表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者の徒然  作者: Browney
3/5

異世界に家出して冒険しています(3)

一応、毎日、一回の投稿を目標としています。

その直後、多分、一分も時間は経っていない。

 しかしアーシャやユウマにとっては、もっと長い時間を感じた時間の後で、激しい爆発音が聞こえた。

 間違いない火薬の爆発音だ。

 そして次の瞬間、崖から一機に土砂が落ちて来た。

 もともと崩れかかっていた崖が、火薬の爆発の衝撃でひとたまりもなく崩れた。

 そのことをユウマ達は知っていた。

 

「ええい、しつこいのだよ。」ユウマはなおもロープから這い上がってくるゴブリンを蹴り飛ばし、地面に落とす。

 そして、次の瞬間にゴブリンたちは土砂に呑まれていった。


 「やった!」アーシャの声が聞こえて来た。


 「はあ、死ぬかと思った。」ようやく木に登り切ったユウマが声を吐息をもらす。

 時間にして数十秒単位に過ぎないが、崩れた土砂に百を超えるゴブリンが呑まれて消えていくのをユウマたちは確かに観ていた。


 「うぎゃー」

 「ぐがあ、」

 そんな悲鳴がゴブリンたちから聞こえて来た。


 「アーシャ。アレ」ユウマが下を指す。


 「ええ。」アーシャは頷く。

 そこには木の幹にへばりついたゴブリンの姿があった。

 アーシャは、黙って弓を引く。

 こちらを見つめるゴブリンの表情は確かに恐怖と悲嘆があり、哀れみさえ誘うものだが

 ユウマたちは何も言わない。

 びん、と弦をはじく音がすると、次の瞬間、ゴブリンの額に矢が突き刺さり、落ちて行った。

 土砂はすぐに止まったが、それでもしばらく木から降りる気にはならなかった。

 死に物狂いで逃げていたから、息切れが続いていた事が大きいだろう。

 静まり返った地で、最初に動く気配を感じたのは、場違いのフルアーマーを纏った長身の影だった。


 「ゴリアテ、うまく行ったな」ユウマは木から降りる。

 崩れた土砂で、地面は2Mくらいもかさ上げされていた。


 「ガー、ザァー」とラジオのノイズ音のような音がゴリアテから聞こえて来た。


 「ああ、作戦通りだ。」ユウマは答える。

 ユウマやアーシャには、ある理由でノイズ音にしか聞こえない。ゴリアテの言葉が理解できる。


 「まさか、これを実際にやる事になるとはおもわなかったけど。」木から飛び降りたアーシャがそんなぼやき声を漏らした。


 「念のために準備しておいてよかっただろ。」ユウマが笑った。


 「うまく行くとは思ってなかった癖に」白い目でアーシャがユウマを見た。

 実際、そうだった。

 そもそもゴブリンたちをおびき寄せて土砂崩れで一機に皆殺しにしようとは、ユウマの発案であったが。

 そもそも最初にゴブリンの巣穴に乗り込んだ時に片付ける事が出来れば、こんな作戦は必要なかったわけであり。

 ユウマにしても、実際にやる事になるとは思わなかった。

 あくまで念には念を入れての作戦だったわけだ。


 「ま、そもそも言えば、火薬を充分な量、用意出来たら済んだ話だったのだけどさ。」ユウマがぼやくように言った。

 最初は、少々、数が多くとも手製の手りゅう弾で充分だと思ったのだが


 「仕方ないでしょう。材料が足りなかったのだから」アーシャが言い捨てる。

 「ガァー」ゴリアテがまた何かを言っていた。

 とにかく、作戦は成功したが、まだやるべきことは残っている。

 ユウマはゴリアテに向かって頷いた。



これでひとまず。本作のプロローグが終わりという位置づけです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ