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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
第1章 アラサー無職彼氏ナシから頑張るゾ
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鶏おこわ

 スカイプでの説明ではわからなかった操作を悠ちゃんに教わりながら、イケメン林さんの顔を見ないように必死で仕事をした。モニターの中のイケメンを愛でるのはいいけど、至近距離にイケメンがいると落ち着かない。挙動不審にならないように気を引き締めねばっっ。こんなイケメン眼鏡と毎日顔合わせて仕事ができるなんて悠ちゃんは物凄い猛者だ。原稿を見ながら打ち込んだり、誤字脱字をチェックしたり死ぬほど頑張った。慣れない仕事なのに私頑張ったけど、気が付いたら20時を回っていた。


「渡辺さんそろそろ終われそう?」

「はい。アップロードしたら終了です。」

「田中さんはもう終わる?」

「ん~もうちょっとあるけどもう20時かぁ。持ち帰ろうかな。」

「じゃぁ、3人で晩メシ食べに行こうか?」


 ひぃぃぃ。イケメン眼鏡のインテリスマイル恐るべし。


「あ、私夕飯準備してきてあるので帰ります。お二人で行ってらしてください。」

「のり子が行かないなら仕事の残りもあるし、私はコンビニかなんかでテキトーに済ますわ。」

「一人メシ侘しいなぁ。」


 トホオホとわざとらしくオーバーアクションをした。イケメン眼鏡は、わざとらしくても絵になっていいですね。顔で判断してはダメと思っても、苦手意識からかついつい心の中で毒づくのをやめられなかった。


 駅まで悠ちゃんに送ってもらったら、1週間ほど今日の作業をアルバイトしてほしいと頼まれた。幸い作業工程が理解できたので在宅勤務でいいという。就活しながらアルバイト料も入るのはめっちゃくちゃ助かる。悠ちゃんさまさまだ。

 後は早く就職先が見つかるといいな。就活がんばろっと。


 電車に揺られ21時前には家に着くことができた。生け垣が不ぞろいに伸びてきてる。はぁ。めんどくさいけどそろそろ剪定しなくちゃいけないなぁ。おばぁちゃんが生きていた頃はおばあちゃんとおしゃべりしながら庭仕事をするのが楽しかった。おばあちゃんが他界してからは、勝が


「力仕事や、高い所の始末は男の仕事だろ?」


 って笑って手伝ってくれた。あんなマザコンでも頼りがいのある1面もあったんだよね。

 ……私、本当に一人ぼっちになっちゃったんだ。

 暗い気持ちになりかけたら玄関にわらしさまが立っていた。


「のりちゃんおかえり。遅いから心配してたんだよ。」


 口を尖らすわらしさま。そうだ、私ボッチじゃなかった。わらしさまがいたんだった。現金なもので気分も急上昇。空腹と疲れで気持ちがマイナス方面に引っ張られちゃったぞ。


「ごめんごめん。すぐにご飯にするからね。わらしさまただいま。」


 おかえりって言ってもらえる幸せを噛みしめながらキッチンへと向かった。

 朝の私偉い。こんなこともあろうかと炊飯ジャーの予約タイマーONして出かけたんだ。

 鳥釜飯の素で簡単鶏おこわ。箱の裏に書いてある分量を私流にアレンジ。もち米3合米1合に具材をぶち込んでから4合までお水を入れたら出来上がり。この配合だとみずっぽくならなくて冷めてもモチモチなの。

 チャチャとお味噌汁だけ作って、昨日の残りの春雨サラダも添える。ここまで10分もかからなかった。時短一択のおうちご飯完成。


「わらしさまご飯できたよ~。」

「僕テーブルも拭けたよ。」


 えっへんとふんぞり返るわらしさまかわええなぁ。1日の疲れが吹き飛んだよ。合掌。


「「いただきます」」


 手を合わせて挨拶したら、またまたiPadを取り出しての撮影タイム。食べる前にマテができるわらしさまは見た目通りの子供じゃなくて妖怪なんだなぁ。

 撮影タイムも無事終わり、ご飯を食べながらお留守番中の出来事を教えてくれた。


「いなりにサンドウィッチの写真送ったら、油揚げの写真が返ってきた。」

「稲荷様も負けず嫌いだねぇ。」

「いなりと一緒にしたいゲームがあるから、あぷりを入れたい。」

「後で入れてあげるね。」


 わらしさまどんどんゲーマーに育っているよ。他の娯楽も教えてあげなくてはいけない。意味不明な使命感にかられました。


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