魔導電話
突然鳴った電話に、リューオスは驚いた。
家に備え付けてる滅多に鳴らない電話。
ひょっとしたら故障しているのかもとさえ思っていた。
それは魔導電話というもの。
番号ではなく、魔法の力で繋がる電話だ。
原理は糸電話に近く、魔法の力で糸を張ると思えば想像しやすいだろう。
ということで、その電話は魔法使いからということになる。
リューオスは魔導電話を取った。
「もしもし?」
「……………?」
電話の向こうで何か喋ってるようだが、よく聞き取れない。
「もしもし?」
「…しもし、も………子どもを預かった」
(誘拐電話?)
リューオスは訝しむ。
リューオスは独身。子どもはいない。
注意深く聞き返す。
「どちら様?」
「竜の大地の居住…の……で………」
とても聞き取りづらい電話だった。
どうやら、リューオスの住む天空岩から落ちて、竜の大地に保護された子どもがいるという内容の電話だった。
名前はタツキ。
その名前にリューオスは心当たりがあった。
* * *
ここは天空岩。
背中に翼の生えた竜人たちが暮らしている。
そんな竜人の中でも、翼のない竜人もいた。
翼がない竜人は強い魔力を有する傾向にある。
リューオスもそんな一人だった。
だからこそ、魔導電話を受信できたのかもしれない。
天空岩でリューオスは桃畑を所有していた。収穫できた桃を他の竜人と物々交換し生計を立てている。