異世界に家出して冒険しています(5)
昨日は投稿できなかったな。
色々と忙しくて。。
「誰だ。あんた?」ユウマは怪訝そうに問いかける。
「いったい、どんな御用でしょうか。」アーシャが問いかける。
男は五十代くらいか、この世界のヒト族では高齢に位置付けられる年齢だ。
禿頭で恰幅のある姿をしている。
禿頭といってもハリソン・フォードのように格好はよくない、どっかの腹グロ坊主を思わせる印象だ。
「何、ゴブリンを退治した奴らがいると聞いてどんな奴らかと思ってな。」
「ゴブリン退治なら、よくたいしたことはないと思うが、ゴブリンどもは幾らも増えるからな。退治の依頼ならよくある」
「そうだな、しかし百を超えるゴブリンを三人で倒すようなのは滅多にいないな」
「ギルドの方が認めたのは50匹にも満たなかったと思うけど」アーシェが答える。
「お前らの報告を受けてな、儂は現地を調べたわ、現場にはかなりの数のゴブリンがいた痕跡があった。お前らの主張通り、百を超えるゴブリンがいたのは間違いないだろう。それを倒したというお主らの主張も信じて良いと判断した。」
「そんな調査が為されていたとは知らなかったわ。」
「調査したのなら、ちゃんと評価してくれてもよいだろうに。ギルドの方は結局、認めてくれなかったが」面白くなさそうに言った。
「そう腐るな。届け出た耳の数の倍の数のゴブリンの分の報奨金の支払いは認められたのだろう。アレは儂が口添えしてやったからだ。ギルドの長は他へのしめしがあると、提出した耳の数の分の報奨金しか支払わないと主張していたのだぞ。儂の口添えがなければそうなっていた。」
「それが事実なら感謝しなければなりませんね。」アーシェがそう答える。
しかし礼などしない。
「・・・・・。」ユウマの方は露骨に警戒して何も答えなかった。
「座らせてもらうぞ」
男は空いている席に座ると、改めてユウマたちに視線を向ける。
「それであなた様はどういうご身分の方でしょうか、先ほどの話を聞けば、ギルドの長に意見を言える立場の方のようですが。」アーシェが慎重に尋ねる。
「儂はギィ・エルヴァ、この町の商人だ。」
「エルヴァ。確か行商の元締めだったか。」ユウマがつぶやくと、それにアーシャが表情を険しくした。
ギルドの長に意見が言えるとなれば、一般の冒険者ではありえない、それなりの身分がある立場の人物ということになる。
行商の元締めとなれば、それも理解できる。
これは日本で言うところのヤクザの親分のような立場で、この町で商売をする店や行商などからシャバ代を取っている。つまりユスリタカリを行っている立場であり、当然、まっとうな商人とは言えないが。
同時にいまユウマがいる辺境の町ハルムでは、数の少ない役人のような公職の治安機関よりも町の顔役のような立場の人間が、町の中のトラブルの裁定や治安を取り仕切るのが常であり。そのためギィ・エルヴァのような存在は冒険者ギルドも無視できない。
「私たちに何の御用でしょうか。」アーシャは視線を厳しくして、エルヴァを見据える。
どちらにしてもユウマたちの立場では、エルヴァのような相手は無条件で信用出来るような相手ではなく、それどころか警戒しなければならない相手だ。
「何、いま話してやる。」ギィ・エルヴァが答えた。
周囲に視線を向けると、入り口のところに立っている男が二人、こちらに鋭い視線を向けていた。
おそらくギィ・エルヴァの部下だろう。
用心棒というわけだ。
共に体躯のよい男たちであり、傭兵か冒険者を思わせる雰囲気だ。
「お前らに仕事を頼みたくてな」ギィ・エルヴァは言った。
「どんな仕事だ。後ろに手が回るような仕事なら受けないが」ユウマはギィ・エルヴァを牽制しながら訪ねた。
「ああ、そういう心配はない。まっとうな仕事だ。」ギィ・エルヴァは笑った。
その笑みは意外にも他人の良さそうな笑みだった。それだけにより危険を感じてしまった。
いま、これまで書いた分も含めて推敲を続けています。
連載が終わるころまでには、大幅に修正や加筆を行ったものを出す予定です