」

これにてイネス戦は終了になります。

自らハードルを上げていた作者でしたが、みなさんいかがだったでしょうか?


「面白かった」

「こういう戦闘描写を見たかった」

「まあ、悪くはないんじゃない?」


と思っていただけた方は、この機会に評価を入れてください。

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