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21.快進撃

 「よし、体調に問題はなさそうだな」


 屈伸をしたり、腕を回したりして身体の具合を確かめていたアルクは、服についたホコリを払うと荷物を持って立ち上がった。


 前日に戦った大蛇によって、身体の一部を石化させられていたため、一度起きて回復薬を飲んでから、またしばらく休んでいたのだ。

 魔眼の効果に早めに気づき、魔力で抵抗(レジスト)したとはいえ、身体に何かしらの異変があってもおかしくないというのもあった。

 残念ながら表皮と服の一部は石化したときに砕けてしまっており、処置が施せない部分はそのままになっている。


 (それにしても、まさか迷宮に入って早々に奥の手を使う羽目になるとはな)




 属性魔力を使った戦闘方法は、元々魔獣の森の主がそれに近い魔力の使い方をしていたため、戦いの中でアルクが真似て編み出した戦い方である。


 そもそも属性魔力の概念自体は魔法使いなら誰もが知っている常識だ。

 魔法や魔術を学ぶさいに、初めに習得するのが”属性のない魔力”を”属性魔力”に変換することだからである。そのため、初歩の技術にあたる属性を変えるということだけならば、基本的には誰にでもできるものということになる。


 ただし、これを実際の戦闘に活かそうとする者は極めて少ない。

 なぜなら魔力をなんの術式も介さずにそのまま放出するということは、魔法や魔術として放つよりも非常に効率が悪いからである。過去、何人もの魔導探究者たちがこの分野に挑戦してきたものの、結果的に廃れた技術とされていた。

 もちろん例外はおり、太古の魔導士や伝説に残る英雄たちは好んでこの戦法を使ったとされているが、真相は定かではない。


 ともあれ、現状アルクに術式を組めるような才があるわけもなく、この戦法を取るしかなかったというのが現実であった。



 ◇



 転移部屋から先の階層は、入った部屋の中央に階層主と思わしき魔物がおり、戦いに勝つと次の階層への入り口が現れるという仕掛けになっていた。

 階層主の数は常に一体だけとは限らず、二体のときもあれば、複数が同時にいる場合もあった。それらはいずれも強力な個体であり、第六階層までの魔物とでは、天と地ほどの差があるだろう。

 とはいえ、転移部屋の主である大蛇以上に苦戦するような場面はなく、アルクは一階層を終えるごとにしっかりと休息を挟みながら、着実に攻略を進めていった。




 そうして十階層ほど進んだときである。

 十分に休息を取ってから次の階層に足を踏み入れたアルクの前には、これまでの階層とは違い、精巧な装飾を施された石造りの立派な門があった。

 アルクは両腕にスキルと魔力を重ねると、巨大な石の扉に手のひらをつけて思い切り押していく。すると、切り立つ崖を彷彿させる重厚な扉が、まるで地震のような地響きを立ててゆっくりと開かれていった。


 扉の先は整地された洞窟の中のようになっており、大きな城の大広間を思わせるほどの空間が広がっている。

 入口と反対側にはこれまた大きな玉座があり、そこに一人の少女が座っていた。


 「あら、ここにお客人なんて珍しいわね」


 そう言って少女がスクッと石の玉座から立ち上がると、白銀の長い髪がふわりと宙を舞う。


 「初めまして。……そして、さようなら」

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