揚げないカボチャコロッケ 『チームわらし』with大介の暗躍(前編)
拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。
もう忘れられているかと思っていましたが、待ってたと読者さまに言われるのは嬉しいですね。
今後の予定としましてエピローグがプロットで、番外編でエピソードが出払ったら合体させる予定です。(いつになるかは未定です。)3か月ぶりの投稿でランキング100の中に入れてもらえましたのでお礼投稿です。ステイホームなのに未読本の山は増えるばかりで一番ひどいのは「僕はロボットごしの君に恋をする」の新書判を持っているのに「文庫限定スピンオフ」の帯に負けて購入したのにまだ未読です。わらしさまの様に寝なくても生きていける能力が切実に欲しいです。
ボク達は最低限ソプラノリコーダーが吹ける様に24時間食事以外は練習に打ち込んだ。寝なくても生きていけるって、のりちゃん家に来るまでは退屈で退屈でしょうがない苦痛な事だったのに、のりちゃん家に来てからは毎日が楽しくてしょうがない。
そして、ここはゲーム畑のユーチューバーならヤミーさんとゲーム対戦をしてからピアノセッションして実績を作ってからKちゃんとコラボ交渉が順当だろうけど、そんな悠長な時間は無い。
名前だけは売れてる大介にKちゃんとのコラボ交渉を任せた。なんだかんだと対人恐怖症だった大介も父親になる自覚が出て来てから随分メンタルも強くなってきた。そうは言ってものりちゃんを養うのはボクだけどな。
「いいか、大介。もうすぐお盆だからのりちゃんのおばぁちゃんが来る。その時にひ孫が出来た事が一番のbig newsだけど、それ以上におばぁちゃんはひ孫が生まれるまで傍に居れない事を心苦しく思うはずだ。そこでボクらがいかに頼りになって、のりちゃんを幸せにする事に心を砕いているかをアピらなくちゃダメだ。その第一関門がKちゃんとのコラボ交渉成立だからな。交渉成立するまで帰って来るなよ。」
「はいっ。交渉成立するまで帰ってきません。」
大介の瞳に闘志の炎が静かに燃えていた。
「Kちゃんにボクらのデモ動画も見てもらってある程度曲が絞れたらすぐLINEするんだぞ。」
「すぐにLINEします。早速僕アポ取りして現地に向かいます。」
そんな時間使わなくても多分メールのやり取りで何とかなると予想してるがハードルは無駄に上げておいた方が良いだろう。
数日後、大介が交渉を成立させてきたから、前もって買っていたライブハウスに集合する事が決まった。
「のりちゃ~ん。明日大介のヘリコプター操縦の練習にあちこち回って来るからお弁当つくって~。」
トテテ~と台所で野菜を切っていたのりちゃんにしがみついた。
「そうなの?運転するならサンドウィッチとかがいいかな?今さらどうして大介君にヘリコプターの操縦練習させてるの?使いたい時だけ操縦できる人に来てもらえばいいじゃない。」
「ダメだよ。のりちゃんが産気づいた時にすぐ病院に搬送できる様に今から練習しとくのっっ。」
「ふふふ気が早すぎじゃない?」
「準備万端で挑まないとだめでしょ。」
「ふ~ん。じゃぁピクニック気分で出かけておいで。何時に出かけるの?」
「8時!!ボクもお手伝いするからね。」
「よろしくね。」
しめしめ。のりちゃんはボクらの計画に微塵も気が付いていないぞ。後は明日全力でアクロバティックコラボを頑張るだけだ。
翌朝かはくちゃんとチコちゃんは、6時に家の中の鳥居から我が家に来た。
「わらし、カボチャコロッケちゃんと作れるの?」
「モチロン。のりちゃんも食べれるように揚げないカボチャコロッケだよ。チコちゃん、いなりは?」
「兄様は用事を済ませてから現地に集合だよ。」
いなりの分のカボチャコロッケはKちゃんに余分に入れてあげよう。
カボチャに少し水を入れてラップをかけて電子レンジで柔らかくなるまでチンする。かはくちゃんがパン粉をきつね色になるまで乾煎りしている間にチコちゃんはぶどうと梨をランチパックに詰めていた。柔らかくなったカボチャのワタを取り。ある程度皮も剥いて小さく切ったらマッシャーで潰してバターと塩コショウを混ぜる。(本当はレーズンも入られたかったけどKちゃんがレーズン好きか分からなかったからやめた)
皆で丸くお団子にしたボールカボチャを乾煎りしたパン粉の上を転がせば揚げないカボチャコロッケの完成。
「わらし、そのレシピサイトの下の広告に揚げないポテトもあるじゃない。」
チコちゃんが大発見の様に騒ぐ。確かにのりちゃん気持ちは脂っこいものが食べたいのに体が受付ないのよね。とぼやいていたからこれは作っておくべき。
皮付きのまま適当な大きさに切って電子レンジでチン。薄く油をひいたフライパンで外側をかりっと焼くだけ。焼いている間は3人で
「「「ポテト、ポテト、ポテト~」」」
とご機嫌に歌った。
あらかた出来上がった頃にのりちゃんが起きて来たからポテトに塩を振って渡したら念願のポテトに身震いして喜んでくれた。4人でサンドウィッチ作りを手伝って、いざお出かけ。
「のり子さんあたしの弟妹弟子をお留守番に置いて行くのでちょっとでも異変があったら弟妹弟子に伝えて下さい。あたしたち大介を置いてでも戻ってきますから。」
チコちゃんも大介に対する対応がかなり乱雑になってきている。
のりちゃんに見送られながらいざライブハウスへしゅっぱ~つ。
前編などと書いておりますが、後編は火曜日か水曜日になるといいなぁと目標を立てております。頭の中に文章はあるのにブラインドタッチが出来ない私の指が憎い。




